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第一話 物語は図書館から始まる

すみません。一度下げましたが、「魔法の遺産の改稿版」です。この度、書ききることになりまして、改めて改題してお届けします。名前変更などがあるので新しい物語としてお読みください。

本好き王女は記憶喪失の王子と欠片を探す旅に出ました 第一話 物語は図書館から始まる


「ねぇ。お母様。少しの間だけでも図書館で働いてもいいでしょう? 行儀作法のレッスンはちゃんと受けるから」

 無類の本好きの姫君アレティアは女王の母にねだっていた。

 大好きな本を読むだけでなく仕事も本に関わるものがしたいと思い始めていた。

 だが、自分はシルヴァリア王国の姫だ。父はいない。いつの間にか記憶から消えていた。代わりに母のレイナが女王としてこの国を治めていた。

 一応、姉としてイリスがいるが、姉も姉で、王権に興味がない。姉はもう、さっさと嫁ぎ先を決めて近いうちに婚礼を挙げる。同盟国の王子と恋に落ちたのだ。

 だが、アレティアにとってそれはどうでもいい。恋愛なんて関係ない。本さえあればいい。そのためなら女王でもなんでもする。この城の図書室は恐ろしいと言うほど素晴らしい。だが。そんな図書室ではアレティアは物足りなくなってきた。本は古代語で書かれている物以外は全部読んだ。

 最近は母が古代語を教えてくれていた。どうやら手元に置くのに教えるのが一番いい、と策略を巡らせたのだ。それでも古代語を学べるのはアレティアには飛び上がるほど嬉しい出来事だった。

 だが、この国の王立図書館にはこの城以上に本が収納されている。古代語がある程度読めるようになったアレティアの夢は広がり、図書館でたった一日でも良いから働きたかった。司書の仕事は資格は取っていないもの、わかりきっていた。何度も司書の資格の本を読んで王立図書館で働く夢を膨らませていた。

「仕方ありませんね。1週間。それだけ働けば後継者として指名しますよ。あなたが、女王になるのです。いいですね」

 母が念を押す。言外に姉のように勝手に恋をして嫁ぐな、と言っている。それでもよかった。あの固い母から1週間の司書の仕事をもぎ取ったのだ。アレティアは浮かれて母の執務室から出て行く。

「本当に誰に似たのかしら。あなたかもね」 

 母、レイナはペンダントにしのばせている夫の絵に語りかける。

 あの人も本に夢中だった。あんな不幸な事故さえなければ……。

 ふっと、思考の泉に落ちかけて、はっとする。今は、考える亊はやめよう。今、自分が女王なのだから。レイナは書類に目を通し始めた。

 

 一方、ライクスは小競り合いに引っ張り出されて自国の軍からはぐれてしまった。父、エドリックから闇の力の使い手として英才教育を受けてきたが、最近、闇の力の存在に疑問を持つようになっていた。今日もそんな事を思いながら戦いの場にいた。ノクトリア帝国の王子として生きてきたが、こんな戦いは無意味に思えた。闇雲に支配する土地を増やし、税金を搾り取って生きる気力さえ失わせていく父に着いていく気持ちが消え始めていた。この闇の力がいとわしく思うときさえある。そんな事をつらつら思ってさ迷っていると山火事に巻き込まれてしまった。

 

 俺、死ぬのかな? それでもいいや。

 

 目の前で古木が大きな炎を上げて燃えている。枝が火を纏って落ちてくる。熱風で火傷しそうだ。喉が痛くなってきた。煙にも巻かれ、ライクスは気を失った。

 そんな倒れているライクスを紛れ込んだ山岳地帯の先住民の老婆と青年がみつけた。

「ばあちゃん。こいつ、闇の帝国の奴だ。放っておこう」

「いや、この子には何か不思議な力が働いておる。セドリック。私の家まで連れて行っておくれ。迷惑はかけないから」

 有無を言わせぬ老婆の言葉にセドリックは仕方ない、とため息をつくとライクスを担ぎ上げた。

 

 こうして光と闇の交錯が始まりかけていた。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

また、時間ができれば予約配信でこんどは長期離脱がないように準備します。

こんど活動報告にも書きます。毎週月曜日更新です。

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