第1章 22話
「それは質量の問題ですね。半径は11倍でも、質量は318倍、体積は1300倍になりますので!」
「いや・・・凄過ぎてよくわからん。あの縞々模様みたいなのはなんなんだ?」
勝彦は、木星に釘づけ状態のまま質問した。
ジーと見ていると、木星の模様が動いているような、動いてないような・・・なんだかもやもやして見えている。
「あれは大気ですね。大気が常にあのように動き続けているのです。大気成分はほとんどが水素で出来ていますから!」
「水素?水素ってあのドカンと爆発するやつか?」
「そうです、木星は水素が81%、ヘリウムが17%で出来ているのです。そして、木星はあともう少し大きければ、太陽のように自分で輝く恒星になっていました」
「恒星?木星がか・・・?木星が太陽の様になっていたのか・・・?」
(確かに大きいけど、本当に太陽になっていたのか?)
「いえ恒星といっても、あくまで自分で輝く褐色矮星が限界ですけどね。たとえば、太陽が蛍光灯なら、褐色矮星は豆球みたいな感じでしょうか?」
「ふーん、なるほどな!でもわかるよ。こんなにでかいんだからな」
「勝彦君、太陽はもっと大きいんだよ。それに銀河系には地球の太陽の何百倍もの大きい太陽があるんだ!」
と、クー太も太陽について教えてくれる。
「へーやっぱすごいな、宇宙って・・・」
木星を眺めていると、先ほどからチリのような岩石のようなものが漂っているのが見えてくる。先ほどのアステロイドベルトとはまた違った感じである。
「木星の周りって、意外とゴミゴミしているんだな・・・」
「それは木星の環に入ったからです」
アルテミスが続けて説明をしてくれる。
「木星の環?これが?あ、ほんとだ!よく見て見ると環っかになっているじゃないか!」
細い環みたいなのが木星の周りをまわっていた。
「そうです、地球では、木星には環がないと思われているけど、実は環があるのです。そして、その周辺には衛星もあるのです」
「ほら、勝彦君!あそこに衛星が見えているよ!」
クー太が指をさして教えてくれる。
「ホントだな!ほかにもあるな。一、二、三、四・・・四つは見えるな!」
よく見ると木星の近くには、いくつかの衛星が回っているのが見えている。
「あそこの下の方に見えているのが、衛星イオだよ!」
と、クー太が指をさして教えてくれた。
「イオ?それは聞いた事があるな・・・」
「イオは、木星の衛星でもすごく大きな方で、地球のように火山があって噴火している衛星なんだよ」
「ほー、月みたいなのに、火山があるのか?」
「勝彦殿、運がいいですね。今ちょうど噴火してるみたいです。近くに寄ってみましょう」
「え、マジで!?」
アルテミスは、船体をイオの近くまで、一瞬であっという間に近づけた。少し遠くのほうに見えていたイオは、すぐ目の前まで見えるようになっている。イオの後ろには大きな木星の姿が写っていた。
「おおおおお!でけー!地球ほどじゃないけど結構でかいな!」
「勝彦君!ほら?あそこで噴火しているよ」
クー太が指をさして教えてくれる。
「おおすげーー!マジだ!ほんとに噴火してるぞ!」
目線を移してみると、衛星イオから、噴煙がモクモクと巻き上がっているのが見えている。
「勝彦殿、イオは木星自身の巨大な引力と、周辺の衛星の重力摩擦で火山が活発化しているのです。なので、イオは衛星なのですが、火山が噴火しているのです。ちなみに、木星にある衛星は66個以上ありますよ!」
さらに詳しくアルテミスが教えてくれる。
「66個以上!?」
「そうです、まだ発見されていない衛星もたくさんあると思うのですが、太陽系は未開惑星なので、ちゃんとしたデータがないのです。詳しく知りたいなら調査しますが・・・」
「いや、別にいいよ・・・要するに、沢山あるって事だろ!」
別にそこまで詳しく知りたい訳じゃない。どうせ、自分はバカなのだし、教えてもらってもすぐに忘れてしまう。例えるならば、京都に旅行して、寺の数が何個あるのか知ったところで、数年後には忘れている。
所詮そんなものだ。旅なんて、とにかく行ったという事実が印象に残るかが重要なのである。
「あの・・・申し訳ありません、リリア様、勝彦殿。まだまだ、見るところはあると思うのですが、火星で大分時間を使いましたので、もうそろそろ出発してもよろしいでしょうか?」
ここでアルテミスが中止を告げてくる。
「ん?そうなの?勝彦君どう?もういい?」
と、クー太も聞いてくる。
火星に居た時よりも、ずいぶん短い様な気がしたが、どうやら今回の木星の観光はこれで終わりのようである。
「え!?もうそんな時間か?今回はあまり長く滞在していない様な気がするんだけど・・・」
「すみません、次の目的地が遠いので、早めに出発しないと冥王星到着時間が遅くなってしまします。もし、木星が気にいったのでしたら、帰りにもう一度寄りますが・・・?」
と、アルテミスは申し訳ない感じで言った。でも、旅のプランは任せている。そう言われれば、そう従うほかない。
それに、宇宙に関する知識はそれほどある訳じゃない。長時間滞在したとこで、眺めるしかする事が無い。
「いや、いいよ!ものすごくデカイというのが分かったし。どうせ、火星のように降りられないんだろ?」
期待していないが、アルテミスにそう聞いてみた。
「そうですね、いくつかの衛星なら降りられますが、何しろ数が多いので・・・」
「いや、いいよ。木星が見られただけで俺は満足したよ!」
「そう言ってもらえると助かります」
「それじゃあ、次はどこに行くんだ?」
「はい、次は海王星ですね!」
「海王星っていったら・・・水金地火木土天海。おお、太陽系最後の惑星か?」
勝彦は、海王星と聞いて、一応学校で習った惑星の順番を指折り数えてみた。
「そうです。太陽系で一番遠くにある惑星です」
「そういえば、海王星ってあんまり見た事ないな・・・」
「地球ではあまり探査されていない惑星ですからね、海王星は、天王星型惑星と言われていまして、主成分は水素とヘリウムからなっている星です」
「なんだ、今聞いた木星と一緒じゃないのか?」
「そうですね。ただ、海王星はガスだけじゃなく、惑星表面が氷で出来ているんですよ」
「氷で?」
「そうです、海王星の表面はマイナス218度で凍っていて、その上に大気があってガスがあるのが海王星なのです」
「ふーん・・・なるほどね。それで、そこに行くにはどれくらいで着くんだ?」
「そうですね・・・4時間もあれば着くかと思います」
「4時間!?今度は結構時間がかかるもんだな・・・」
今までの数分と違って、まったく桁が違う。地球で言ったら東京―シンガポールくらいだろうか?ホントに、これはちょっとした小旅行だな。
(だったら、さっき言っていた睡眠でもとるかな?どうせ4時間もやる事ないし・・・)
さすがに4時間もクー太と話していられない。もし、さっきみたいに理論の話とかになったら、頭がパニックになりそうだ。
「どうしますか?」
「そうだな、やっぱり寝るかな・・・?」
それに、何時間も宇宙空間はさすがに見飽きてくる。
「お昼寝ですね!?」
横にいたクー太が目を輝かせて聞いてくる。
「まあ、そういう事になるのかな・・・?」
「わーい、寝ましょう、寝ましょう」
何故かクー太は大喜びだ。
(何を喜んでいるんだ、こいつは・・・?)




