表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

2話「商いは売ったもん勝ち!」



その夜、クロイツ商会の所有する畑――。




「大丈夫なのかヴィル?

 嬢ちゃんのためだからって、かっこつけて、結局上手くいかなくて後で恥かいても知らないぜ」


イグナツがわしの頭の上を旋回しながら、口うるさく鳴いておる。


「まあ見ておれ。

 こんなこともあろうかと用意していたアイテムがあるのだ」


わしは畑に畝を作り、麻袋から種を取り出し、畑にまいていく。


意外と重労働だのう。


明日から悪魔を召喚して奴らにやらせるか?


いや、種は繊細だ。悪魔に扱えるとは思えん。


それに、奴らの魔力が種にどんな悪影響を与えるかわからんからのう。


「そこまで言うなら策があるんだろうな?

 どうやって借金を返すつもりだ」


「野菜を育てて市場で売るのじゃよ」


「正気か?

 借金の返済期日は一ヶ月半後だぜ?

 悠長に野菜なんか育ててたら間に合わないぜ」


「普通の野菜なら間に合わんだろうな」


「普通じゃない野菜の種があるっていうのか?」


「わしを誰だと思っておる……」


植えたばかりの種が芽を出し、しなるムチのような勢いで蔦を広げ、葉を広げ、次々に花を咲かせていく。


「稀代の天才魔術師だ。

 植物の品種改良など朝めし前よ」


イグナツはその様子を、ポカンとした表情で眺めていた。


鳩が豆鉄砲ならぬ、グリフォンが蔦のムチを食らったような顔をしておるわい。


「さぁて、収穫といこうかのう」


あっという間に実をつけた野菜を、アイテムBOXに収納していく。


さぁて、明日の市が楽しみだわい。




◆◆◆◆◆




翌日、市場――。




「安い安いよ!

 じゃがいもが一つ、たったの五ギルだ!

 買わなきゃ損だぞ!」


わしは市場の一角に店を構え、客に向かって声をかけていた。


「じゃがいもが一個五ギル?

 安いわ!」

「見ろ、大根が一本十ギルだぞ!

 二本くれ!」

「俺にも売ってくれ!」

「人参が一本三ギルだって!?

 私も買うわ!」

「わしにはかぼちゃをくれんかのう!」


「焦るでない!

 順番に並ぶのじゃ!

 横入りは禁止じゃぞ!」


通常の1/10の価格設定なので、売れ行きは上々だ。


「おいおい、いいのかヴィル?

 そんな安価で販売して?

 元がタダとはいえ、大して利益になんねぇぜ。

 これじゃあ、来月末まで借金を返せないぜ?」


イグナツがわしの肩に止まり、ジト目でこちらを睨む。


「構わん。

 最初はこれで良いのだ」


わしは口の端を上げた。


「うわっ! 悪魔の笑みだ。

 久々に見たなお前のその顔」


失礼な! 天使のような極上スマイルを、悪魔とはなんだ!


「まあどうでもいいが、こんなに安価で販売したんじゃ、近隣の店は商売上がったりだろうな」


イグナツが他の店を翼で指した。


肉屋や魚屋には人がおるが、八百屋や果物屋は閑古鳥が鳴いておるようだ。


八百屋のいかつい店員が人を殺すような目でこちらを睨んでおる。


「問題ない。

 それも計算のうちだ」


八百屋の店員とは別に、遠巻きにわしの店を見ている輩がいる。


体が大きく人相が悪い。堅気(かたぎ)の人間とは思えぬ。


「ここはクロイツ商会の縄張りだからな。

 奴らの店が一軒や二軒や三軒や四軒……潰れようが構わん」


「あくどいな。

 奴らに闇討ちされても知らねえぞ」


「それこそ、こちらの思うツボさ」


「怖い怖い。お前だけは敵に回したくないぜ」


イグナツが翼で自身の体を包み、ブルリと体を震わせた。


「まあ、夜になれば分かるさ」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「妹に全てを奪われた元最高聖女は
隣国の皇太子に溺愛される」

WEB小説の続きはこちら

妹の身代わりに殺戮の王太子に嫁がされた忌み子王女、実は妖精の愛し子でした。
嫁ぎ先でじゃがいもを育てていたら、殿下の溺愛が始まりました

なろう版の続きはこちら

「嫌われ者の公爵令嬢は神の愛し子でした。
愛し子を追放したら国が傾いた!? 今更助けてと言われても知りません」

なろう版の続きはこちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ