第六話 激闘淀川〜前編〜
第六話 激闘淀川〜前編〜
真田〜んの目的とは?北朝鮮で偽札偽造工場襲撃を阻止しようとし、反乱を起こした首謀者を逃がし、IRAの武器庫を襲い・・・間違いなくわれわれコリディアスの味方ではないことだけは確かだが・・・、そうだ!今日はユウキちゃんと映画ワルトラマンを見に行く予定だった。わたしはくねらせた煙を吐き出し、茶色いタバコを灰皿におしつけるとビーボーイ風の若者服に着替え、名古屋より大阪行きの新幹線に乗った。あれからユウキちゃんと私はデエトを重ねるようになっていた。ありふれた純粋な付き合いのデエトだった。普段性欲に溺れきっていた私には逆にそれが新鮮だったのかもしれない。わたしからはユウキちゃんのからだに触れることは全くなかった。雨の午後、私達は大阪駅南口で待ち合わせた。私達は映画ワルトラマンをみたあと、彼女の乗りたがっていた、へっぽこファイブ屋上にある観覧車にのり、大阪の華やかさと賑やかさのある街を二人見下ろしていた。夕暮れが街を染め、ふと、話が途切れた瞬間、私がユウキちゃんの目をみると彼女は恥ずかしそうに目をそらせた。わたしは静かに彼女の肩を抱き寄せ接吻を交わそうとした・・・。その刹那!私の目に見覚えのある機影が夕暮れの空に映った。
あっあれは・・・
特殊へりタイガーッ。
黄色と黒の迷彩色のドはデなヘリが間抜けヅラなNinJA達を乗せ大阪の町の上を旋回していた。私はユウキちゃんの肩をつかんだまま硬直し、やがて、ひきつった笑顔でいった。
「あっごめん。俺 高所恐怖症でさ、つい怖くってさ・・・。」
ユウキちゃんは頬を赤らめながら小さく言葉を発した。
「なんだあ、わたしてっきり・・・。」
彼女はそのまま顔を更に赤らめて下を向いてしまい。やがて短い空中散歩はあえなく幕を閉じた。わたしは観覧車を降りるとすぐにトイレにはいり、赤髭ジャック・クライスラーに電話をした。
「特殊ヘリタイガーはあんなところでなにをしている?」
赤ひげは野太い声でのんびり私の質問に答えた。
「ぇ〜本日午後、大阪近郊で女戦士真田〜んを目撃したとの報告があり、現在調査中であります。真意のほどはわかりませんが、万が一に備え特殊ヘリタイガー、及び、NinJA部隊を上空に待機させております。」
チイッ!無粋なやつらめ!人の恋路を邪魔しおって・・・まあいい。まだ時間はある。ユウキちゃんの唇を本日私のものにするのだ!わたしは特殊携帯オスカーの通話を切り、ユウキちゃんのまつ観覧車近くのベンチへと向かった。しかし、どこをさがしてもユウキちゃんはみあたらなかった。わたしはあわてて彼女の携帯を鳴らしてみたが、彼女の携帯に電波が入っておらず、電話はつながらなかった。私はしばらく彼女と別れた観覧車乗り場付近で立ち尽くしていたが、しばらくして、特殊携帯オスカーが私のイケメンジーンズの中でバイブしだした。わたしはユウキちゃんだとおもい、着信画面も見ずにすぐに電話にでた。しかし、電話から聞こえたのは聞き覚えのある野太い無能な男の声だった。
「こちら 赤ひげです!総帥!真田ーんを発見しました。現在大阪北区N町付近で捕獲中の模様です。すぐにそちらに原動付き自転車カブをお送りしますので、現場の指揮をお願い致します。詳細な地点は大阪北区N町0013鉄橋下であります!。」
とぅ〜とぅ〜とぅ〜〜
チィッ やむをえん。わたしは一個人であるが前に、コリディアスの総帥コリディアスである。わたしはエスカレーターの手すりを滑りおり、へっぽこファイブ一階の駐輪場へと向かった。
一方 そのころ・・・。
N町鉄橋下・・・・
「シュワッ!シュワッ!」
NinJAたちは新しくサイレント・ピエールが考案したバトルフォーメーション「カクヨク」をとり、女戦士真田〜んを囲んでいた。この陣形は戦国時代の猛将 武田 信玄が愛用した陣形であり、西洋フランスの軍人ブリュッセルも関が原において、この陣形をとっていた西軍絶対勝利とまでいわしめた、必勝の陣形である。ところが・・・。NinJAたちは指揮官なくしては有効に動けないという弱点がある。またそれらを自分で理解するほどに彼等の頭脳は優秀でもなかった。カクヨクの一翼は瞬く間に真田ーんの突撃により乱れ、NinJA1体が真田ーんのサーベルにより放たれた居あい抜きを喰らい、一瞬でその場に倒れ伏した。
「シュ?」
「シュ?シュワ?」
激戦は始まったばかりである!
「シュ!シュワ!」
NinJAたちは隠し持った新兵器 手裏剣型手榴弾 「ハクライ」を腰布からとり出し、真田ーンに投げつけた。
ジュああああああああム!!!!!!
あたりに凄まじい硝煙と砂煙が満ち溢れた。ゆっくりとあたりの煙が収まりだしたが、どこにも真田ーンの姿は見当たらないように見えた。
NinJAたちは上空に殺気を察知し、11体全員が上を向いた。真田ーんは空高く舞い上がっていた。下降するに伴い彼女はあらかじめ火縄銃に仕込んでいた弾丸をNinJAたちの陣形の中央目掛けて撃ち込んだ。
「シュ!シュワ!」
私はそのころ、時速30キロで、夕暮れの街角の風を体に浴び、的確に戦闘現場へと向かっていた。