第2章 24話
「ここからじゃ見えないよ、さっきの部屋に行かないと!」
と、クー太が俺を部屋の外へ引っ張る。
「わっ!?ちょ、ちょっと!」
勝彦とクー太は、ベッドのある部屋から出て最初の部屋に戻った。すると、部屋に入った瞬間、勝彦は絶句した。
「す、すげー・・・・」
あまりの綺麗さに何も言えなかった。アルテミスは、地球や火星の時とお同じ様に、部屋全体を全面スクリーンにしてくれていて、海王星が目の前に飛び込んできたのである。
「綺麗だ!地球とは全然違った綺麗さだ!」
海王星は、地球の青さと違って、深い青色のコバルトブルーといった感じである。
よく見てみると、地球と同じように海があるのかな?と思ったが、陸地のようなものは全く見当たらない。むしろ、木星の様にもやもやとしていた。
「海王星はね、水分が多くて、惑星表面が氷で出来ているんだよ。海王星の青さは、メタンが深い青を作り出しているんだ!」
「へー、だから青いのか・・・」
「そうだよ、この青さは惑星表面にガスが漂っていて、そう見えるんだ!」
「ふーん・・・なあ、あの大きな黒い斑点みたいなのなんだ?たしか、木星にもあったよな・・・?」
「あれは大気中の渦だよ!木星にもあったけど、海王星のは、時々消えて別の場所に出来たりするんだよ」
「へー、そういえば、近くに白い雲みたいなのもあるけれど、あれはなんだ?」
「あれは、メタンが凍ったものだよ。海王星は東西に向かって強風が吹いていて、それが流れているのが雲なんだ」
「お前・・・結構知っているんだな・・・?」
海王星に着いてから、海王星の説明はほとんどクー太がしている。木星までは、大体アルテミスが教えてくれたのに、今回に限ってクー太が教えてくれる。
「ふふふ、リリア様は勝彦殿が寝ている間、『海王星は僕が説明するんだ!』って言って、ずっと海王星の事を勉強しておられましたからね」
と、アルテミスは教えてくれた。
「えへへへ・・・」
クー太は照れながらニコニコと見つめてくる。
(なんだ?褒めて欲しいのか・・・?)
そう思ってクー太の頭に手を乗せる。
「あ、ありがとな、クー太・・・」
「どういたしまして!」
クー太は頭をなでられて喜んでいた。勝彦はクー太を眺めて思った。ほんと、クー太は犬だった頃の様だなと。
(なんというか・・・生まれ変わっても何も変わらないな、こいつは・・・)
そう思いながら、目線を海王星に戻す。
「お、これも環があるな・・・わずかに白い環が見えているぞ・・・」
海王星をよく見ると、うっすらと白い環が見えていた。
「海王星も衛星が多いからね、海王星にはね、衛星が14個もあるんだよ!」 と、続けてクー太が説明をしてくれる。
「ふーん。おい!あっちの離れた所に大きな衛星みたいなのがあるぞ!」
「ああ、あれは海王星の衛星、トリトンだよ。太陽系の衛星でも、めずらしい逆回転の公転軌道で回っているんだ。トリトンは、約1億6000年後以降に、海王星に衝突すると言われている衛星なんだよ!」
「へー、ぶつかったらどうなるんだよ?」
「ぶつかったら塵になって、海王星の新しい環になると言われているんだよ」
「でも、一億ってまだまだ先だな・・・」
「どう?海王星は?」
「いやー綺麗だよ!引き込まれるような青さだよ。でも、やっぱ・・・太陽が遠いせいかな?ちょっと薄暗いなこのあたりは・・・」
「ここは太陽系の端だからね、ほら、太陽を見てごらんよ?」
「地球よりも大分小さいな・・・」
「光が届く量がものすごく少ないから、惑星も凍っているんだ!」
「ふーん、なるほどな・・・」
勝彦は、しばらく海王星を眺めていた。
海王星は他の惑星と違って、薄暗いところにあると言った感である。その薄暗さと、深い青さがマッチしていて、すごく幻想的な雰囲気を作り出していた。
勝彦は、ぼんやりと薄暗く輝いている海王星を見て、やっぱり太陽から遠ざかっているんだなということを改めて実感していた。
「さて、そろそろ最後の星、冥王星に向かうけどいいかな?」
ここでクー太が終了を告げる。
「ああ、いいよ!」
これで、太陽系惑星の観光も一通り終わった。他にも、土星や天王星など、まだ行ってない惑星はあるけれど、勝彦は早く冥王星に行って地球に帰りたいと思っていた。
地球からずいぶん遠くまで来たせいか、勝彦は少しホームシックにかかっていたのである。
ここで勝彦は、ほんの数時間前まで眺めていた地球を思い出していた。
(いろいろ惑星を見てきたけど、やっぱり地球が一番美しいな・・・)
「じゃあ、アルテミス。最後の星冥王星に向けて出発して!」
「はい、わかりました」
そういうと、早速アルテミスは動き出して、海王星はどんどん離れて見えなくなっていく。
いよいよアルテミスは、最後の星、冥王星に向けて動き出したのである。
「で、冥王星は後、どれくらいで到着するんだ?」
「ここからなら、多分・・・あと1時間くらいで到着すると思うよ」
「1時間か・・・あともう少しだな・・・」
勝彦とクー太の旅も、もうすぐ終わる。最後の予定地、冥王星に着いたら地球に帰ることになっている。
冥王星で、アルテミスの言う難民申請をすれば、この旅の目的は終わるのだ。
でも、この旅は、実質クー太と勝彦の最後の思い出の旅でもある。本当は早く地球に帰りたいとホームシックに掛かりながらも、クー太との別れが近づいている事に勝彦は戸惑いを感じていた。
もし、地球が滅びる事になっていなければ、もっと一杯思い出が作れたのだろうか?
「なあクー太・・・、地球は滅ぶんだよな?」
「う、うん・・・急にどうしたの・・・?」
勝彦の真剣な問いかけに、クー太は緊張している。
「・・・何で滅ぶのか聞いてもいいか?」
勝彦は地球に帰る前に、何故地球が滅びるのか聞いておきたいと思った。
最初は信じていなかったが、ここまで様々な事を見せられて、信じない訳にはいかない。何故、地球は滅んでしまうのか?それだけは、地球に帰るまでに聞いておかなければならないと思ったのである。




