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山賊は悪党で  作者: 泰然自若
一章 山賊業
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 町と町を結ぶ街道には様々な種類がある。平原を真っ直ぐ通る街道もあれば、曲がりくねった丘陵地を駆け抜ける街道。その中には勿論、山道だって存在する。山間にある大きな炭鉱の町を繋ぐ山道に、山脈を抜けるための山道と、色々だ。

「よぅ、ちょっと止まってくれ。死にたくなかったらな」

「た、助けてください、命だけは!」

 そうした街道は、町々を治める領主である貴族や国を治める王が管理しているもので、町から近ければ騎士団や衛兵が巡回し、警備をしている。

 商人は町に金と物をもたらし、国や領主に利益を与える。その商人は街道を通って町を行き来する大事なお客様だった。そんな商人達を護るために、領主や国も手を回している。

 それでも、長い長い街道全てを護りきれるわけでもなければ、町によっては街道に手を回せるほどの兵員すらままならない。そういう事態に陥っている領主の方が圧倒的に多い。

「聞き分けの良い奴は大好きだぜ? まぁ、安心しろよ殺しはしない」

「わ、判った! なんでも、言う事を聞く」

「素直で宜しい」

 だからこそ、賊徒と呼ばれる無法者がのさばり、いくら国や領主が討伐隊を出して討伐しようと、消える事は無く、居るところには居て、居ないところには居なかった。

「商人様よ。貴方様は、何処まで行くのでしょうかね?」

「ニ、ニールの町だ! あそこは温泉の町で、しかも温泉から品質の良い塩が取れるから、旅行ついでに、商いでも」

 その言葉は、目の前で陽気に笑みを浮かべて、商人の肩に手を乗せてくる一人の男に向けられていた。商人は肩に乗せられた手の感触に血の気が引いていく。商人は鹿のなめした皮の衣服を纏い、その上から麻のローブを纏っていた。それなのに、ゴツゴツとした手の感触が伝わってくる。掴み握る指先に至るまで堅く、まるで自分の身に付けているなめし皮か、それ以上の物に万力で肩を押さえ付けられているように感じられたほどだ。

 そんな商人の事など、知りもしない素振りで右の口端を釣り上げている賊の男は一言告げた。

「なぁに。いっちょ俺達がお前さんの道中を護衛してあげようかと思ってね」

 突飛も無い言葉に、商人は暫く唖然として、賊の男が見せる妙に清々しさを覚えるほどの笑みを眺める事になった。

「俺らは五人でお前さんを護衛する。無事町近くまでついたら報酬を払えば問題は何もないぜ? 勿論、払らわねぇと死ぬしかないがな」

「わ、判った! 護衛を頼むよ!」


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