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9話「似た者夫婦になるのは時間の問題」最終回




――ヴィル・サイド――


時間は少し巻き戻り、ヴィルがルイーゼを連れて家を出たあとのお話。





飛行している間に夜になっていた。

空には美しい月が輝いている。

愛する人と月夜の空中散歩も悪くない。


「ルイーゼ、わしの旅は少し過酷になるかもしれん。後悔はないか?」


連れ出してしまったが、少しだけ罪悪感が残る。


「いいえ、全く。

 お忘れですか?

 あなたの傍にいたいと言ったのは私です」


わしが思っているより、わしはルイーゼに愛されていたようだ。


「ヴィル様は、私を連れてきたことを後悔しておりませんか?」


「まさか。

 嫌だと言われたら、無理やり連れ去ろうかと思っていた」


「良かった……」


ルイーゼがぽっと顔を赤く染める。


可愛い天使だ。今日から彼女がわしの婚約者……いや、もう嫁だ。


「ヴィル様、これからどこに向かうのですか?」


「そうだな。

 まずは帝国に行く。

 わしを追放した奴らに『にゃんにゃんチューチュー大作戦』仕掛ける」


「なんだその可愛らしいネーミングの作戦は?」


この質問はイグナツからだ。


「魔術師団員を全員ねずみに変えて、そこに猫を放つという面白い計画だ」


「名前の可愛らしさと反して恐ろしい計画だな!」


イグナツが危険人物を見る目でわしを見ていた。


「嬢ちゃん、こいつのヤバさは想像の斜め上を行くぜ。

 引き返すなら今のうちだぜ」


イグナツめ、余計なことを!


ルイーゼは首を横に振る。


「いいえ、イグナツ様。 

 ヴィル様と出会った日に決めたのです。

 この方のお傍にずっといようって!」


胸がキュンと音を立てた。可愛いことを言ってくれる。


顔に熱が集まってきた。こういうことを言うのには慣れておらん。


「嬢ちゃんも変なやつを助けちまったな。

 それは不運の始まりか、はたまた絶望への序曲か?」


イグナツがくつくつと笑う。


「イグナツ、いつまでついてくるつもりだ?

 新婚旅行なのだ、気を利かせよ」


「バカ言ってんじゃねーよ。

 教会で式も挙げてねえのに何が新婚旅行だ。

 せいぜい婚約期間中ってとこだろ?」


ぐぬぬ……! どさくさに紛れて新婚ということにしようと思ったのに、細かいことを言うやつじゃ。


「ヴィルのアホはああ言ってるが、ルイーゼはどう思う?」


「私も……結婚式を挙げてみたいです」


「ほら見ろ。

 ヴィル、無神経なのはお前の方だ」


「くっ……!

 では、しばらくは婚約期間ということで」


婚約期間は最低でも半年……! その間、ルイーゼに手を出せないではないか……!


いや待て!


ルイーゼは「結婚式を挙げたい」と言っただけだ。


婚約期間を設けたいとも、手を出さないでほしいとも言ってない!


一か月半前、ルイーゼはわしに身を委ねに来た。


その時すでに、ルイーゼの気持ちは固まっていた。


それはつまり、婚約期間中でも手を出してもいいということで……。


いや、しかしあの時は切羽詰まっていたからで、今も同じ気持ちかどうかはわからぬ!


無理やり迫って嫌われたくはない!


手を出さずにヘタレと思われたくない!


わからん……乙女心、わからん!!!!


その後しばらく、わしは苦悩することになる。







――終わり――





最後まで読んで下さりありがとうございます。

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俺の後ろには誰々さんが〜 なんて言ってる奴の拠り所を先に処しちゃうの大好きです。 お疲れ様でした!
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