第四話 突きつけられた召命の旅
ずいぶんご無沙汰でした。また、連載を再開します。ちょっとデジタルにはまりすぎて穴に落っこちて這い上がってきたところです。これはデジタルにはほぼ触れさせてない昔の作品になります。一からお読み頂いても間に合うのでよかったら読んでいってください。
アレティアはマルコムとレイスと一緒に、本人がレイスと言い張るためアレティアはそう呼ぶことにした、マルコムもそう呼ぶ、宮殿に帰ってきた。
「お母様。ただいま戻りました。今日はおまけつきです」
「おまけ? ああ。マルコム。図書館でなにかやらかしたんですか?」
「お母様ひどい」
母レイナはもう既にアレティアが何か大失敗をして首になると思っている。
「やはり、この石版を見つけられたのですよ。誰にも教えられないままに」
マルコムが古びた石版をちらり、と見せる。レイナはまぁ、と言って、アレティアとレイスを見る。
「あなた達二人で見つけたの?」
「はい。私はレイスが、ノクトリア帝国の王族の紋章に気づいて人の来ない閉架図書で確かめようとしていたらマルコムに見つかって仕事を再開したら本が入っていって……」
「ああ。そのくだりはもう良いわ。わかりきってることですから。で、ノクトリア帝国の王子の名前はライクス王子よ。レイスではないわ。でも、そうね。装備品が王族のものなのね。お父様が探しておられますよ。国は帰りたくないというの?」
行間を察したレイナが聞く。
「俺はレイスです。ライクスなんてお高い王子じゃないんです。きっと、この剣だって盗んだんだ。闇の力はもう嫌なんです。こんな力どこかにやりたい。記憶さえ戻ればそれでいいのです」
レイスが言うと、またレイナはため息をつく。
「闇の紡ぎ手がこれではこの使命は遂行できるかしらね……」
「紡ぎ手?」
一斉にレイナに視線が集まる。マルコムはそこまで詳しい事は知らないらしい。
「石版を求める者、現れし時、光と闇が結びつき、傾いた世界の均衡を取り戻す……」
母、レイナが諳んじるとアレティアが目を見開く。
「お母様。この石版の内容を暗記なさってるの?」
「最初の部分だけね。お父様が熱心に調べておられたのよ」
「おとう……様? いたの?」
「当たり前です。そうでもしなくてどうしてあなた達、姉妹が生まれると思ってるんですか」
「まぁ、そうだけど。記憶がなくて」
「お父様はこれを調べているとき不慮の事故で亡くなったの。だから妻である私がこの責務を引き継いだのよ。しかたないわね。この石版の片方を集める旅に出るなら、ライクス、いえ、レイスね。が記憶を探す旅に出ても良いですよ」
「た、旅?!」
アレティアは目を見開く。本の中の出来事だったことが実際になりつつあるのをアレティアは驚愕の思いで感じていた。
「お母様。私、旅なんてできないわ。知らない事だらけだもの」
「おや、各国の図書館を巡れるこの好機を逃すのかしら? 旅の方法ならレイスが教えてくれるわよ。それに、あなた達はもう石版を見つけたのだから嫌も好きでも旅立つのよ」
「ええー。私達の気持ちは後回しなのー!!」
アレティアが叫ぶ。さすがに女王の前で怒鳴れないレイスは耳を塞ぐ。
「そう。後回し。お父様の無念も晴らしてきなさい」
「お父様の……」
しばらくアレティアは考え込んでいたが顔を上げて母を見る。
「お母様。私、お父様の気持ちを探してきます。レイスは記憶だけど、私はお父様の心を持って帰ってきます」
「アレティア……」
一瞬、母レイナの目が潤んだように思えたが、それは瞬きすると消えていた。
「さぁ。そうとなれば、あなたに装備が必要ね。レイスも今夜はこちらに泊まりなさい。アレティア、あなたは明日が司書としての最後の日ね。しっかりやってきなさい」
「はい!」
アレティアは満面の笑みを浮かべて答える。
「ほんとに本が好きなんだな……」
ぼそっとレイスが言う。
「何か言った?」
「いや」
「二人ともケンカばかりしてはダメですよ。旅は二人で協力してはじめて成功します。勝手な行動は許されませんよ。そうね。レイスにはあの石版のペンダントを預けましょう。お父様が最後に握っていた解読のためのペンダントです」
「そんな大事なもの! 姫の方が!!」
「これは男性がつけるものなの。アレティアには魔法の道具をあげますから、大丈夫ですよ。さぁ、こちらにいらっしゃい」
レイナがレイスを呼ぶ。近づくとペンダントを首にかける。ふわり、と浮いて光った気がしたのはアレティアの目の錯覚かそうでないのかは確認できなかった。
「さ。夕食を食べましょう。マルコムも責任者として二人に説教しておきなさい」
「それならいくらでも」
「げ」
二人の少年少女が下品な声を出す。レイナの片眉があがってあわてて体裁を取り繕う二人だ。
突きつけられた世界の運命と旅。
二人には何が起こるかまったく想像もできなかった。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
名前の変更ぐらいしかしてませんが、途中まで連載させて頂きます。来週をお楽しみに。




