第1章 47話
「お初に目にかかります。私はチャオ・リーと申します。地球を救うお二人に協力出来て大変光栄です。二人とも、どうか地球を救って下さい!」
と、チャオさんは深々と頭を下げた。
(この人は、中国の人かな・・・?)
勝彦は名前を聞いてそう思った。そして、改めてこの星に居る地球人の豊富な人種に驚いた。
(世界中の人が集まっているんじゃないのか?)
「それより、計画はうまく進んでいる?」
キャロラインがチャオ・リーに尋ねる。
「はい、通信妨害が発生して大混乱が起きています。しばらくは、見つからないはずです」
「そう、なら大丈夫そうね・・・」
「通信妨害?」
勝彦は、何が起きているのか分からないのでキャロラインに尋ねる。
「あら、気づいていなかった?冥王星全体の通信状況をスットプさせたのよ!もちろん、私達の協力者がね!」
「マジで・・・すごいな・・・・」
勝彦の知らない所で、大規模に協力者が行動起こしてくれていた事に驚いた。
「ホントです勝彦君!アルテミスと連絡が付かないです・・・」
リリアが、片手を耳に当てて驚いている。それを見て、勝彦もアルテミスを呼び出そうとしてみた。
「え?でも、さっきまで・・・・おい!アルテミス!」
「・・・・・・」
返事がない。さっきまで自由にアルテミスと話が出来たのに、今は全く反応がなかった。
「大丈夫よ、貴方たちの宇宙船にはもうすでに別の協力者が連絡済みよ!」
「そ、そうなのか・・・」
「アルテミス・・・・」
そう言ってリリアが心配そうにしている。
「さあ、急ぎましょう!遅れると通信妨害が復旧します!」
チャオさんが手招きして、奥の小部屋に誘導する。
チャオさんに案内された小部屋は、ボイラーなどの大きな機械が鎮座していて、大きな騒音を出している。
まるで、無人の機械工場の様な所で、見たことがない機械が忙しく動いている。
そして、その機械の間を縫うように進むと、床に隠し扉があいているのが見えてきた。
「あそこよ!」
と、キャロラインが指をさして教えてくれる。
「僕達はあそこから来たんだよ!」
と、さらにアーロンが教えてくれる。
「そこから、街の中央に出ることが出来るわ!」
床の下にあいている空間は真っ暗で何も見えない。ただ、うっすらと階段が見えていた。
「真っ暗だぞ、ここを下りていくのか?」
「大丈夫よ、これがあるから・・・」
キャロラインはポケットから丸い球体の機械を取り出した。そして、横についているボタンを押すと、ふわふわと浮いて空を飛んだ。
「何だこれ・・・・?」
さらに宙に浮いている球体は光輝いて、隠し扉の中をも照らし出す。
「フリーハンドのライトよ!」
キャロラインが教えてくれる。そう言うと、キャロラインはスタスタと歩いて隠し扉の中に入っていく、そして、アーロンも続いた。隠し扉の中を覗いて確認すると、光輝く球体で明るく見えた。隠し扉の中は、何やらパイプや通路が見えている。
「さあ、お二人も続いてください!時間がありません!」
チャオさんが扉の前で勝彦達を中に入る様に急かした。でも、ここでリリアがチャオさんに声を掛ける。
「チャオさんは?」
「私はここで、この扉を閉じて隠さないといけません・・・」
「一緒に来ないの?」
リリアが心配そうに尋ねる。
「はい・・・私は戻って、少しでも皆さんが逃げ出した事を隠さなければなりませから・・・・」
「チャオさん、ありがとう。後はお願いね!」
隠し扉の中からキャロラインの声が聞こえる。
「さあ、早くいってください!皆さんのご武運をお祈りしています!」
「急いで!勝彦!リリア!」
中らキャロラインが急かしている声が聞こえてくる。その声を聴いて、勝彦とリリアは急いで隠し扉の中に入った。
すると、隠し扉は閉じてしまい、チャオさんは見えなくなってしまった。
そして、キャロラインは気にせずスタスタと暗い通路を歩いていく。球体のフリーハンドライトが、キャロラインの顔を照らしている。無言で歩いていくキャロラインの顔は真剣そのものだった。勝彦は少し早く歩いてキャロラインの横に並んだ。そして、声を掛けた。
「チャオさん・・・知り合いだったのか?」
勝彦はキャロラインの真剣な顔を見て、親しく話している姿から、友人か恋人だったのかな?と思ったからだ。
「いいえ、私もついさっき会ったばかりよ、でも・・・・私達に進んで協力してくれた勇気ある人よ!」
そう言ってどんどん先に進んでいく。勝彦はここで思った。自分達がこうやってここを歩いているのは、自分が知らない多くの人の協力があって実現しているんだと。その事を思い、勝彦は心の中でチャオさんに感謝した。
それから、そのままキャロラインに連れられて、何度か曲がってしばらく歩いていると、行き止まりに当たる。
何故、こんな所で止まっているのか不思議に思っていると、行き止まりの向こうから何やら騒音が聞こえてくる。どうやら、行き止まりの向こう側は外の世界の様である。
そして、キャロラインは行き止まりの壁を何やらいじくりまわすと、ドアの様に壁が開いた。その瞬間、外の明るい光が立ち込めて来たのだった。
「ここは・・・・」
そこは、町中にあるトンネルの脇にある通用口である。目の前には電気自動車らしき車が走り抜けていく。ようやく勝彦達は街中に戻ってきたのだった。




