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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 60話

「間もなくヘリオポーズを抜けます」

「じゃあ、アルテミス。この後の予定を勝彦君に説明してあげて!」

「はい、わかりました!」

 アルテミスがそう言うと、また全体図を示したスクリーンが出てきて説明を始める。

「ヘリオポーズを抜けましたら、長距離空間転移で超彗星の進路上に出ます。そののち、超彗星との接触直前で、さらに長距離空間転移でユークレース帝国方面に向かいます!」

「なるほど、確かに危険な度胸試しゲームって感じだな・・・・」

 一歩間違えば超彗星に飲み込まれて自分達が消滅してしまう。だが、こうしている間も、ツキタカからの攻撃が断続的に続いていて、時々衝撃音が聞こえてくる。迷っている暇はない。

「リリア様!シールド損耗率30%まで低下しました。もう間もなくシールドが消滅してしまいます!」

 今まで、ツキタカによる攻撃を防いでいたシールドも限界が来た様である。いよいよ、後には引けない。

「わかったよ、じゃあアルテミス!作戦を実行して!!」

「はい、それでは転送開始します!」

 アルテミスがそういうと、一瞬、またいつものめまいが起きる。おそらく、また転送が行われたのだろうと勝彦は思った。

 辺りを見回してみると、周りの風景は何も変わっていない・・・いや、後ろからの攻撃がなくなっている?さっきまで断続的に続いていたレーザー攻撃が無くなっていた。

(俺達は転送して、うまく逃げ切れたのか・・・・?)

「え!?もしかして・・・今、空間転移したのか?」

 勝彦は恐る恐るアルテミスに聞いてみる。

「はい、とりあえず完了しました!」

 やはり、勝彦達は空間転移をしていた。勝彦は、ようやくここで一息入れた。

「じゃあ、ツキタカの野郎から逃げ切れたのか?」

「いえ、すぐに空間エネルギーを検知して、まもなくここに空間転出してくるでしょう!」

 しかし、勝彦が一息を入れたのも束の間、アルテミスはすぐに映像スクリーンを出して説明を始める。

「私達は今、地球から約一光年先のオールトの雲内に転送されました。今から一分後に、ここに超彗星が衝突するコースに入っています」

「衝突って・・・おい、大丈夫なのかよ?」

 映像スクリーンには、アルテミスの現在地に超彗星が衝突する様に示されていた。勝彦に緊張感が増す。

 そして、心配してクー太を見ていると、アルテミスが安心する様に言ってくる。

「大丈夫です!衝突寸前で、長距空間転移を行うので、ぶつかる事はないはずです。どうか私を信じてください。必ず成功させてみせますから!」

「お願いだよ!アルテミス!」

「お任せ下さい!リリア様!」

 それから30秒もしないうちに、船内の宇宙空間を映し出している壁が、大きく輝きだした。輝いている先を見ていると、その光はどんどん大きくなっている。

「なんだ!あれは?」

「あれが超彗星ですよ・・・」

「あんなものが地球にぶつかるのか?」

 その輝いている物体・・・というより、大きな天体は、どんどん近づいてくる。

(ま、まぶしい・・・)

 輝く物体は・・・・容赦なく光を大きくしていく。

「だ、大丈夫なのか!?」

 勝彦はその接近する彗星に恐れて気が気じゃなかった。大きな輝く彗星は、こちらに近づくにつれ輝きを増していく。

 勝彦がその超彗星にビビッていると、クー太がそっと手を握ってきた。

「大丈夫、僕がいるから・・・」

「クー太・・・」

 勝彦はクー太を見つめて、手を握り返した。

(大丈夫だ!!死ぬ事はない。必ず成功するはずだ!!)

「それでは、二人とも・・・飛びますよ!」


 アルテミスがそう言った瞬間、光が部屋全体に広がっていった・・・。


 それから勝彦は、どう転送されたのか分からなっかった。今までの転送と違って、いつもの目眩は起こらなかったからである。

 むしろ、迫りくる輝きに、宇宙船全体が包まれ、勝彦はまぶしさで何も見えなくなって、そして・・・気が付くと隣で手を握っていたクー太がいなくなっていた。

 よく見れば宇宙船の部屋も見えない。真っ暗闇というんじゃなく、ただ真っ白だったのだ。どこ見ても真っ白で何も見えない世界・・・・。

 その真っ白な世界で、勝彦は世界がなくなったかのように感じていた。

「俺は・・・死んでしまったのか・・・?」

(何も見えない・・・何も感じない。俺は転送されたはずなのに・・・)

 もしかして、転送に失敗したのだろうか?アルテミスの転送のタイミングが間違って、彗星にぶつかって死んでしまったのだろうか・・・・?

 勝彦は、ただ・・・真っ白な何もない世界を漂っていた。いや、漂っているという表現は正しいのだろうか?それとも存在している・・・?

「いや・・・それも違う感じだ!」

 勝彦は無意識につぶやいていた。とにかく、自分の魂が何もない世界に存在しているといった表現がわかり易いかもしれない。

(俺は・・・・どうなってしまったんだ?)

 不思議に感じていると、わずかに声が聞こえてくる。

「勝彦・・・勝彦・・・」

(誰かが・・・俺を呼んでいる・・・?)

「誰だ・・・?」

 すると、いつの間にか目の前に美しい女性が漂っていた。歳は勝彦と同じ歳くらいで、純白のウェディングドレスみたいな不思議な服を着ていた。風はないのに、その女性の服はふわふわと揺らめいていて、勝彦の目の前にふわふわと浮かんでいた。

 目線をその女性の顔に向けると、何故だか悲しそうな顔をしていた。

「き、君は・・・?」

 勝彦が尋ねると、彼女はニコリと笑った。

「勝彦・・・あなたはこれから出会い、別れ、悲しみ、喜びを体験していく事で、多くの事を学ぶでしょう。でも、忘れないで下さい。あなたは決して一人ではないという事を。多くの人があなたを支えて、見守っています。そして、私もあなたの事をずっと見守っている事を忘れないでください。あなたは、一人ではありません。多くの人が、あなたの側で、常に見守っている事を忘れないで下さい。私は、いつでも、ずっとあなたのそばにいるのですから・・・」

 その女性は、最初は悲しそうな顔をしていたが、最後にはニコリと笑って笑顔になった。そして、勝彦の手を取り、キャロリンに着けてもらったミサンガに触れると、そのミサンガが急に輝きだした。勝彦の腕は光り輝いてポカポカと暖かかった。

(一体何をしたんだろうか・・・?何故そんな事を言うんだろうか?)

 勝彦はこの不思議な女性が、自分に何を訴えようとしているのかわっぱり分らなかった。でも、自分にとって安心できる存在だという事は分かっていた。

「君はどうして・・・」


 ―それを聞こうとした瞬間、突然目が覚めた・・・。


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