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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 96話

 それから夜になって、勝彦達は夜の街へ繰り出していた。あちらこちらで太鼓や鐘の音が鳴っている。

 中には笛の音や弦楽器の音も聞こえてくる。道の脇に篝火が照らされていて、今日は町全体が賑わっていた。

 そして、勝彦とジャネイロは、シンシアが手紙で指定した場所に向かっていた。そこでシンシア達と待ち合わせをして、その後に一緒に祭りを楽しむ予定である。

 でも勝彦は、一つ気になっていた。先日アレスは、宰相のボトルに謹慎処分を言い渡されている。

 それなのにシンシアはアレスを連れ出すと手紙に書いていた。シンシアがアレスを連れ来る方法とは、一体何なのか?

 勝彦は、シンシアの考えが気になりながらも、ただ目的の待ち合わせ場所に向かっていたのだった。

「うわあー、人が一杯いるなあー」

 街の中央にはステージが組まれていて、多くの人が集まっている。ここだけ、あきらかに人の多さが違った。

 ジャネイロによると、近隣の街や村からも出兵する家族が見送りに来ているそうである。

 これだけの人を、街全体でまかないきれるのか?と思うくらいの賑わいぶりだった。

「ホントだねー!昨日と大違いだね!」

「今日だけは特別だよ、さすがに外から来た人達をまかないきれないからね、街の外に簡易の宿泊施設や、テントが並んでいるんだよ」

「へー、なるほど、どおりで多いわけだ!」

「でも・・・本当はこういう祭りは、やりたくないんだけどね・・・」

 急にジャネイロは悲しそうな顔をして遠くを見て言う。

 よく考えてみれば、この祭りは出陣する人達を見送る為の祭りである。明日にれば、ここに来ている多くの人達が戦地に向かう事になっている。

「ジャネイロは・・・・見送るのは初めてなのか?」

 と、勝彦はジャネイロに尋ねてみる。

「ううん、以前アルゴや親戚何人かを見送ったよ・・・・でも、アレスを見送るのは初めてだ・・・・」

 ここでジャネイロはうつむいてしまった。そう・・・アレスもその中の一人として明日には戦地に赴く事になっている。

「ジャネイロ・・・・」

 勝彦は何かジャネイロに声を掛けようとしたが、何も言葉が出なかった。ジャネイロに、何て言ってやればいいか分からなかったからである。

 そして、逆にジャネイロは、気を使っている勝彦を見てすぐに顔を上げて笑顔になった。

「まあ、勝彦達は楽しむといいよ!元々、戦地に行く兵士に楽しい思い出を作るのが目的だからね!」

「そうだな・・・楽しめる時に楽しまないとな・・・・」

「そうだよ!楽しまないと損だよ!」

 勝彦とクー太は、ジャネイロの言葉に乗って返事をした。

 確かに、ここであれこれ考えた所で、アレスが戦場に行くのは決まった事である。何かが変わる訳では無い。だったら楽しむほうがお得である。どうせなら、笑顔でアレスを送ってやりたい。勝彦はそう思って、気持ちを切り替える事にした。

 そして、勝彦は気持ちを切り替えたものの、どうしても気になっている事が一つあった。シンシアとの待ち合わせ場所に向かう途中、一緒に参加するはずのネコウネがこの場にはいないのである。

 シンシアの手紙によれば、ネコウネも一緒に来る様に言っている。本来なら、楽しく一緒に歩いているはずである。ジャネイロに言われて、確かに一緒に行くと言ったはずである。

 でも・・・おかしな事に、ネコウネはさっきから数十メートル後ろの路地の脇から勝彦達の方をジーっとみていた。

 傍から見たら、まるでストーカーである。

「それはそうとジャネイロ・・・・ネコウネさんは、何であんな所にいるんだ?」

 勝彦は、ネコウネのいる所を指さして、ジャネイロに聞いた。

「ああ、彼女はいつもああなんだよ!ああやって僕を護衛してくれているらしいよ!」

「護衛って、あれで!?あれじゃまるで変質者みたいじゃないかよ?」

「本当は・・・・僕も一緒に歩いて楽しみたいけど、彼女はあくまで自分は僕に仕える身だからって、言う事を聞いてくれないんだよ!」

 ジャネイロも困った顔でそう言ってくる。

(だとしても、そりゃないだろ!それに・・・・)

 勝彦は手を額に乗せ、がくりと落ちる。

「でも、女の子がお前を護衛っておかしくないか?」

「いや、ネコウネはあのアルゴの娘だよ、剣の腕は僕やアレスとひけは取らないよ!それに、彼女の母方の実家は代々ナプカという諜報活動を行う一族なんだ。暗殺術や尾行の技術は一流なんだよ!」

「暗殺って・・・ネコウネさんが?」

「僕は、彼女にはそんな命令はした事がないよ!そんな事して欲しくないからね!あくまでずっと友達のつもりさ!」

(あくまで友達かよ・・・・)

 勝彦は、ジャネイロがネコウネの気持ちに気づいているのか気になった。普通に考えたら、命令もしていないのに傍にいるという事は好きだって事である。

 どう考えてもネコウネは義務感でいる訳では無い感じだ。その事について、ジャネイロはどう思っているんだろうか?

 ジャネイロと、そう話しながら歩いていると、いつの間にかシンシアとの待ち合わせの広場に到着していた。

 そして、到着早々ジャネイロは、シンシア達を探して始める。

「多分この辺に来ていると思うんだけど・・・」

それを見て、勝彦とクー太も周りをキョロキョロ見渡してみた。だが、どうしても中々見つからない。

(いないなあ・・・)

 すると、ジャネイロに一人の少女が声を掛けて来る。しかもよく見ると、声を掛けてきたのはシンシアだった。


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