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「スーパーオリオン」「革靴」
「スーパーオリオン」
革靴が待っていたから外へ出たら
宙でスーパーオリオンが待っていた。
雲はなんだかぼんやりしてしまっていて、
こちらがわの空一面に星を避けている。
西の空には星がない。
雲も溶けてしまって、乳色の薄い青だ。
それでも金木犀の影ははっきりと主張していて、
眠れないあの日の窓がまだ星を見ていた。
「革靴」
革靴は
ただ待っている。
私は
また黙っている。
私は
いま漂っている。
それに
気づいた
革靴は
玄関に
忍び込んで
薄暗い
壁際で
ちょっとだけ
足並みを
乱して
私を
沈黙の気配で
殺してしまおうと
待っていた。
 




