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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 78話

 そして、そんな観光気分を味わいながら歩く事、数時間・・・。

 勝彦はもうかれこれ8時間くらいはゼルに乗って歩いていた。

 家を出た時、太陽が昇り始めていたが、今はずいぶん真上まで登ってきている。照らされる太陽で、真夏の様に暑く、気温はどんどん上昇していく。勝彦の楽しい観光気分は次第に萎え、身体から出る汗が止まらない。

「あづいー・・・体がとろけそうだー」

 もうすでに、景色を楽しむ余裕もなくなって、勝彦は暑さでバテていた。気温は30度を超え、日本で言ったら真夏日のような暑さである。

 勝彦は、ほんの数日前まで地球の日本にいたので、暑さに弱い状態だった。日本にいた頃の季節は丁度春。春といえば肌寒い季節である。

 だから勝彦は、この気温にどうしても耐えきれなかった。

「もう少しだよ勝彦!ほら、あそこにもう見えているだろ!」

 前を行くジャネイロが励ましてくれる。だが、勝彦は意識が朦朧としてはっきりしていなかった。

 確かに、もう目の前にピラミッドは見えている。最初は小さかった建造物も、だんだん大きくなって見えてきている。おそらく、あと数十分で着いてしまうだろう。でも、勝彦の体はもう限界まで来ていたのである。

「なんだ?こっちの、ちっこいクー太の方は大丈夫なのに、お前はずいぶん軟弱な奴だな・・・」

 ゼルに乗って先行しているアレスが、振り向いて勝彦に厳しい言葉を浴びせる。

「あーもう!俺は寒いところから来たんだよ!」

 と、アレスの馬鹿にしたような言葉に対してすぐに言い返す。もう、暑さでイライラが限界に来ていた。

「大丈夫?勝彦君・・・」

 と言って、クー太は心配して勝彦の顔を覗き込む。

「もう駄目だ!アイスが食べたい・・・クーラーの効いた部屋でゆっくりゲームしたい!」

 そう言って勝彦は大声で本音を叫んだ!それほど勝彦の気持ちは精神的にきていた。

「わ!ちょっと勝彦君!」

 クー太は慌てて勝彦の言動を遮る。こんな所で文化的言葉を叫べば、ジャネイロとアレスが不思議に思ってしまうからである。

「はあ・・・?クラ?ゲーム・・・?なんだそれ?」

 案の定アレスは、勝彦の言葉を聞いて不思議そうにしていた。クー太は慌てて勝彦に話しかける。

「もう!勝彦君!!そういう事はあまり言っちゃダメだよ!」

 と、クー太が勝彦を窘めた。

 だが勝彦は、そんなクー太の話も受け入れられないほど精神的に参っていた。

「うるさい、うるさーい!もう嫌なんだよ!俺はジュース飲みたいんだよ!」

 と、駄々をこねる。それを見ているジャネイロとアレスは、不さらに思議そうにしている。勝彦が暑そうにしているのは理解している様だったが、何を言っているのかさっぱり分からないといった感じである。

「もう、仕方がないな・・・」

 と言って、クー太は勝彦の我儘を諦めた。

 そして、ジャネイロとアレスに聞こえないように、こそこそとアルテミスに喋りかける。

「アルテミス!勝彦君の服に体温調節機能をつけてあげてよ!」

 と、クー太が言ったのが聞こえる。勝彦は朦朧とした意識の中でも、クー太とアルテミスの会話が何となく頭の中で響いて聞こえていた。

「リリア様・・・ちょっと甘やかせすぎじゃないですか?」

「そんな事ないよ、勝彦君は地球とは違う環境に来たんだよ。それに、慣れない転送と再構築の負担で、もしかしたら何か別の体調の変化を感じているのかもしれないし・・・」

 そう言うと、少し考えたアルテミスも納得する。

「まあ・・・それはそうかもしれませんね・・・・分りました!」

 そう言って最初は反対していたアルテミスだったが、クー太のは話を聞いてちょっと納得した感じで答える。

 そして、勝彦がハッと気が付くと、着ている服の感じが一瞬で変わる。

 勝彦は、すぐに服が転送されたのに気付いた。見た目は何も変わっていないのに、着心地が全く違っていたからである。

 さすがに何度も転送と再構築を経験していると、いつ転送されたのか良く分る様になっていたのだった。

「な、なんだ・・・?」

 勝彦は、自分の服が転送されたのは分かったが、でも何が変わったのか分からない。

 見た目は何も変わっていない。ただ、着心地が何だかおかしかった。さっきと違って服が冷たいような気がする。服がひんやりして冷たくて気持ちが良い。

「どう?涼しくなったでしょ?」

 そう言ってクー太が感想を聞いてくる。どうやら、クー太の指示で勝彦の服は涼しくなる機能が付いた様である。そして・・・勝彦はここまでしてくれたクー太に、少し恥ずかしくなっていた。

「お、おう・・・ありがとうな・・・・」

 これ以降・・・勝彦は何も言えなくなった。はっきり言ってアルテミスの言うとおりで、勝彦は暑さに嫌になっていただけである。

 何もかも嫌になって、ちょっと我儘を言ってみただけなのだった。

 それなのに、クー太は自分の為にここまで対応してくれるとは思ってもみなかった。

 勝彦はクー太に対するちょっとした感動と、同時に自分の嫌さ加減に少し落ち込んでしまった。そして、感謝の気持ちで一杯になってクー太の横顔を見る。

(こいつ・・・・やっぱ優しいな・・・)

 先を進むアレスとジャネイロは、勝彦達の言動を不思議そうに見ていた。

「・・・・変な奴らだな、まあいい。それよりお前達、着いたぞ!」

 と、気を取り直したアレスがそう言うと、目の前に大きなピラミッドがそびえている。

 ピラミッドの大きさは大体50メートくらいで、真ん中にある階段が頂上までつながっている。

 そして、ピラミッドの周りには土が盛ってあって、ピラミッドの土台部分が埋まっている。

 地球のピラミッドでたとえるなら、中南米に見られるようなマヤのピラミッドによく似ていた。

 でも、大きさはこちらの方が段違いに大きい様に見える・・・。

「これがその、ピラミッドか・・・」

「そもそもお前達、ここで何をするんだ?」

 と、ここで改めて勝彦達の事を不思議に思ったアレスが聞いてくる。

「僕が聞いた話だと、遺跡の調査をするんだと聞いているんだけど・・・」

 と、さらにジャネイロも勝彦に疑問に満ちた顔で聞いてくる。それを見て、勝彦は困ってしまった。

 ここに来たのは、ワープに必要なダークマターエネルギーを回収に来たという事である。それをジャネイロ達に言ってもいいのか分からない上に、どうやって回収するのかも分からない。

「いや、その・・・クー太、で、ここでどうするんだっけ?」

 と、返事に困った勝彦はすぐに話をクー太に振った。

(そんな事を言われても、俺だって知らない・・・)

「はい、ちょっと待ってくださいね・・・アルテミス、分かる?」


 クー太は空を向いてアルテミスに聞く。

(いや、俺に説明するんじゃなくて、ジャネイロ達に説明して欲しいんだが・・・)

 そんな勝彦の気持ちとは裏腹に、クー太はアルテミスに尋ねる。クー太が一人でアルテミスに聞いている姿を見て、ジャネイロ達はまたもや不思議そうに見ていた。

「なあ勝彦・・・クー太君は何をしているんだ?」

「あ、いや!・・・」

 勝彦はまたもや返事に困った。ただでさえピラミッドに来た本当の理由を説明出来ずにいるのに、クー太のアルテミスと話している行動まで説明出来ない。

 勝彦が、いよいよ困っていると、クー太へ言ったアルテミスの声が勝彦の頭の中にも聞こえてくる。

「はい、登って頂上のところです、リリア様!」

 と、勝彦の頭の中でもアルテミスの言葉が聞こえた。どうやら、ダークマターはピラミッドの頂上の様だ。

 だが・・・・今度はそれをどうやってジャネイロ達に言うべきか勝彦は迷っていた。


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