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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 93話

 勝彦達がサルガス第13惑星にやって来てから5日目の朝。

 昨日の会議で、アレスが戦争に行くことが決定してしまい、戦場に行く日まで自宅で謹慎というニート生活を強いられる様になった。

 アレスの謹慎期間は短く、明日にはアレスは戦場に行ってしまう。ジャネイロもの事も心配だったが、今はアレスの事の方が心配である。

 勝彦は、昨日の会議の事が頭から離れず、朝起きてもなんだかモヤモヤとしていた。そういった事が頭から離れずあまり眠れなかったからだ。

(アレスは本当に大丈夫だろうか?無事に帰ってくる事は出来るんだろうか?)

 そんな心配が、勝彦の頭の中を巡る。

 ジャネイロが戦場に行くと聞いて、戦争というものを身近に考えられない勝彦にはとても心配でならなかった。

 本来、宇宙人である勝彦にとってこの星の人間の争いなんて他人事である。

 むしろ、干渉する事自体がおかしい。

 でも、今は知り合って仲良くなりお世話になって、とても他人事とは思えない関係になっている。無視して見て見ぬふり何て出来ない。

 それに、昨日のアレスがしきりにボトル宰相に反抗していた事が気になっていた。ジャネイロは、あのままではアレスは命の危険だと言っていた。そんな危険を背負ってまで、何故あんなに反抗していたのだろうか?

 そのような様々の謎が、勝彦の不安は増々増大していく。 

 そして、目が覚めてしまった勝彦は、ベッドから起き上がって隣のベッドを見てみる。

 すると、クー太が気持ちよさそうにぐっすり眠っている。

「こいつ・・・よく寝るよな・・・」

(クー太はどう思っているのだろう・・・・?やっぱりあんまり深く関わってはいけないとか思っているのかな・・・・?)

 確かに、勝彦はこの星の人間からすれば部外者である。

 本来、干渉してはいけない存在だ。

 だが、勝彦はここまで仲良くなってしまって、どうしても気になってしまうのだ。

 そして・・・ふと、勝彦はクー太の幸せそうな寝顔を見ていると、自然と微笑んでしまった。

(こいつ、幸せそうな顔しやがって!)

 そして、ある事を思いつく。

「アルテミス!聞こえるか?」

「はい、何でしょう・・・?」

「マジックってここに転送できるか?」

「ええまあ・・・できますけど・・・・どうしたんですか?」

「いや・・・・ぷくくく、いいから転送してくれよ!」

「まあいいですけど・・・・この星の人に見つかっても、うまくごまかしてくださいね!」

「ああ、分かってるって!」

「それでは手を出してください・・・」

 勝彦が手をそっと差し出すと、手のひらの上にマジックペンが現れた。

(よーし!)

 そして、勝彦はペンのふたを取り、クー太の顔の目の前まで行って落書きを始めた。

(こいつ・・・全然起きないな・・・・)

 勝彦はクー太の寝顔に、目やほっぺ、ヒゲ(犬のヒゲ)、マユゲ等に思い思い書き足してみた。

「ぷくくくく・・・・犬の頃のクー太そっくり!駄目だ面白すぎる!」

 勝彦の行動に気づいたアルテミスが、不満そうな声で勝彦にそっと言う。

「勝彦殿・・・・もう二度と勝彦殿にはマジックを渡しませんよ!」

「まあ、そう言うなって!これも愛情表現の一つ何だからよ・・・・」

 そうして、クー太への顔への落書きが書き終わる。

「ぷくくくく!わははははは!」

 勝彦は、後ろにある自分のベットに寝っ転がり、足をばたつかせて何とか大笑いしない様に堪えていた。そして、むくっと起きて立ち上がる。

「さて、クー太も起きないし・・・・・また中庭に行こうかな・・・・」

「ちょ、ちょっと勝彦殿!リリア様をそのままにして行くんですか?」

「仕方がないだろ!気持ちよさそうに寝ているんだから。ぷぐくくぅ・・・どうせ・・・起きたら教えてやるんだろ?」

「それはもちろんそうですけど、ひどいじゃないですか!」

「だったら、今すぐ起こすのか?このまま寝かせてあげるのも優しさのうちだぞ!」

「そんなのは屁理屈です。無責任です!」

「まあまあ、後でちゃんと謝っておくから・・・・」

 と言って勝彦は部屋を出ていった。

「知りませんよ!もう!」

「じゃあな、いい夢みろよ!クー太!」

 怒っているアルテミスを尻目に、勝彦はそそくさとその場を離れて行く。


 それから勝彦は、気分転換にまた中庭の庭園までやってきた。

 すると、部屋を出てすぐに大通りの外壁から太鼓の音や鈴の音が聞こえてくる。

(何か祭りでもあるのかな?)

 そう思いながら、気にせずまた庭園の小屋の中に入る。

「やあ、おはよう!今日も早いんだね、待っていたよ!」

 と勝彦に気づいたジャネイロが挨拶をしてくる。

 どうやら、勝彦の事を待っていて、座ってゆっくりしていたのだった。

「え、待っていた?」

「ああ、君は気が付くといつもここに居るからね、多分ここに来るだろうと待っていたんだよ!」

「な、何か用なのか?」

 勝彦は、少し緊張した。ジャネイロがわざわざ話があるって待っていたなら、何か重要な話をするのじゃないかと思ったからである。

「いや、特にないけどね・・・・ただ何となくだよ・・・・」

 ジャネイロはそう言う。

 でも、何かある様な雰囲気は隠せていない。

(何か悩み事があるのかな・・・・?)

 勝彦はそう思ったが、ジャネイロが抱えている問題は多すぎて一体どれについて悩んでいるのか分からない。

 そして、勝彦は何気に何か話題がないかと話しかけながら、ジャネイロの正面に座った。

「外・・・・賑やかだな・・・・」

「今日は祭りがあるからね!」

「そういえば・・・ここに来た時も、祭りがあるって言っていたよな?」

 勝彦は、始めてこの街に連れて来られた時、人が多いのは祭りがあるからだとジャネイロに言われたのを思いだした。

「まあね、この祭りは兵士達が戦場に向かう為の祭りなんだよ!つまり、兵士と家族の最後のお別れなのさ!」

 そう聞いて、すぐにアレスの事が脳裏によぎる。

 アレスも・・・明日には戦場に向かう。

「最後って・・・・生きて帰れるんだろ?」

「ああ、そうだよ必ず帰ってくるさ!きっとね・・・・」

 二人の間に沈黙が続く。

 この沈黙の中、勝彦もジャネイロも、誰とは言わなかったがアレスの事を考えているのはお互い理解していた。

 そして、それを確かめる様に勝彦はジャネイロに尋ねる。

「やっぱり、アレス・・・行くのか?」

「うん、でもアレスなら大丈夫さ!」

「そうか・・・そうだよな!」

 ジャネイロの安心した顔を見て、勝彦は少しだけ安心した。すると、ジャネイロは少しうつむき、アレスの事について語りだす。


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