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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 92話

 そして、ボトルの一言であっさり朝議が終わってしまった。

 会議が終わると、皇帝は部屋から出て行き、集まった人達も皆それぞれ外に出ていく。

 向こうの方で、アレスがグランデ将軍と一緒にこの宮殿を後にしていくのも見えた。それを見届けてから、勝彦達も遅れながら黙々と宮殿を後にする。

 どうやら、結果的にジャネイロの提案でなんとかアレスの命は助かった様だ。

「良かったな、アレスの奴が助かってよ・・・」

 勝彦は、部屋から出て人気がなくなった所で勝彦はジャネイロに話しかける。

 だが、ジャネイロからの返事をしない。

「ジャネイロ・・・・」

 どうしたんだろうと思ってジャネイロの顔を見て見ると、ジャネイロは苦虫を噛み潰したような顔をしている。そして、早足で黙々と歩いていく。

 勝彦は、そんなジャネイロを見て何も言えなかった。

 今回の会議では、ジャネイロの護衛としてなんとなく参加したが、ボトル宰相の権力がここまで大きいと思ってもみなかった。

 ちょっと前から話題には聞いていたが、いつも明るく楽しいジャネイロとアレスを見て、ここまで深刻に考えているなんて思ってもみなかったのである。

 はっきり言って、今日の会議は議論らしい議論をほとんどしていない。

 ただ、宰相のボトルが提案をして、それを多くの人が賛成するというものである。

 そもそも、この会議で勝彦は皇帝陛下の声を一言も聞いていない。

 つまり、皇帝陛下は一度も発言する事なく朝議は終わってしまったのである。

 まさにこの国は、宰相の思うがまま。

 勝彦がこの星に来た時、何も分からなかったが、この国の問題点がなんとなく見えたような気がした。

 そう、思いながら勝彦はトボトボと歩いていた。

 すると、いつの間にか自分の周りに人が居ない事に気づく。さらに気が付くと、はるか前方にジャネイロとクー太がいた。

「おーい、勝彦くーん!」

 向こうの方でクー太が呼んでいる。ジャネイロも勝彦を見て申し訳なさそうに見ていた。

 勝彦は二人の元へ急いで走り出し、二人の元にたどり着くとすぐに謝った。

「す、済まない・・・・つい考え事していて・・・」

「いや、僕の方も考え事をしていてついうっかり早歩きしてしまったよ。済まない・・・」

 と、ジャネイロの方も謝った。

 すると、二人はお互い謝った後、目が合うと笑った。まるで、二人とも心が通じ合った様に和やかな空気が流れる。

 そして・・・もう一度三人で歩き始める。

 そんな二人を見て、ここでクー太一人だけ立ち止まり、勝彦の袖を引っ張って引き留める。

「勝彦君・・・・分かっているよね?」

 と、クー太は真剣な面持ちで勝彦に語りかける。

「な、何がだ?」

「僕達はもうすぐこの星を出ていくっていう事を・・・」

「ああ、分かっているよ!どうしたんだよ、急に?」

「勝彦君・・・・僕達は、この星の人からすれば部外者なんだよ・・・だから、あまり深入りしな方がいいよ!」

 と、クー太は思いつめた顔をして訴える。

「クー太・・・」

 勝彦はその言葉を聞いて、すぐに自分の事を心配してくれているんだなあ。と、思った。

 勝彦がジャネイロとアレスを心配しているのと同じで、クー太もまた、勝彦を心配してくれていたのである。

 それを思うと勝彦は、急に可笑しくなった。

 クー太は、常に勝彦の事を考えてくれている。地球で会った時から・・・・冥王星の時までずっと何かあればクー太は勝彦の事を気遣ってくれる。

 そんなクー太の気持ちが勝彦はすごく嬉しかった。

「大丈夫だ!心配しなくても無茶はしない。ジャネイロとアレスとは仲良くなったけど、俺の目標はあくまで地球を救う事、それは忘れていない!」

 勝彦は、クー太を安心させる為に笑顔で力強く答えた。すると、クー太も笑顔になって返す。

「そうだよね、ちょっと考えすぎだったみただね!」

「さあ行くぞ!」

「うん!」

 そして、ジャネイロの後を二人で追いかける。

(クー太・・・・俺の考えている事、分かるんだな・・・・)

 勝彦はクー太にはああ言ったもの、本当は図星だった。

 ジャネイロ達の事が心配で、何とか力になってやりたいと思うようになっていた。何とか力になってやれないか真剣に考えるようになっていた。

 それは、最悪この星を出発するのが遅れてしまっても、例え、自分が危険な状況に陥っても、自分が出来る(科学の剣をふるって)ジャネイロの怪我が治るまで滞在したいと考えるまでになっていた。

 勝彦は性格上、危機に陥っている人間を見過ごすことが出来ない。

 今、ジャネイロの身の回りに起きている事は問題ばかりだ。

 だからクー太は、それを感じ取って勝彦に訴えたのだろう。

 勝彦が、ジャネイロを助ける為に、危険な行動をとる様になるかもしれないという事をクー太は感じ取っていたのだろう。

 そして、勝彦とクー太は、お互い不安を感じつつもジャネイロの後を追って歩き出したのだった。

 

  

 

 


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