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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第2章 サルガスの悲劇
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第2章 56話

「姫様、どうかお戻りください!さもないと、こちらも実力行使をさせてもらう事になりますぞ。どうか、こちらの指示に従ってください!」

 今回は、ツキタカがいるせいか管理局長は強気に出てくる。

(こいつも、ホントしつこい奴だな・・・ここまで追ってくるなんてよ!)

 勝彦は管理局長を見て呆れていた。管理局長の感じからして、おそらくクー太を見逃したという自分のミスが認めたくないのだろう。

 ここで、横で聞いていたツキタカが管理局長に助け船をだす。

「悪いけど・・・僕は君の父上から、どんな事をしてでも君を連れて帰って来るように言われているんだ!どんな手段を使ってでもね!」

 と、ツキタカは睨みつけて言ってきた。その目つきは鋭く、キザったらしい中にもかなりのプレッシャーだった。

 管理局長は、こいつの後ろ盾を得る事が出来たからこそ、ここまで強気に出ているのだろうと勝彦は思った。

「おい、いいのかよ?」

 勝彦は心配してクー太に声をかける。ツキタカの言動は、かなり意味ありげに言ってきていて、さっきまでの和やかな雰囲気ではない。

 これでは、一体どんな無茶な手を使ってくるのか分からない。本当に大丈夫なのだろうか?勝彦はクー太の事が心配になった。

「ふーん、君がリリア姫をたぶらかした地球人か・・・」

 ツキタカは勝彦の方を見て、じろじろ見つめる。

 そして、偉そうな口調でしゃべり始めた。

「どうだね?今なら君の家族を、他の安全な星に脱出させてあげてもいい。だから、君からも、リリア姫にバカな事をやめるように説得してくれないかな?」

 今度は上から目線で勝彦に言ってくる。

 それを聞いて、勝彦の怒りは頂点になっていた。クー太の横で聞いていた時は呆れていただけだったが、今は完全にツキタカの態度に腹が立っていたのだった。

(はあ?ふざけんな!こいつ、何様だよ!)

 勝彦はこんなに怒りが込み上げてきたのは久しぶりだった。常々、地球に居る真司の事を憎たらしい奴と思っていたけど、こいつは比べ物にならないくらい憎たらしかった。

 そもそも真司の場合は、正論を言って言い返せずに憎たらしかっただけなのだが、こいつは人を馬鹿にした態度が憎たらしかったのである。

(俺が地球を見捨てて、逃げる訳ないだろ!何考えているんだこいつ!?)

「お前がどれだけ偉い奴なのか俺は知らない・・・でもな!!俺は地球人なんだよ!地球見捨てて逃げるようなことをする訳ないだろ!!」

 勝彦はツキタカに向かって宣言をした。

 すると、勝彦の主張を横で聞いていたクー太が前に出てツキタカに喋りだす。

「・・・・そうです!勝彦君は絶対地球を見捨てたりしません。だから、僕は決めたんです!!勝彦君と、一緒に地球を救うんだって!!父上を・・・ううん!僕は新銀河連合全体を敵に回す事になっても、絶対に勝彦君と一緒に地球を救ってみせるよ!!」

 と、クー太の力強い言葉が勝彦の心にも突き刺ささっていた。

(そうだよ・・・・クー太と一緒なら、俺達は絶対やれるはずだ!今更出てきたこんな奴に言われても、心変わりする訳がないだろ!バーーーカ!)

 と、勝彦は通信映像越しにツキタカと管理局長を睨み付けていた。

「そうですか・・・それじゃあ仕方がありませんね!」

 ツキタカは勝彦の反応を見て、おもむろに手を挙げて何か合図をする。しばらくすると、宇宙空間を映している外壁が急に光りだした。

「うわーーーーー!」

 勝彦はまぶしさで目が眩んだ。気が付くと、外を映し出す宇宙空間には、目の前に宇宙船が4数隻映っていた。

 それを見たクー太がまた驚いている。

「ま、まさか・・・超空間転移したの?この近距離を!?」

 クー太はすぐにアルテミスに叫んだ。

「はい、間違いありません!空間転出するのを確認しました!」

 アルテミスは淡々とクー太に報告をする。

「ツキタカさん!貴方は太陽系圏内で、こんな無茶をしていいと思っているのですか!?」

 クー太は、ツキタカに対してすぐに抗議する。だが、ツキタカの態度は変わらない。むしろ、どんどん横暴になっていく。

「なあに、この辺はもうヘリオポーズの外縁部です。特に問題はないはずですよ。それよりも、申し訳ありませんが、少し動けない程度まで痛めつけさせてもらうよ!」

 ツキタカは胸の花を抜き、匂いをかいだ。

「ふっ・・・・攻撃開始だ!」

 手に持っていた花を持って、ツキタカは前に振り下ろした。そして、勝彦とクー太はその言葉を聞いて驚いていた。

(こ、攻撃をするだって?)

「ズウウウウウウウウン!!」

 しばらくすると、船内に衝撃音が鳴り響く。そして、けたたましくサイレンが鳴り響いて、船内の照明が点滅した。その状況から、勝彦はとんでもない事が起きていると悟った。

「な、何だ!?」

 勝彦は何が起きたのわからなかった。ツキタカが何かとんでもない事をしでかしたのは理解していた。でも、何がどうヤバいのか分からなかった。

 勝彦が焦っている中、サイレンの音だけが鳴り響いている。

「リリア様、ロンベルク家の船と、冥王星警備船からの攻撃が開始されました!」

 慌ててアルテミスが報告をしてくる。

「な、なんだって!?」

「ふははははははは!さあ早く、ベルイウング星に帰るといってくれたまえ!そうすれば、すぐに攻撃を辞めてあげるよ!」

 ツキタカは上機嫌でこちらを見ている。そんなツキタカを、クー太は睨み付ける。

「こ、ここまでするんですか!?」

「いったはずですよ、無茶をしてでも君を連れて帰ると!」

 ここで、ツキタカはもう一度花の匂いを嗅ぐ。勝彦はその姿を見て、怒りがこみ上げた。

(こ、こいつ・・・クー太は婚約者なんだろ?)

「ズウウウウウウウウン!!」

 話している間にも攻撃は続く。クー太は、ツキタカへの抗議は諦めてアルテミスに状況を尋ねる。確かに、このままこの男と話していても埒があかない。

「アルテミス、シールドは展開しているの!?」

「はい、シールド展開はしています。でも、シールド損耗率70%まで低下しました。このまま攻撃を受け続けると、10分と持ちません!」

「わかった、すぐに出発してアルテミス!」

「はい、それでは全速力で包囲網を突破します!!」

 クー太がアルテミスに指示すると、船体はゆっくり動きだした。目の前にいる艦隊は、いつまでも攻撃を止めずに、レーザーの様な光をこちらに向けて放ってくる。

 でも、アルテミスはシールドを展開して、シールドによる防壁でレーザー兵器の光を打ち消していた。だから、攻撃を受けたからといって、特に揺れたり爆発する様な事は今のところない。

 そして、アルテミスはシールドに守られながらツキタカの艦隊に突っ込んでいった。

「ど、どうするんだよ!?」

 あまりにも大胆な行動に、勝彦は不安で一杯だった。でも、クー太は少しも動揺していない。アルテミスに指示をして、それを全面的に信用している様だった。

「このまま突っ切ります!」

 アルテミスはうまいこと敵艦隊の間を突き、そこを突破すると、一気に振り切った。

 クー太が言った通り、見事に包囲されていた状態から脱出する事が出来たのだった


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