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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 82話

 それから、勝彦とクー太とジャネイロの3人は、アレスを置いて街に向かって走り出した。途中、勝彦はアレスの事が心配になって後ろを振り向くと、アレスは剣を抜き後ろを向いて戦う準備をしている。

「さあ、早く!」

 勝彦がそれを見ていると、ジャネイロが急ぐように言ってくる。ジャネイロに急かされて、心配になりながらも前を向き先を急いだ。

 ここから街までは、地平線状の向こうに見えている。距離にして言えば10キロ位ある。

 恐らく、ゼルで走れば30分も掛からない距離のはずだ。何とかあそこまで駈け込めば、人通りも多いから何とかなるはずである。

 勝彦はそう思いながら、3人で急いで走って街に向かっていた。だが突然、勝彦の頭の中にアルテミスの声が聞こえてくる。

「勝彦殿、危険です。この先に数人の反応がありますよ!」

 突然アルテミスはこの先に人がいると教えてくれる。

「え!?」

 それを聞いて勝彦とクー太は、すぐに反応して止まった。どうやらクー太も、アルテミスに言われて止まった様である。

 だが、アルテミスの声が聞こえないジャネイロだけは、一人止まらずその場を駆け抜けて行った。

「待ってくれ!ジャネイロ!この先に人がいるってよ!」

 勝彦がそう言うと、ようやくジャネイロも立ち止まる。

「え?なんだって!?何故そんな事を君が・・・?」

 そう言って不思議そうに聞き返してくる。だが、それは遅かった。

 ジャネイロが振り返って、勝彦達の方を向くと、その瞬間である・・・・どこからともなく矢が飛んできたのだった。

「ぐうっ!!」

 気が付くと、その矢はジャネイロの肩に刺さっていた。

「だ、大丈夫か?ジャネイロ!」

 勝彦はすぐに剣を抜き、ジャネイロに駆け寄る。

 そして、辺りを見渡して警戒した。

 警戒しながらジャネイロの肩を見てみると、矢が突き刺さって痛々しい。突き刺さった矢からは、血が次々と滲み出てくる。

 それを見て、すかさずクー太がジャネイロに駆け寄る。

「ジャネイロさん!!」

「ぐう・・・ああ、大丈夫だ・・・利き肩じゃない。剣は何とか持てる・・・」

 そう言って、ジャネイロは剣を抜いて戦おうとしていた。

 だが、肩に刺さっている矢からはどんどん血があふれ出ていて、とても痛々しい。これでは、ジャネイロは戦えそうもない。

(・・・どうする?やっぱり俺が戦うのか?)

 普通のRPGゲームなら、ここで戦う所である。

 だが、勝彦は完全なるど素人だ。しかも完全にリアルである。どう考えてもムリゲーだった。

(戦えば・・・・死ぬかもしれない・・・)

 そう思うと、急に恐怖感が襲ってくる。

 さっきまで、いざとなったら戦おうと思っていた気持ちは、ジャネイロの血を見て吹っ飛んでしまった。

 ふと、自分の手を見てみると・・・恐怖で手が震えている。

 そんなピンチの勝彦に、アルテミスが声を掛けて来る。

「勝彦殿・・・大丈夫です!」

 アルテミスは優しく語りだす。

「その剣は科学で作られた剣です。この時代の人に負ける事はないです。それに、勝彦殿がこの星で会話が出来ているのと同じように、戦う術を知っているはずですよ。さあ頭の奥底にある知識を思い出してください。戦える気がするでしょう?」

 と、アルテミスは勝彦に戦うように優しく訴えてくる。

 だが、それを聞いて勝彦はすぐに反論した。

「馬鹿言うな!何、調子の良い事言っているんだよ!むちゃ言うな!無理に決まっているだろ!」

 無茶ぶりされて、勝彦はアルテミスの言う事がどうしても信用出来なかった。やった事が無い事を急にやれと言われても出来るはずがない。

「大丈夫です。私を信じてください!ここで生き残らなければ、地球は救えませんよ!さあ、心を落ち着けてください!」

「うぐ・・・わかったよ・・・」

 それでもアルテミスは、落ち着くように勝彦に語り掛けて来る。

 勝彦は納得してなかったが、とりあえず心を落ち着けた。

(自分には何も武術の経験は無い。昔、真司が剣道をやっていたという事を聞いて、木刀の構え方を少し聞いた程度だ!ジャネイロの様に怪我するのが関の山だ!)

 勝彦は、そんな自分に戦えるはずがないと思っていた。でも、どれだけ考えても勝彦にはここを切り抜ける方法が他にない。それに、いざとなったらアルテミスが転送してくれると聞いている。ここは素直にアルテミスの言う事を聞くしかないと思った。

 そう思った勝彦は、アルテミスの言う通り、深く深呼吸をして心を落ち着けた。

 すると、ある疑問が思い浮かぶ。

(あれ?そういえば・・・朝もゼルに乗れないと思っていたけど、乗れたんだっけ!?それに!ジャネイロが怪我した時・・・・俺は何故、剣を抜いて、周りを警戒したんだ?)

 それはまさに、無意識の行動だった。

 今まで、勝彦は不思議に思わなかったが、ここで妙な納得感が出てきていたのだった。

 何度も聞いているが、自分の頭の中や筋力などが、転送される事によって強化されている事を改めて実感したのだった。

(だったら、アルテミスが言う通り・・・・俺は戦う方法を知っているのか?)

「よし!俺は・・・・やれる!」

 そう思った瞬間、勝彦はゆっくりゼルから下りた。

 そして剣を構えた。

 手に持った剣をよく見ると、見た目は剣の形をしているが、ところどころにボタンが付いている。よく見れば科学的な剣だった。

(俺は・・・この剣を知っている・・・・?俺はこの剣を使いこなせる!)

勝彦は、そう自分に言い聞かせていた。すると、何故だか自信がみなぎってきた。

「ジャネイロ・・・下がっていてくれ。ここは俺に任せてくれ!」

「だ、大丈夫なのか?」

 ジャネイロは心配そうにしている。

 そりゃそうである。ずぶの素人が、いきなり実戦をしようとしているのだから。

 でも、勝彦は何故だか大丈夫だと思っていた。

「ああ、大丈夫だ!」

「勝彦君・・・大丈夫?僕がやろうか?」

 剣を握って心を落ち着けていると、クー太が語り掛けて来る。

「大丈夫だ!アルテミスに言われて、なんだか出来る気がするよ、お前はジャネイロの方を見てやってくれ!」

「うん、わかったよ!」

 勝彦に言われて、クー太は素直に引き下がった。深刻に心配している様子はない。どうやら、クー太も勝彦の事を信用している様である。いや・・・・それだけ、剣の機能を信用しているのかもしれない。

(クー太もこの剣があれば大丈夫だと思っているんだろうな。俺も、何だか大丈夫な気がするし・・・)

 この心境は、マシンガンを持って丸腰の人間に立ち向かうくらいの安心感である。そして、勝彦は大きく息を吸い込み、叫んだ。


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