第2章 80話
それから勝彦達は、ピラミッドを背景に4人で手作りお弁当を食べる事になった。
しかも、お弁当はシンシアとネコウネが作った手作りである。勝彦のテンションは俄然上がっていた。勝彦にとって、女子の手作り弁当なんて生まれてだったからである。
(それにしても・・・・ジャネイロが羨ましすぎるぞ!シンシアは綺麗で、性格が良くて、しかも料理が出来る。くそー、ホントリア充爆発しろだよな!)
勝彦は弁当を食べながら、こっそりジャネイロを睨み付ける。
「ん、どうかしたのかい?」
勝彦の視線に気づいたジャネイロが聞いてくる。
「ふん、何でもない!」
と、勝彦は半分キレぎみで答えた。勝彦の心の中は、悔しさで一杯だったからだ。
すると、ジャネイロは勝彦の態度なんて気にせず、すぐに視線をアレスに向けてアレスに向かって懐かしそうに昔話を始めた。
「そういえば、昔はシンシアと3人で、よくここまで遊びに来たよな・・・」
ジャネイロは弁当を食べながらボソリと呟く。
「そうだな・・・」
それにつられるようにアレスも答える。
すると、その二人の会話にクー太がすっと入っていく。
「今日は、シンシアさんは何故来なかったんですか?」
ここでクー太は、勝彦も気になっていた疑問を二人に尋ねた。勝彦も気になっていたので、勝彦は丁度いい質問だと思っていた。
(それは、俺も気になっていたんだ・・・・)
「そ、それは・・・」
ジャネイロはそう言って困った顔をしている。
そんな姿を見て、勝彦は何故ジャネイロがそんなに困っているんだろうかと思っていた。
せっかく3人揃うのである。シンシアも一緒に来れば良かったのにと勝彦は思っていたのだ。
(シンシアなら喜んで来そうなもんだけど・・・・)
そもそも、一番最初に知り合いになったのはシンシアである。彼女が居れば本当のピクニック気分になれたはずだ。
すると、ジャネイロはアレスの反応を気にしてアレスの方をチラッと見ていた。
「済まないな、実は・・・俺の家の家庭の事情だよ!」
と、素っ気なくあっさりとアレスは答えた。そんなアレスの答えにすぐに、ジャネイロが声を荒らげる。
「アレス!!」
そして、アレスはしれっとジャネイロに言い返す。
「いいだろ!どうせ、後からシンシアにバレる事だぜ!」
「あ、いや、そうだけど・・・・でも・・・・」
それでもジャネイロは、知られたくない様にモジモジしていた。それを見て勝彦は、すぐにジャネイロに気を使う。
「あ、別に言いたくないなら、言わなくてもいいんだぜ!俺だってさっき・・・・」
と、勝彦はさっき気を使ってくれたことを思い出していた。
クー太がピラミッドに登っている時、二人は深く追及してこなかった。自分は隠していて、他人の秘密は聞く。そんなの、何だかフェアじゃないと勝彦は思ったのである。
「いやまあ、そんなに隠すような事じゃないって!俺は気にしていないしな!」
と、アレスはケロっとして気軽に言う。
勝彦は本当にいいのかな?と、思ってジャネイロの方を見るが、ジャネイロはもう諦めたといった顔をしていた。
「えーっとな、実はな・・・俺の兄貴、つまりシンシアの兄でもあるんだけど、兄貴はジャネとシンシアの交際を反対しているんだよ!だから、シンシアは気軽にジャネに会う事ができないんだ!」
そうアレスは込み入った事情を淡々と語りだす。
そして、ここでようやく勝彦は思い出した。
(・・・・なるほどな。つまり、アレスのお兄さんは、シンシアとジャネイロが会うのを嫌っているのか・・・・・)
確かに昨日、ジャネイロは同じような事を言っていた。自分はシンシアのお兄さんに嫌われているんだと・・・。
(何で嫌われているんだろう・・・・?俺と同じで、ジャネイロのリア充が気に入らないのか?)
勝彦の横で聞いていたクー太が、さらに確信的な質問を続ける。
「それは何故ですか!?二人はあんなに仲がよさそうなのに・・・」
「うーん、それはな・・・・」
さすがのアレスも悩み、そして、チラッとジャネイロの方を見る。
「別にいいよ、仕方がない事だしね・・・」
と、ジャネイロはすべてを諦めた感じでアレスに答える。そして、アレスは込み入った事情の確信部分について語りだす。
「実はな・・・俺達アルゼン一族は、アントフェス帝国の将軍を輩出してきた名門なんだ。だが、数十年前・・・・宰相のボトル・デモスが権力を握ってから、俺達は、将軍家なのに軍の実権を奪われ、ずっと虐げられてきたんだ。俺のじいちゃんも、父さんも・・・いわれのない罪で処刑されたんだ。つまり、宰相のボトルは俺達将軍家の力を恐れたんだよ。それからというもの、俺達アルゼン一族は没落し、政治中枢から追い出されたんだ。だから兄貴は・・・・ボトルと、それを止められなかった皇帝を恨んでいるんだよ・・・」
「・・・済まないな・・・」
ジャネイロは悲しそうな顔をしてアレスに謝った。
「別にお前が謝る事ないさ、それに・・・俺達が何とか家名を保っていられるのも、お前の姉ちゃんが、兄貴に嫁いで来てくれたおかげだしな。まあ・・・それすらも兄貴は、憐みをうけたと皮肉っているけどな・・・ははは・・・」
と、アレスは明るく気軽に言う。
そして、アレスの話を聞いて勝彦は衝撃を受けていた。元気で明るそうにしている二人に、こんな身の上話があるなんて思ってもみなかったからだ。
さっきまで「このリア充が!」とか言っていた自分が恥ずかしくなってきていた。
普通に考えたら、アレスの兄貴と同じで、アレスはジャネイロを恨んでもおかしくないはずである。
なのに、何故そんなに明るく楽しそうに話せるんだろうか。
勝彦は、アレスに対して尊敬の念を抱いていた。本当は、アレスの事をただの目つきの悪い気の強い男だけだと思っていたが、こんなに情にあふれた優しい男だとは思ってもみなかった。
「グランデ将軍・・・昔は優しかったのに・・・」
と、ジャネイロは悲しそうに呟く。
「すまないな・・・兄貴もジャネの事は好意的だと分かってくれてはいるんだけどな・・・どうしてもな・・・」
と、アレスも落ち込む。
「アレスさんは・・・ジャネイロさんと、シンシアさんの間を取り持ってあげているんですね?」
「まあな、俺達は家族みたいなものだからな!子供の頃からずっと親友だからな!」
「そうだな・・・俺達はもうすでに家族みたいなものだよ!」
「ホントだな!」
「あははははは!」
そして、ジャネイロとアレスは、目が合って一緒になって笑っていた。
勝彦は、その姿を見て、二人から言いようもない信頼関係を感じた。
はっきり言って二人の関係は、昨日今日出来た関係ではない。長年つれ添った家族の様である。勝彦も地球に昔からの友達はいるが、ここまで信頼しきっているかは疑問である。
お互いを思いやれる優しいこの二人なら、どんな困難も協力して打ち破れるだろう。と、勝彦はそう思った。
そして、そんな二人を羨ましく見つめていたのだった。




