第2章 神域物理学派(ストレージ学派)の立場
2-1. 仮想現実論とストレージ概念
神域物理学派(ストレージ学派)は、仮想現実論の一分野として「創造主の保有する巨大な多次元情報領域を出発点に、宇宙・生命・歴史が投影されている」と主張する。
われわれの物質世界や人間社会は、上位プログラムによって動いている下位インスタンスであり、私たちの善悪・価値観はローカルな設定にすぎない。ストレージ学派では、この宇宙のあらゆるデータ(人間の記憶や存在情報)が上位ストレージに書き込まれているが、創造主からすると膨大なファイルの一群に過ぎないという見方をする。
2-2. ストレージと“最後の審判”
この文脈で黙示録の最後の審判を捉え直すと、ストレージの“データ整理・再構築”イベントとして描ける。われわれが“裁き”と呼ぶものは、上位プログラムの都合で重要なファイルを残し、不要なファイルを削除するプロセスに相当するかもしれない。いわば“デフラグ”や“ガーベジコレクション”といったメタファーで表されるかたちだ。
この段階で善悪や賢愚といった人間基準の価値観は、創造主にとってあまり意味を持たない可能性がある――創造主が気にするのは、システム全体の安定や必要データの保持といった要件だからだ。
2-3. 視点の相対化
ストレージ学派の発想では、人間が熱心に善行を積み徳を高めようが、創造主にとっては“単なる一つのファイルの属性”でしかないかもしれない。あるいは“他の生物との関係”というローカルな次元を、上位プログラムがどう評価するかは不透明だ。
これが本学派の根本的特徴であり、結果として“善悪や賢愚が救済判定に直結しない”という結論が得られる。




