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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
序章 出会いと別れ
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序章 3話

 勝彦は、真司と彩夏は付き合っていないという事を何度も聞かされていたので、それを信じて思い切って告白したのである。

 だが、見事に玉砕。そして、勝彦はその時に聞いていたのである。

『霧條彩夏の好きな人物を!』

 それは、もちろん真司の事だった。

 勝彦は、二人の関係が今のところ何もないという事は解っていたし、真司のいう通り霧條彩夏には浮いた話の一つも上がってこなかった。

 でも、それと同時に二人の関係が近いものである事は誰の目から見ても明らかだった。

 霧條彩夏と真司の仲の良さは、知人としての関係を超えていたし、そもそも、ただの友人知人が男女で一緒に登下校したり、一緒にいる所を一日に何度も見かけるはずがない。

 それは、霧條彩夏が故意的に真司に近づいている証拠でもあり、仲の良さを強調している。

 それでも勝彦は・・・・・一縷の望みに託して告白したのだった。

(分かっていた・・・分かっていたはずなのに・・・)

 なのに、何故か裏切られた気分だった。勝彦は、自分でもこれは単なる八つ当たりだということは十分承知していた。

(だから何も言えない・・・)

 もちろん、霧條彩夏に対する気遣いもある。でも、ここで霧條彩夏の気持ちを真司に伝える訳にもいかない。

「・・・・・・・・」

 何か言おうとするが言葉が出ない。いや、むしろ出せない。真司は、そんな勝彦の姿を見て、おもむろに喋りだした。

「はあー・・・まあいいですよ。それにしても西田先輩だってモテるんですから、もう俺につっかかってくるのは辞めてくださいよね!」

「はああああ?な、何を言っているんだ?チミ!?」

 勝彦は、真司の思いがけない言葉に驚いた。

 いや、むしろ恋愛事に疎い真司からそういう言葉が出て来た事の方にも驚いていた。

 『勝彦がモテる』という事と、『真司が恋愛事を言う』事の、この二つのあり得ない言葉が出てきた事で、勝彦の頭の中はパニくっていた。

「俺、知っていますよ・・・西田先輩バレンタインデーの時、告白されたんじゃないんですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 勝彦は頭の中は真っ白になり、目が点になり、口をパクパクさせて、一瞬だけだが、永遠に思えるほどの沈黙が続いた。

「せ、先輩いつの間に!?」

 真司の言葉に驚き、孝治は裏切られたといった感じで喋りかける。

「は、はあああああ?されてないわ!何言ってんだよ!?俺にそんなリア充な展開が起きるはずがないだろ!ふざけるな!」

 勝彦は孝司への弁明は後回しにして、真司に激しく抗議する。本当は、内心はそんな展開起きてほしいとさえ思っていた。

 だが、残念ながらそんな事は一度たりとも起きてない。

 すると、真司は不思議そうに考え込んでつぶやく。

「え?じゃあ、あの時のあれは・・・?」

 真司は、何かあるみたいな事を言って考え込んでいる。

「西田先輩、ホントに何もなかったんですか?」

 そう言って真司は、もう一度念を押して聞いてきた。よほど何か確信的なことを知っている素振りである。

 だが、勝彦にはこれといった記憶がなかった。だからすぐに真司のいう事を否定する。

「断じてない!!バレンタインデーなんか・・・うぐ・・・チョコ1個ももらってない・・・うぐぐ・・・!」

 勝彦は過去を思い出して涙ぐんだ。その表情には、誰の目から見ても分かる位に悲壮感があふれている。

 実は勝彦は、本当は高校最後のバレンタインデーに密かな期待を寄せていた。

 高校3年間、一度も女子生徒からチョコレートをもらっていない事に焦りを感じていたからである。

 普通は、義理チョコの一つでも貰えるものである。

 しかし、勝彦は霧條彩夏ファンクラブKS団の会長であり、その他の女子との接点がまったく皆無だったので、同級生の女子達は常に勝彦の事を変な事をしている近寄りがたい奴。と、認識されていたのである。

「うぐっぐぐぐ・・・」

 ここで勝彦は、思い出したくなかったが、バレンタインデーの痛すぎるチョコ争奪作戦を思い出した。

「せ、先輩・・・キ、キモイです・・・」

 勝彦の悲しんでいる姿を見て、真司はかなり引いていた。

「うるせー!お前に言われたくないんだよ!で・・・何で、バレンタインデーで俺に何かあると思ったんだよ?」

 勝彦は涙をぬぐって、気を取り直した。真司が何故?そのような事を言ったのか気になったからだ。

「いえ、確か・・・バレンタインデーの時、チョコを持った女の子が、先輩の事を聞きにきたから・・・」

 と、思い出したかの様につぶやく。勝彦はそんな真司を見てすぐにピーンときた。

「おい、それはお前に渡そうと思って来た子じゃないのかよ・・・・?」

 と、俺は真司に突っ込んでみた。

 真司は、いつも女の子にモテモテで、バリバリのリア充である。勝彦には、どうしても自分にチョコ渡そうっていう女の子がいる事を信じられなかった。

「ホントですよ!俺、その子としばらく話したけど、しきりに先輩の事聞いてきたし、先輩に付き合っている女の子はいるんですか?とか聞いてきましたし・・・・・」

 と、思い出しながら真司は答える。

「マ、マジで!?それはいつ!?どこで!?そいつは誰だ!?」

 勝彦は、すぐさま真司の肩をつかみ、揺さぶりながら聞いた。

(もしかして俺に隠れモテ期来てたのかああああああああああ!?)

 勝彦は確信的な真司の姿を見て信じ込んだ。勝彦にとって女の子にチョコを貰うという事は初めてである。

(いや、実際にはもらっていないが・・・)

 でも、貰えるチャンスがあったという事に驚いていた。

「い、いや・・・知りませんよ!そもそも、制服違いましたから、多分その子は違う学校だったと思いますよ!」

 と、真司はすぐに勝彦の手を振り払う。

「違う学校・・・?」

 勝彦は深く考えた。勝彦にはまったく心当たりが全くなかった。

 そもそも、ほかの学校の女子とは全く接点がなかったし、出会った事もない。中学の時も、大して高校生活と変わらない生活をしていた。なので、中学校時代の女子ではないはずである。

(じゃあ、いったい誰だ・・・?)


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