タイトル5
《雪里 剛》
あの女は楓というのか。
あの女が忘れられず、今大学内にいる。
あわよくばあの女に会いたいのだが、今日の要件はそれだけじゃない。
家で色々考えたが、なぜあの女が気になるのかまだわからなかった。
もしかしたら、自分の勘違いかもしれない。
それがわかるのは多分コーディネートしかない。どうにかして女の服をコーディネートしたい。
「お待たせしました雪里さん。」
かっぷくがいい男がこの大学の学長だ。
「雪里さんのような有名人に会えて嬉しい限りです。今日の要件は?」
わかりきっているが、あえて質問をする当たりがタヌキだな。
「電話でも話したように、この大会は大きな宣伝になります。学生だけでなく、プロのデザイナーのファッションショーも取り入れるべきです。」
「ですが、学生とプロではやはり差がでるのではないですか?」
「こちらにはプロ顔負けの生徒がいるという噂ですが?」
「よく知っていますね。霧彦くんだね。彼はこれからのデザイナー界を背負う人物になる男だよ。」
「だからこそです。彼の力を世に知らしめる為に、学生同士ではなく、学生対プロであればよい宣伝になります。勝てば大学の反映にもなります。」
「負ける試合をどんなデザイナーが組むのかね?」
「私ではダメですか?」