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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 68話

「天使様、私たちの愛を認めてください!お願いします」

 話しかけてきた女性は、勝彦に一歩また一歩と近づいてくる。その大胆な女性の行動を見て勝彦は緊張した。

「シンシア!待つんだ!」

 だが、それを止めたのは女性の傍にいた男性である。

 その男性は、必死で女性に叫んで引き留める。そして、剣に手を掛けているのを勝彦は見逃さなかった。

(この男には・・・警戒されている!?アルテミスの嘘つき!)

 勝彦はアルテミスを恨んだ。

「いや、俺達はその・・・」

 勝彦はすぐに手を振って取り繕う。

 まずは警戒されているこの男を何とかしないといけない。勝彦は、自分達は危険な存在じゃない事を訴えようとしたが、それでも女性の方がグイグイと近づいてくる。

「いいえ!空から光と共に下りて来たんです。そうとしか考えられません!どうか、私たちの愛を認めてください!天使様!」

(この人は・・・・俺の事を何と勘違いしているんだ?)

 話の中身が全く見えてこなかった。愛を認めて欲しいという事は、この二人はカップルなのだろうか?まったくもってリア充で羨ましい限りだ!だが・・・今はそれどころじゃない。

「へー、二人は恋人でいらっしゃるんですね!」

 と、勝彦の後ろに隠れていたクー太は、ひょこり現れてその女性に気軽に話しかけた。

(おいおい、大丈夫なのか?そんなに気軽に話しかけて・・・)

 勝彦は女性の後ろにいる男をチラッと見た。やはり、剣に手を掛けてこちらを警戒している。まずい、このままでは攻撃されるかもしれないと思った。

「はい、でも・・・家族の反対にあって・・・」

 その女性は、急に悲しそうな顔になって話し出した。勝彦はその表情を見て、何か特別な事情でもあるのだろうか?と思った。

 そして・・・彼女の顔を眺めていると勝彦は「ドキ!」っとした。

 そこにいた女性は、とんでもない美少女だったのである。髪は金髪で肌は白くてきれいな瞳をしていた。彼女が着ている服は中華風だけど、赤色が色鮮やかに使われて、多くの宝石がちりばめられていて光り輝いている。

 そして何よりも、彼女の周りの空気はすごく澄んでいて、彼女自身と宝石によって、キラキラ輝いている様にみえたのだった。

(後ろにいる彼は、この子と付き合っているのだろうか?だとしたら羨ましい・・・)

 勝彦はその女性に見とれてぼけーっとしていると、彼女はお構いなしにどんどん近づいてくる。

「どうかお願いです。どうか、彼と一緒になれるようにして下さい。もう、何度もここで来て、お祈りしているのです!」

 と、その女性は、尚も懇願してくる。

 だが、ボケーっとしている勝彦の前にクー太が出ると、その女性に話かけたのだった。

「うーん・・・残念だけど僕達は、天使なんかじゃないです。実は、遠い所から遺跡の調査にやってきたんです」

 と、クー太が答えると、その女性はしゅんとなって落ち込む。

「そ、そうなんですか・・・」

 その女性がそう言って落ち込んだ、その瞬間である!

「離れろ!シンシア!お前達は何者だ!」

 女性の後ろにいた男は剣を抜き、女性を後ろに匿った。それを見て勝彦もクー太の手を引き、自分の後ろに匿った。

(やっぱり・・・俺達はかなり警戒されていたからな・・・・)

 そりゃそうだろう、空から下りてきた光る乗り物から、人が出てきたのである。怪しむのが当然だ。逆の立場なら警戒して当然である。

 勝彦も、使いこなせる自信がなかったが、アルテミスが用意してくれた剣に手を掛けて、いつでも抜ける準備をした。

「やめて、ジャネ!この人達はそんな人達ではないわ!」

 今度は女性の方が、前に出て男性を遮って止める。

「だけど・・・」

「大丈夫、不思議な人達だけど、私達に害をなす人ではないわ!だって、私が天使様と間違えたんだから・・・」

 女性がそういうと、男は剣をしまって、こちらに近づいて膝まづいて頭をさげた。

「大変失礼しました。彼女を守る為とはいえ、剣を向けた事をお詫びします」

男は謝罪をして急に素直になった。

「い、いえ・・・こちらも警戒していたので・・・」

 勝彦もつられて、かしこまって返答する。さっきまで自分達を警戒して、攻撃されそうだったのに、ものすごく大人しくなったからだ。

 勝彦は、何が彼をこんなに変えたのか不思議に思った。

 そう、勝彦が不思議に思って考えていると、膝まづいて謝罪した男が立ち上がり、勝彦に喋り掛けてくる。

「私の名前はジャネイロ・カタ・ルーと言います。ジャネイロと呼んでください。そして、彼女の名前はシンシア・アルゼン」

 ジャネイロは、シンシアの方を向いて後ろの女性を紹介する。

「私の事はシンシアと呼んでくださいね」

 と、彼女は軽く会釈をする。

「こちらこそよろしく、僕の名前はクー太、僕の事もクー太でいいですよ!」

「あ、どうも、俺は西田勝彦です。俺も勝彦でいいです!」

 と、続けて自己紹介をした。

「実は・・・彼女には人の心が読める能力があるのです。彼女が、貴方たちに危険はないと言ったという事は、あなた方は、安心できる方だと判断しました。無礼を働いて大変申し訳ありませんでした!」

 と、ジャネイロは、深々と頭を下げる。だけど勝彦は、ジャネイロの事よりも今言ったシンシアの能力に驚いていた。サルガス第13惑星に降りる前にアルテミスと勉強した、特別な力を持つ人間に、いきなり出会えたからである。

 目線を彼女に向けると、ニコリと微笑みかけてくる。それを見てまたドキドキしてしまった。

(人の心が読めるだって・・・?ホントに読めるのか?それにしても・・・・こんな綺麗な人が人の心を読めるなんて・・・)

 勝彦がシンシアを見て、考え込んでいると、それに気づいたシンシアが勝彦に話し掛けてくる。

「人の心が読めると言っても、はっきり分かる訳ではなくて、なんとなくなんです。たとえば、この人は今、こんな事を考えているだろうなあとか、何を食べたいのかなあとか、好きだとか嫌いだとか・・・・私はそういうのが分かるんです。ちなみに、貴方が、私の事を綺麗だなあと思って下さってくれている事も分かっていますよ!」

 と、シンシアが勝彦の方を見て微笑んだ。

「ええ!?いや、その・・・俺は・・・」

 勝彦はびっくりして焦った。確かに綺麗な人だなと思っていた、でも、それがバレていたなんて思ってもみなかったからである。そして、シンシアは勝彦に悪戯っぽく答える。

「残念ながら、私にはジャネがいるので、諦めてくださいね!」

 と、シンシアはジャネイロの腕に抱きついて言った。

「おい、こらこら!」

 シンシアに抱きつかれたジャネイロは照れていた。

「いえいえ、滅相もありませんよ!」

 と、言って勝彦は慌てて手を振って取り繕った。本当は目の前でいちゃつかれてリア充乙!とか思っていたが、さっきジャネイロに威嚇されてビビっていた気持ちが残っていたから警戒していた。

 それに、確かに綺麗な人だと思ったけど、そこまでは厚かましい事は考えていなかった。

(くそー、宇宙に来てまで、リア充を見せつけられるとは・・・)


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