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第5話

「はーっ、はーっ、はーっ・・・・・よっし、あいつはもう追って来ないみたいだな」

あの青髪の男がとんでもない事になっている隙に博人は何とかその場を去り戦線離脱する事に成功。

そしてこの港町から早めに去ろうと考えていた矢先、気になる話を耳にした。

(・・・・えっ?)

それは、自分の財布をすっていったさっきの男達のアジトがこの港町の何処かにあるらしいと言う情報だった。

さしたる確証は無いけれど、こんな事になったのはあの財布をすっていった男が原因だ。


だったらそいつ等に対して何かこっちもしてやらないと気がすまない。

そう考えた博人は、まずその男の仲間のアジトを突き止める為に情報収集を開始する。

そうして博人が得た情報と言うのが、今はもう使われなくなっている波止場の一角にそいつ等のアジトがあるらしいとの情報だった。

が、それ以上に博人がびっくりしたのはその大男の仲間らしき人物が、どうやら自分の財布らしき物を自慢げに見せびらかしながら持ち歩いていたと言う事であった・・・・・。


男を追うよりもまず先に、全身へ回復魔法を施した後リスタンは手を上げて指を弾いた。

それを合図に上空を飛んでいる火鳥の体が散っていく。

傍に転がった大男の死体を焼き払っている間、さすがに見境無く暴れ過ぎたとリスタンは後悔する。

顔見知りは尚の事、兄や母親にもひたすら隠してきた魔力を街人に知られる訳にはいかなかった。

両親も兄も使う事すら出来ない魔法、しかも並大抵の人では扱いきれない程の魔力を、自分だけが使える疎外感に長年悩まされてきたのだ。


業火により大男の体は1時間程で焼き払われ、残った大きな骨も小さな骨も砕いて海へ撒いた。

煙は強風を放って人に見られないようにしたのが幸い、一部始終を誰かに見られる事は無かった。

これからどうしようかと考えながら、リスタンは重い足取りでパスルタチアの広場まで歩いていく。

野菜は亡き物となってしまい、挙句の果てに八百屋の露天の傍で放置してしまったが、魚はまだ買ってもいなかった事に気付くと多少気分が晴れていった。

せめて母親の怒りを最小限におさめようと、リスタンは魚屋へ急いだ。


博人は集めた情報を基にして、とりあえずそのアジトがあるらしいと言う場所まで歩く事に。

しかし、その途中で自分の身の周りの違和感に気がつく。

(・・・・囲まれてる?)

博人の知り合いには元傭兵の栗山と言う男を始めとして、格闘家や軍人、現役警察官等の知り合いがやたら多い為に器械体操だけでは無く色々な格闘術も少しは知っている。そんな人間達とトレーニングする機会がなかなか多い為か、こう言った環境の変化に敏感になっている博人は嫌な予感がしていた。

そしてその嫌な予感と言うのは、さっきの大男の仲間らしき20人位の男女が細い路地を歩く博人の前に姿を見せた事で証明された・・・・。


焼き魚に最適と言われた青魚を2匹買ってやや平常心を取り戻したリスタンはふと先程戦った男の事を思い出す。

自分の体を地べたへ付けさせた恨みは消える事はないが、いざ冷静になると自分が彼の財布を燃やしてしまった罪悪感に襲われる。

(兄貴にも怒られそうだなぁ・・・。)

兄から怒られる事に関してはさほどダメージはない、むしろその怒った顔を想像すれば顔がにやけていく。

ふと我に返り頭を数回振ると、この街にまだいるであろう無一文の男の行方をリスタンは探し始めた。


青魚が入ったビニールの袋をぶら下げて、リスタンは広場へと戻ってきたところだった。

精神が安定すれば魔力もすぐに体中に溢れ、抑えきれない分は自然にターコイズのピアスへと蓄積される。

既にさっきの男と戦う前と変わらない魔力が貯まっていた。

「・・・ん?」

足音に気付いたリスタンがそちらへ目をやると、探していた男がこちらへ猛ダッシュで駆けてくるのが見えた。


(ちっきしょおおおおおお!!)

さっきまではあの大男を追いかけていたのに、今度は自分が追われる立場に。

まずい。実にまずい。この町の土地勘はまるでゼロだ。

それでも179センチ、78キロの大柄な身体を今まで培った器械体操で身軽に動かし、路地裏から脱出して大通りへと出る。

これでも今住んでいる東京では渋谷や新宿等の通勤ラッシュや休日の人混みを長年避けて来たので、

こうしたシチュエーションに博人は強かった。


「どけっ、ど、どいてくれっ!!」

博人は何とか後ろの集団を振り切る為に必死で波止場に向かいながらフリーランニングを続ける。

側転で人と人の間をすり抜け、走り幅跳びで段差を飛び越え、高い所からの着地では前転を使ってショックを和らげる。

だがその博人の目の前にさっきの青髪の男が現れたのが一瞬目に入ったかと思うと、思いっ切りその男にタックルする形になってしまいその男が持っていた魚を下敷きにして博人が倒れ込んでしまった。

博人はその潰れた魚を追って来る集団の足元に投げて集団の何人かを滑らせると、魚臭い自分の服の臭いに顔をしかめながらも再びフリーランニングを続けるのであった。

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