第1章 26話
「いや、それよりも、本当に冥王星ってところに街があるのか!?」
料理の事よりも、勝彦は冥王星に宇宙人の街がある事の方に興味があった。
今まで太陽系を旅して来たけど、宇宙人には一人も出会わなかったからである。
「はい、一万人規模の小さな街ですが、銀河連合の為の小さな管理施設があります。そこには、職員達の居住施設が集まっていて、小さな街になっているのです」
「へー、そりゃいい。楽しみだな!」
よく考えてみれば、地球をでてから一度も宇宙人に会っていない。
(ここで初めて、クー太以外の宇宙人に会うことが出来るのか・・・うーん、少しドキドキしてきた・・・・)
「勝彦殿、もう間もなく冥王星が見えてくると思いますよ!」
アルテミスにそう言われて、外を見ていると、暗闇の中から少しずつ月のような星が近づいてきた。
「ん、あ、あれが冥王星・・・?向こうの方にもう一個星があるぞ!」
冥王星と思われる星のすこし離れた所に、似たような星が浮かんでいる。
(あれが冥王星なのか?)
「あれは冥王星の衛星カロンだよ!」
勝彦が不思議そうに見ていると、クー太が教えてくれた。
「あれが衛星・・・・衛星にしては大きいな・・・」
大きいと言っても、冥王星自体が、他の惑星に比べてかなり小さい。それに対して、冥王星のすぐそばにある星は、冥王星本体とたいして変わらない大きさである。
「体積は冥王星の半分以上だからね、冥王星は一般的に双子星と言われているんだよ。あ、ほら、見てごらん!北極の方に宇宙船の港口があるんだ!」
アルテミスは冥王星に近づいていき、やがて目の前に冥王星のクレーターが見えるまで接近した。
そして、クー太が指を指さす方向に、アルテミス号はゆっくりと近づいていく。
「リリア様、冥王星より通信連絡が入っています」
ここで、アルテミスがクー太に報告する。
(通信・・・?)
「わかった、スクリーンに出して!アルテミス」
冥王星を眺めていると、急にスクリーン画面が現れて、制服を着た女性が現れた。その人が勝彦にとって、クー太以外の初めての宇宙人だった。
「こちらは冥王星第一地球管理局です。貴艦の所属と入港目的をお聞きしたい」
勝彦はドキドキして横で聞いていた。スクーン画面でのやり取りは、アニメやスターウォーズの様な光景である。
「はい、こちらはベルイウング星第一皇室艦隊所属、アルテミス号です。そして、私は新銀河連合同盟評議会、議員のベルギロス・ルード・ウイ・ウイングリリアと申します。入港目的は地球人特別難民申請の為です」
スクリーンに映った職員らしき人物に、クー太は毅然とした態度で受け答えをする。
(なんだかわからないが、すごい!)
「確認しました。ウイングリリア様、当局は評議会議員の入港を歓迎します。これより、32番ゲートにお入りください!」
「ありがとうございます」
そして、通信が消えた。
「おお!!すげー、クー太カッコイイじゃんお前!」
「そ、そうかな・・・」
と、クー太は照れている。
「お二人とも、間もなく入港しますよ!」
アルテミスがそう言うと、勝彦はすぐに外の景色を見に行った。外の景色を見ていると、アルテミスは冥王星の北極上空にやってきた。
そして北極上空から下をよく見てみると、地面に大きなクレーターが見えている。アルテミスは、そのクレーターに向かって降下すると、地面が割れ、底の見えない大きな穴が現れた。
「え、あそこに入るのか?」
クレーターの中からは、明らかに人工物が見えていて、所々に光が点滅している。
はっきり言って、とても未来的な作りである。
「そうだよ、あれが冥王星第一地球管理局のある施設だよ!」
アルテミス号はどんどん高度を下げていき、その穴の中に入っていった。ずいぶん奥に入った所で、今度は上空を見てみると、クレーターの扉が閉じ始めている。
アルテミスは尚も降下していき、どんどん奥に降りていった。気が付くと、クレーターの扉は閉じてしまい、閉じ込められた形になった。
「あれ?暗くなったぞ・・・」
上部の扉が閉じられたことに、中は密閉されて真っ暗になっている。
「大丈夫です、もうすぐ見えてくるよ!」
クー太がそう言って下を見ると、まぶしいくらいの光が見えていた。
アルテミスは、その光に向かってどんどん降下していく。すると、ものすごく未来的な施設が見えてきた。眩いくらいの重金属感と光が、未来都市を強調しているようだった。
「すげー、まるで映画の世界みたいだ!」
下りていくこの穴は、垂直円の竪穴式で出来ていて、高度を下げると数多くの横穴が見えていた。横穴には、宇宙船が入っていて、この施設には多くの宇宙船が滞在している。
「ここにはね、元地球人と、銀河連合の関係者や、銀河連合からの観光客などの約一万人の人が住んでいるんだよ」
と、教えてくれる。
「こんなところに一万人もいるのかよ・・・」
アルテミスはどんどん降下していき、ようやく奥底まで到着した。クレーターの奥底には、ここの施設の中で一番大きな横穴あって、アルテミス号はその大きな横穴に入っていく。
そして、アルテミス号が横穴に入ると、隔壁らしき扉が閉じて、細いチューブみたいなタラップがくっついた。
「当艦は完全に寄港モードに入りました。これより補給を開始します」
「アルテミス!ご苦労様、しばらく休んでいていいよ!」
「はい、ありがとうございます。しかし、人工知能モードは健在ですので、ご気軽にお申し付けくださいね」
「了解!じゃあ勝彦君。街に出でようか?」
「お、おう・・・」
勝彦はクー太に声をかけられて緊張した。
(いよいよ街にでるのか!?)
いざ到着してみると、物凄く緊張してきた。
(ココが、宇宙人が住む町か・・・楽しみだな・・・)
「お待ちください、リリア様。どうやら地球管理局長がお見えのようです」
いざ、宇宙人がいる街に繰り出すのかと思っていたら、アルテミスが何やら言ってくる。




