タイトル6
《霧彦 大地》
まさか、雪里さんがでるなんて。
今年も優勝を狙っていたが、少なからず優勝から遠のいたように感じる。雪里 剛 その類稀なセンスとルックスにより、雑誌やモデルの仕事が殺到。仕事を一つこなすことで、何億単位が動くという。今年の春の流行ファッションを作ったと言われている。
俺は俺のやることをやるまで、楓に似合うコーディネートを選ぶことができれば勝てる。
しかし、今だに何がいちばん似合うのかわかっていなかった。
《雪里 剛》
「なんだって?モデルは重複してはいけない?」
頭がぐらついた。基本ファッションショーなるものはモデルをうまく連動させ、複数のデザイナーによる服をきさせる。
この大会のルールとはどれだけ時代錯誤なのだろう?
「わかりました。検討します。」
さて、どうしたものか。俺の目的はファッションショーに出場することではない。楓に服を着せることだ。大会概要の欄を見て、良い項目を発見できた。
《霧彦 大地》
え?今なんて?
急に告げられた彼女の行動。手を前にだして嫌がる彼女。もう付き合って半年なのだ。そろそろキスができるだろうと近づいたのだが、はねのけられてしまった。
そのあと紙に大会までは付き合う。と書かれていた。
《雪里 剛》
いよいよ大会が始まる。この大会では四組が出場する。年々大会出場者が減っているが、これは最低だ。しかし、その分仕事はやりやすくなる。
一組目は、霧彦 大地のチーム。やはり楓がモデルとして出るようだ。あの女は必ず俺のものにする。
二組目は、四年生 ドレッドヘアーのチャラいやつ。自身のファッションセンスをどうにかしてほしい。
三組目は、女だ。いかにも目つきが鋭く働いてもいないのにキャリアウーマンといったイメージ。
四組目は、この会場のキングである私だ。
控え室に戻ると運営者からこのような話しがあった。
「ここの控え室は出演者のみ侵入可能です。外部からの侵入がないよう警備の方も立っていますので、ご安心ください。」
「ではコーディネートもこの部屋でやれというのですね。」
俺が質問した。
「はい。この部屋の中には人数分の着替え室もあります。洋服など汚れや調整が必要な方はこのカードキーを使ってください。」
なかなかの高性能な部屋だ。このぐらいされたら、出演者同士の顔を見なくていいし、服を汚される心配もない。