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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第1章 地球の危機!?
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第1章 9話

「わかった!わかった!悪かったよ!・・・・じゃあ最後の質問だ!いいか?」

 もうすでにこの時点でクー太である事を確信していたが、どうしても聞いてみたかった事があった。それは、死んでしまった今だから聞けることであり、最後の心残りである。

 別にあの日に死ななくても、犬だから聞けるはずも無いのだが、確認しておきたかったのだ。

「わかったよ・・・・」

 勝彦の真剣な顔つきを見て、クー太はすぐに真剣な顔つきになった。

「西田家で一番好きだった人は?そして、その理由を述べよ!」

 クー太との別れは突然であり、心の準備が出来ていなかった。クー太が死んでから、勝彦はずっとその事が気がかりだった。仲は良かったが、実際はどうだったのか?である。

 自分の中で美しい思い出として残っているが、結局独りよがりだったのじゃないのだろうか?と、思っていたのだ。

「それは・・・もちろん勝彦君だよ。だって、僕を一番多く散歩に連れて行ってくれたしね。それに、僕達はまるで本当の兄弟のように一緒に育ってきたからね。僕が犬であった時代でも、一番幸せな時間だったよ・・・」

 と、クー太は恥ずかしそうに答えた。

(こいつは何を言っているんだ?犬だった時代だって・・・?)

 また理解しがたい答えが出てくる。でも、答えた質問はどれも的を得ていた。

 何よりも一番好きだった人が自分だと聞いて、勝彦は嬉しくて涙が出そうだった。たとえ嘘だったとしても、その当時にどうしても聞きたかった言葉なのである。嬉しくない訳がない。


 話を聞くにつれ、頭の中にクー太との昔の思い出が少しずつ思い出されていた。散歩に行ったことや、一緒に眠ったこと、それに旅行に行ったことなど、そのすべての思い出が何もかも懐かしかった。

 勝彦は、この少年を信じたい。いや、信じてあげたいと思っていた。

「じゃあ聞くけどさ、仮にお前がクー太としてだ!何故?お前は人間なんだ?それに、ここは何処だ?俺は外に出かけようとしていたはずだけど!?」

 勝彦は、もうすでにこの子供をクー太として信じてはいたが、それと同時に、今置かれている自分の状況も確かめたかった。

 さっきクー太は「犬だった時代」と、言っていた。そこに、今の状況の真実が隠されていると思ったからである。

 勝彦は、確かに外に出かけようとエレベーターに乗ったのに、何故こんな所にいるのか不思議に思っていたのだ。その理由も知らなければ完全には信じられない。

 そんな勝彦の質問に、クー太は真剣な顔つきなりゆっくり話し出す。

「僕は・・・、僕は本当にクー太の生まれ変わりなんです。信じてください。そして、信じてもらえるかどうか分かりませんけど、僕は、たまたま地球に来ていたUFOに魂が連れて行かれて、ここから直線距離で約6万光年先のベルウイング星というところで生まれ変わったんです」

「・・・・・・・・」

 勝彦は目が点になって、何も言えなかった。頭が真っ白になってすべての思考が止まってしまった。自分が考えていた予想を上回る返事が返ってきたからである。

(ん?これは新手の宗教勧誘か?クー太の生まれ変わりだって!?)

 今までの話で、勝彦はクー太の事を完全に信じ始めていたが、ここでまた疑いが深くなった。そう簡単に、宇宙人やUFOなんて話を信じられる訳がなかった。

「じゃあ、お前は宇宙人って事か!?」と、尋ねる。

「そ、そういう事になるのかな・・・」

「はあー。だめだ、頭が痛くなりそうだ・・・。で、それでお前は、何でこの地球に来たんだよ?」

 と、呆れて果てて、手を頭に乗せて天を仰いだ。

(何だこの状況は?やっぱり俺は夢か幻覚でも見ているのか?)

「その事なんですけど、勝彦君・・・落ち着いて聞いて欲しいんだ!実は・・・地球は、後一年で滅んでしまうんですよ!だから、僕は、君を・・・勝彦君を助ける為に迎えに来たんだ!」

(ああ・・・駄目だ!もう完全に何を言っているのか分からない。悪い宗教につかまっているみたいだ。やっぱり早く夢から目覚めないと・・・)

 立て続けに起きる意味不明な状況。クー太の斜め上を行く発言。すべての出来事と話の内容が現実からかけ離れていた。

 勝彦は、せっかくクー太への疑いが解け始めていたが、もう完全に疑い始めていたのだった。

「じゃあ、何で俺だけを迎えに来たんだよ!」

 と、疑いつつも質問を続ける。

「新銀河連合同盟の憲章で、地球人を救ってあげれる人数は、決まっているんです。だから・・・僕は勝彦君を救いたくてここまで来たのです!」

 と、クー太は真剣なまなざしで訴えた。

(また、訳の分からない事を言いやがって・・・)

「それで、その銀河なんちゃらって、一体何だよ!それは!?」

「新銀河連合同盟評議会。銀河系の中にある高文明惑星の連合同盟です。ちなみに、地球は文明レベル3なので、準文明惑星になります。だから、今の地球は加入出来てないのですね。もし、地球がこの連合同盟に参加する為には、あと数百年必要ですね」

「銀河連合?文明レベル?」

「文明レベルは人類が住んでいる惑星のランクの事ですよ!」

(なんだよそれ、中二病全開のようなSF設定は!!ゲームのやりすぎか?まったく、俺にそんな妄想力があったけか?)

 もう話の内容は完全に勝彦の想像を超えるところまで来ていた。夢や幻なら自分自身で見ている事になる。そうすれば、おのずと自分の知識が妄想していると判断できる。

 だが!今、目の前でクー太が言っている事は勝彦の知識と妄想力を完全に超えていた。

 実際クー太が発言すればするほど怪しくなっていく。

 勝彦は、自分自身の夢や妄想の可能性を疑い、別の理由を考え始めていた。

「それじゃあ聞くけど、宇宙には地球以外にも人類がいるっていう事になるのか?」

「そうです。実は、地球人類を含めて、銀河系にいる人間は、今から1億2千年前に銀河系の中心で出現した知的生命体の子孫なんですよ。だから地球に人間が住むようになったのは、今から6500万年前に、私達の祖先が地球に隕石を落として、人類の敵となる生物を絶滅させた後に、人類を移住させたのが今の地球人なんです。銀河系の星々には、そういった数多くの人類が移り住んでいるんですよ」

 と、自称クー太は笑顔で答える。


(うーん、やっぱり話が飛びすぎている・・・)


 やはり勝彦の妄想や、夢っていうレベルを完全に超えている。

 勝彦は自分自身の夢や幻覚では無いという事は完全に理解していたが、何故こういう状況が起きているんだろうか?と思っていた。

 夢や幻覚ではないなら、他にどんな可能性があるのだろうか?勝彦は、頭の中で知識をフル回転して考えを巡らせた。


(まず、クー太だっていう事に関しては信用出来るとは思う。でも、宇宙人になって生まれ変わったという事と、あと一年で地球が滅びる事に関しては現実として信じられない・・・)


 勝彦は、何か確証できる証拠を見せてもらおうと思った。妄想ではないなら、何か物的証拠があれば、判断のきっかけになるかもしれないと思ったからだ。



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