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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 87話

「ん?どうしたんだ?」

「いや、な、何でもないよ!それより・・・昨日の襲ってきた奴らは一体何者なんだ?アレスは何か心当たりあるのか?」

 勝彦は焦ってすぐに話を変える。

 さすがにこの話は、アレス達に知られるのはまずいと思ったからだ。

 すると、勝彦の質問にアレスの顔は真剣そのものに変わった。

「いや・・・多分・・・南東の反乱軍のやつららの仕業だと思うんだが・・・」

 勝彦は、苦し紛れに話を変えただけだったが、予想外に楽しい夕食会の雰囲気は一気に凍り付いた。

(しまった!地雷を踏んでしまったか?)

 だが、聞いてしまった以上最後まで聞くしかない。というか、もともと知りたかった興味ある話ではある。

 気まずいと思いながらも、勝彦はそのまま話を聞く事にした。

「は、反乱軍・・・・?」

「数ヶ月前から・・・・反乱を繰り返して規模を拡大させている奴らの事さ!今、乱は全国各地に飛び火して、吸収して合流していっているんだ。それはもう、小さな反乱と呼べなくなってきて、帝国の兵力を上回るところまで来ているんだよ。このままでは・・・・そのうちここまで押し寄せてくるかもしれないな・・・」

 そう、アレスは深刻な感じで答えた。

「せ、戦争が起きているのか・・・」

 勝彦は驚いた。この星に来る前、ここは比較的安心できる平和な所だと聞いていた。

 実際、この街に入ってからも、長閑な平和な風景が続いているし、出会った人達はジャネイロを始め、いい人ばかりである。

 昨日の襲って来たきた奴らはごく一部で、そこまで国全体が危険な状態になっているとは思ってもみなかったからだ。

「ああ・・・そうだよ、明日の朝議で、俺と兄貴は鎮圧軍として派遣されるかもしれないんだ・・・・くそー!元々反乱が起きたのはボトルの賄賂事件が原因だったのに!」

 アレスは声を荒らげて、「ドスン!!」と、こぶしをテーブルの上に叩きつけた。怒り狂ったアレスを見て、周りの空気は一気に凍り付く。

 誰もアレスに声を掛けれない。

「わ、悪い・・・場をシラケさせてしまったな、ちょっと頭を冷やしてくるわ!」

 そう言って、アレスは席を立ち、向うの方に消えて行った。その姿をシンシアは心配そうに見ていた。

「アレスお兄様・・・」

 そして、勝彦はアレスの「鎮圧軍として派遣される」という言葉が気になった。

 つまり、アレスは近いうちに戦争に行くという事だろうか?

「アレスの奴・・・戦争に行くのか・・・?」

「おそらくそうなるでしょうね、夫のグランデ様も出陣の準備をしていますし・・・」

 と、カターリナが勝彦に教えてくれる。

「あいつ・・・・昨日はそんな事一言も言ってなかったのに・・・・」

(戦争に行くんだ・・・アレスの奴・・・)

 勝彦は感慨にふけっていた。

 

―アレスが軍を率いて戦いに行くという国の状況や、国を恨んでいるアレス自身が国の為に鎮圧軍として派遣されていくという滑稽さを―


(アレスは、何を思って戦いに行くんだろうな・・・・)

 すると、アレスが出ていくのを見送った後、シンシアは急に勝彦に向かって訴えた。

「勝彦!お願いがあるのです。アレスお兄様がいなくなったら、ジャネが心配です。どうか、ジャネの護衛をお願いできませんか?」

 と、シンシアは急に取り乱して勝彦に懇願してくる。その取り乱し様から、シンシアが不安に感じているのは誰でも分かった。

「シンシア・・・」

「シンシアさん・・・」

 勝彦は、ゆっくりシンシアの話を聞いて見つめた。

 すると、シンシアは今にも泣きそうな顔をしている。本当にジャネイロの事を心配しているのが分かった。

 勝彦は、シンシアの意外な一面を見て驚いた。

 普段はもっと人の反応を見て、からかったりするおちゃめな人である。

 そんな目を潤ませたシンシアの瞳を見て、勝彦は決心した。

 彼女を助けてやろうと!

 女性を泣かせてはいけない。シンシアの・・・その涙が、ジャネイロの物であっても、勝彦はシンシアの為に何かしてあげたいと思ってしまっていたのだった。

「よし!分かったよ、俺にまかせておけ!俺には、この最強の剣があるからな!」

 と、勝彦は自慢げに腰の剣を見せて言う。

 確かに科学技術の詰まったこの剣があれば楽勝である。

「ちょっと勝彦君!僕達には重大な使命があるのを忘れたの?」

 と、クー太は立ち上がり、勝彦に向かって諭してきた。

(そうだった・・・この星にいれるのは、一週間だけだった。ど、どうしよう・・・)

「あ、いや・・・忘れてはいないけどさ・・・あははは・・・」

 クー太は、真剣な瞳で勝彦を見つめてくる。

(いえ、本当は忘れていました!すみません!)

 勝彦は心の中で謝っていた。

「ご、ごめんなさい無理を言って。もしよかったら、勝彦達がここにいられる間だけでもいいのです。少しの間だけでも安心できるので・・・」

 シンシアはそう言ってウルウルして勝彦を見つめて言った。

 そしてさらに、カタリーナもシンシアに続いて勝彦の目を見て願いをする。

「私からもお願いできますか?」

(こ、これは断れない。美女二人に頼まれたらOKするしかないだろ!それに、一応期間限定だ!これなら問題ないはずだ!)

 勝彦の気持ちはもうすでに決まっていた。

 そして、二つ返事で返事をする。

「もちろんです!それならいいだろ?クー太!?」

 勝彦はすぐに立ち上がり答えた。

「まあ、それならいいけど・・・」

 クー太は、それでも納得いかない顔をしている。

 そんな顔を見て、勝彦は不思議に思っていた。

 さっきまでシンシアに正体をばれていても気にしていなかったクー太が、何を不満に感じているのか?

(何だよ!この星にいる間だけでもいいじゃないか!?一体何が不満なんだ?)

 だが、クー太はこれ以上何も言わなかった。


 その後・・・食事が終わって、勝彦とクー太はアレスに送られてジャネイロの家に帰った。

 食事の後、アレスは何も言わず帰りの時も静かだった。何を考えているのかわからなかったが、おそらく戦争に行く事を考えていたのだろう。

 そんなアレスに、勝彦は気の利いた言葉の一つも言ってやる事が出来ない。

(それにしても・・・ジャネイロの護衛をする件の事もそうだが、アレスが戦争に行くという事も心配だ・・・・)

 この星に来て・・・・まだ2日しかたっていなかったが、早くも怪しい雰囲気になって、勝彦はなんとも言いようもない不安を感じていたのだった。


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