第2章 76.5話
「おい、クー太!早く起きろよ!出発するぞ!」
と、勝彦はクー太の肩を何度も揺さぶって、無理やり起こそうとする。だが、それでもクー太は起きない。
それどころか、何か寝言を言っている始末である。
「うーん・・・勝彦君・・・」
と、クー太が勝彦を呼んで、何かボソボソ喋っている。
それを聞いて勝彦は、顔をクー太に近づけて何を喋っているのかを聞き取ろうとした。
「ん、なんだ?何言っているんだ・・・?」
すると、クー太は寝ぼけているのか、腕を振り上げて、勝彦に抱きついた。
「わ!ちょ、ちょっとクー太!放せよ!」
クー太は無意識に、勝彦の首に手をまわしてギュッと抱きしめる。その力は強くてなかなか離れない。寝ているとはいえ、クー太に抱きしめられるのはこれで3何度目である。さすがの勝彦も大分慣れていた。
(それにしてもこいつ・・・・いつも俺に抱きついてくるよな・・・)
「う、うーん・・・」
クー太は勝彦に抱き付いたまま寝返り、気が付くと勝彦の目の前にクー太の顔があった。
「おい、クー太!起きろ!」
勝彦は、クー太の目の前で比較的大きな声で言った。すると、クー太はゆっくりと目を覚ました。そこで、勝彦とクー太は目が合ってしまった。
「おい・・・やっと目覚めたのか?」
勝彦は、クー太の目の前で言ってやった。もちろん驚くだろうという悪戯心もあった。
すると、案の定驚いたクー太は、勝彦に抱き付いていた手を離して驚いた。
「わーーーーーー!か、勝彦君!?」
クー太は真っ赤になって驚いていた。ここで勝彦は冷静にクー太を諭す。
「お、お前・・・寝すぎだぞ!」
「ご、ごめん・・・」
「いいから、早く出発するぞ!ジャネイロ達が待っているからな!」
「わ、わかったよ!すぐ行くよ!」
そう言ってクー太は飛び起きた。勝彦は、クー太が準備をするのを待つ為、部屋を出た。部屋を出た勝彦の心臓は、何故だか鼓動が早くなっていた・・・・。
それから、クー太と一緒にジャネイロ達の所に行くと、二人はもうすでに行く準備をして待っていてくれた。
しかも、昨日シンシアを迎えに来た時にアレスが乗っていた、牛みたいな顔をした動物を用意して待ってくれていたのだった。
「うわーこれに乗っていくのか?」
その動物は、ジャネイロとアレスの前に4頭並んでいる。地球で乗るような馬と違って、重量感があって恰好よかった。
「ああ、こいつはゼルという動物さ!これなら、日が暮れる前までには帰って来れるからな!」
とアレスが教えてくれる。でも、勝彦はすぐに不安になった。
実は中学生の時、家族旅行で観光用の大人しい馬に乗った事があった。その時、ゆっくり歩いている分には問題なかったのだが、走り出すとバランスを崩して落ちてしまった事があったのだ。ゼルという動物を見て、勝彦はその時の記憶が蘇ってきたのである。




