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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第1章 地球の危機!?
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第1章 29話

「それでは、難民認定の受け元星は何処になさいますか?」

 勝彦のまなざしを物ともせず、サラはクー太に問いかける。

「ベルウイング星のミリアス階級でお願いします・・・」

 クー太は、ぼっそとサラに答えた。

「ふむふむ、これは、これは!!姫様は、余程この方を大事に思っておられるようですな!」

 横で聞いていた管理局長が勝彦の方を見て感心しだした。

「ええ、まあ・・・」

 と、クー太は答える。

「え?なんだ?どういう事だ?」

 勝彦は、クー太と管理局長の間でキョロキョロと不思議そうにしていた。二人の話の内容が、ちっとも見えていなかったからだ。

「いやはや、難民認定でベルウイング星認定でもすごいのに、ミリアス階級をお付けになるとは・・・おそらく、今、難民認定を受けている地球人の中で、もっとも最高レベルの階級の人ですな!」

 管理局長は大変感心して、勝彦に説明してくれる。

「ふーん、そうなんだ・・・」

 勝彦にはどうすごいのか分からなかった。どうやらクー太は、かなり高い身分の保証を込めて難民申請をしてくれたようだ。でも、勝彦は別にそこまでしなくてもいいのにと思っていた。

 どちらにしても、勝彦は地球に残って一緒に滅びるつもりである。生き残る事に意味を見出せない自分に、そこまでしてくれなくてもいいのにと思っていた。

「局長、認定が完了しました!」

 端末を持って、何やら作業をしていたサラが報告をする。

「ふむふむ、ご苦労。それでは姫様。これからどうなされますかな?もし、よければお食事などいかがですか?」

 ここで、管理局長はクー太を食事に誘う。

(というか、さっきからクー太の事を『姫様!姫様!』って呼んでいるけど・・・やっぱり男扱いしている俺がおかしいのかな・・・?)

 勝彦にとってクー太はクー太である。でも、この管理局長の態度や、今の女の子の姿のクー太を見ていると、自分の考えが間違っているのか不安になってきた。

(もう、どっちが正しいのか俺には分からなくなってきたな・・・・)

「いえ、あの、ごめんなさい。連れがおりますので・・・」

 と、クー太は勝彦の方を見てそう答えた。クー太は、勝彦に気を使って管理局長の誘いを断ったようだ。

 だが勝彦は(ええ!?もともと冥王星で食事をするはずだったんだから、別に断らなくてもいいのに・・・・)と、思っていた。

「ふむふむ、もちろん、そちらのお連れ様もご一緒にどうですかな?」

 管理局長は、勝彦の方を見てもう一度クー太に申し入れる。クー太が勝彦を見て、断った姿を見た管理局長は、逆に勝彦の返事が得られれば、良い返事が貰えるとみた様だ。

「ん?俺は、別にいいけど・・・」

 そう言って勝彦は、クー太の方をみる。

 勝彦にとっては、どうせ食事をとるつもりだったのだから特に問題はない。むしろ、おいしいお店に連れて行ってくれるんじゃないかと期待していたくらいである。

 そして、勝彦はクー太に大丈夫だ!という事を,親指を立てて目で合図を送ってやった。

 すると、クー太は気難しい顔をしている。

(どうしたんだろう・・・?)

「・・・それでは、お言葉に甘えさせていただきます・・・」

 しばらくの沈黙の後、少し考えたクー太は、管理局長の申し出を渋々といった感じで受け入れた。でも、クー太は納得してない感じである。

(俺は特に問題ないんだけどな・・・・)

「おお、それはよかった。ではこちらへどうぞ!」

 受諾を受けた管理局長は、大喜びをしてクー太をエスコートする。そして、サラが扉を開けて部屋を出ようとしていた。

 そのまま勝彦も、後について一緒に出ようした。だが、その時、アルテミスが頭の中で喋りかけてくるのであった。

「勝彦殿、もう少しリリア様のお気持ちを考えてください!」

 突然、アルテミスが勝彦に対して怒り出す。

 勝彦は、アルテミスが軽く怒った感じで言ってくるので、何だろうと思い、辺りを見渡してから返事をする。

「ん?俺、なんかまずい事したか?」

 周りに聞こえないように、小声でアルテミスに聞き返した。管理局長もクー太も、この部屋から出ようと扉の前にまで来ていた。サラも先に扉を開けて、二人の前にいる。誰も勝彦の声に気づいていない。

「姫様は、あまり局長の事を、好ましく思っておりません!」

 この土壇場で、アルテミスは勝彦に衝撃の事実を告げてくる。

「え?何でだよ?」

 勝彦はすぐに聞き返す。確かに、クー太は食事に誘われても、いい返事はしていなかった。

 でも、それは勝彦に気を使ったからであり、勝彦自身が管理局長と同席を同意すれば、特に問題ないはずだと思っていた。勝彦は、クー太が管理局長にそう言った感情を持っているなんて思ってもみなかった。

「地球管理局長があのように姫様に言い寄るのは、地位の向上を図る為です。ここの任務が終わったら、別のいい惑星を推薦してもらおうと考えているのでしょう。だから、リリア様はあまり深く関わりたくないと思っているのです」

「ふーん、だからクー太のやつあんなに消極的な感じだったのか・・・」

「はい、でも・・・もう一つ、リリア様は管理局長の地球が滅びるといった軽はずみな発言の事も気にしておられるはずです!勝彦殿という地球人がいらっしゃるにもかかわらず、簡単に地球が滅んでしまう事を言ってしまった事に嫌悪感を感じたはずです!」

「そ、そうか・・・・」

 クー太がそんな事を考えていたなんて全然分からなかった。

 ましてや、勝彦を気遣っていたのは確かだったが、それは管理局長の「地球が滅びる」発言を気にしての事だったのだ。

 確かに、地球人を前にして、ずかずか発言する辺りは気を使えていなかったかも知れない。でも、すでに勝彦は地球が滅んでしまう事を受け入れていたし、覚悟も出来ている。管理局長が発言した時も、少し悲しい気持ちになったが、そこまで気にしていなかった。

(優しいな、クー太は・・・・)

 後の問題は、クー太自身の事である。クー太は、この管理局長とあまり近づきたくないと思っている。自分の立場を、この人に利用されたくないと思っている。

 勝彦は、そんなクー太に気づけなくて申し訳ないと思った。

(まあ・・・悪いことしたな、俺のせいで付き合いたくもない人と付き合わせて・・・)

 勝彦は、クー太の微妙な気持ちに気づいてあげられなかった事を少し恥じていた。そして、それと同時に、アルテミスにも少し嫉妬した。

 昔こそ一緒に暮らしたとは言え、今のクー太の事を良く分かっているのはアルテミスだという事が分かったからだ。

 目の前を歩くクー太は、部屋の外に出て通路に出ていこうとする。そして、管理局長に導かれて、その通路を右に向かって歩き出そうとしていた。

(俺は、クー太に何をしてあげられるだろうか?)

 クー太は、勝彦を何とか救ってあげたいと思って地球までやってきた。結局それを断ることになったが、一応感謝はしている。

体験できない様な事も一杯させてもらったし、こうやって冥王星までやってきて、生き残るチャンスまでくれた。

 勝彦は、そんなクー太の為に一肌脱ごうと決心した。

(よーし、今ならまだ間に合うな・・・)


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