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落語【声劇台本書き起こし】

落語声劇「二階ぞめき」

作者: 霧夜シオン
掲載日:2025/01/30


落語声劇「二階(にかい)ぞめき」


台本化:霧夜(きりや)シオン@吟囁亭喃咄(ぎんじょうていなんとつ)


所要時間:約40分


必要演者数:最低2名

      (0:0:2)

      (2:0:0)【性別準拠人数比率】

      (1:1:0)

      (0:2:0)


※当台本は落語を声劇台本として書き起こしたものです。

よって性別は全て不問とさせていただきます。

(創作落語や合作などの落語声劇台本はその限りではありません。)


※当台本は元となった落語を声劇として成立させるために大筋は元の作品

 に沿っていますが、セリフの追加及び改変が随所にあります。

 それでも良い方は演じてみていただければ幸いです。



●登場人物


若旦那(わかだんな):この噺(はなし)の主役の一人。吉原(よしわら)へのひやかしにドハマりしていて、

    酷(ひど)い時は一日二回も吉原(よしわら)へ行く有様(ありさま)。しかし、女郎買(じょろうか)いではなく

    吉原(よしわら)という街そのものが好きな男。


大旦那(おおだんな):店の大旦那(おおだんな)。若旦那(わかだんな)の吉原通(よしわらかよ)いに頭を痛めている。


番頭(ばんとう):お店の番頭(ばんとう)。大旦那(おおだんな)に言われて若旦那(わかだんな)に小言(こごと)を言うが、

   若旦那(わかだんな)が吉原(よしわら)へ行く目的を知り、その願いをかなえようと大工(だいく)の

   留公(とめこう)に依頼して、店の二階に吉原(よしわら)を再現させる。


留公(とめこう):店に出入りの大工(だいく)。

   腕は確かで、番頭(ばんとう)に依頼されて店の二階に吉原(よしわら)を再現してのける。


定吉(さだきち):店の丁稚(でっち)。大旦那(おおだんな)に命じられて、二階で騒いでいる若旦那(わかだんな)の様子を

   見に行かされる。


語り:雰囲気を大事に。




●配役例


若旦那・留公・大旦那・枕・:

番頭・定吉・語り:



枕:禁演落語(きんえんらくご)、煙草(たばこ)じゃございませんよ。

  第二次世界大戦中に演じる事を禁じられた演目(えんもく)、それが禁演落語(きんえんらくご)で、

  二階ぞめきもその中の一つでした。

  それが終戦を迎えて間もなく解禁され、再び高座(こうざ)にかけられるように

  なった、そういう過去を持っております。

  とまあ、少々重い話は置いておきまして。

  皆さんは店などを冷やかしに行ったことはございますか?

  本来(ほんらい)冷やかしといいますものは、むかし吉原(よしわら)の傍(そば)に紙(かみ)すき場(ば)がありま

  して、紙屋の職人が紙を水に浸(ひた)して待っているのが退屈だというので

  、紙が冷やける間に吉原(よしわら)を一周(ひとまわ)り廻(まわ)った。

  ここから冷やかしという言葉がオギャアと生まれ出でたわけでござい

  ます。別の呼び方には素見(すけん)、ぞめきというものもあります。

  そしてこの冷やかすという行為は長く続くんですな。

  当然です。銭(ぜに)がびた一文(いちもん)たりとも必要ないわけですから。

  張見世(はりみせ)やってるのを見て歩くだけだって綺麗(きれい)どころが並んでるわけで

  すから、これは大(たい)した見ごたえです。

  そういう場所だけに、一晩(ひとばん)も吉原(よしわら)へ行かねえとどうも寝られねえ。

  そんな厄介(やっかい)な人もいたりするわけでして。


番頭:若旦那(わかだんな)、困りますよ。


若旦那:なんだい、だしぬけに困るだなんて。


番頭:困るんですよ、毎晩毎夜(まいばんまいよ)吉原(よしわら)へ出かけて。

   少し度が過ぎますよ。

   先月なんか、月に四十日(しじゅうにち)も冷やかしに行ってるじゃないですか。


若旦那:ほお、面白(おもしろ)い数取(かずと)りだね。

    ひと月(つき)は三十一日って決まってるじゃないか。


番頭:若旦那(わかだんな)、それは陽暦(ようれき)です。

   この噺(はなし)の時代は陰暦(いんれき)なんですから合わせて下さい。

   いいですか?


若旦那:あ、そう…。

    で、ひと月が三十日と決まってるのに、なんで四十日(しじゅうにち)なんだい?


番頭:それは一晩に二度も冷やかしに行ったのが、

   十日もあるからですよ。


若旦那:ほう、それで四十日(しじゅうにち)かい。

    なるほどねぇ…んっふっふ、我ながらえらいじゃないか。   

    こっからどこまで増やせるかねぇ。


番頭:そんなこと言ってる場合じゃありませんよ。

   大旦那(おおだんな)様が怒ってるんですから。

   店の者に示(しめ)しがつかないって。


若旦那:なんだいその、示(しめ)しがつかないって。


番頭:吉原(よしわら)から遅く帰ってきてどんどんどんどん戸を叩いたら、

   みんな分かるでしょう。


若旦那:そりゃ、叩きたくないけど閉めてるから叩くんじゃないか。

    いっそのこと開けときなさい。


番頭:開けとけって…簡単におっしゃいますけどね、物騒(ぶっそう)じゃないですか

   。


若旦那:表(おもて)の戸がだめなら裏の戸を開けとけばいいじゃないか。


番頭:裏だって駄目(だめ)ですよ。泥棒なんてものは裏から来るもんなんです。


若旦那:だったらお前が起きてればいいじゃないか。

    俺が帰ってきてトントンって戸を叩いたらスッと開ければいいん

    だ。

    表(おもて)でも裏でも、どっちでもいいから。


番頭:いや、若旦那(わかだんな)がいつ帰ってくるかなんて分かるわけないじゃないで

   すか。

   いつ帰ってくるのかもわからないのに、じっと起きて待っていろと

   、そういうわけですか。


若旦那:だからいいんだよそれで。

    帰ってくるのが分かってて戸を叩かれたって面白(おもしろ)くないだろ。

    いま帰るか、いつ帰るか、ましてそれもご恩を受けてるご本家(ほんけ)の

    若旦那(わかだんな)がお帰りになるのを待つ、その気持ちだよ。

    女を待つ気持ちと同じだ。


番頭:若旦那(わかだんな)は女じゃない、

   男じゃありませんか。


若旦那:ああ女じゃないよ、男だよ?

    男だけどもそうやって待つところがいいんじゃないか。

    俺が帰って来た時にね、トントンっと戸を叩かれた時の嬉(うれ)しさな

    んてないよ?

    そのうち足音聞いただけで帰ってきたのが分かるよ。

    あ、若旦那(わかだんな)のお帰りだってんで、

    トンっと来たら、スッと戸を開けられるようになるんだ。

    なんでもない事なんだよ。


番頭:そんな事おっしゃられましてもね、トンっと叩かれた時点で誰かに

   バレますよ。

   大旦那(おおだんな)様に分かったらどうするんですか。


若旦那:いいよ分かったって。

    俺が言うから。

    実は俺が悪いんじゃない、ぜんぶ番頭(ばんとう)にそそのかされたんだって

    、こう言うから。

    その時にお前が、仮にそうでなくてもーー


番頭:仮にも何も、そうでないに決まってるじゃないですか。

   なんで濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)を着せるんですか。


若旦那:そこはお前、そうでなくてもだね、

    さようでございます、罪はすべて私にございます。

    と、言って俺の罪を背負うんだよ。

    親父は何にも知らないから、とんでもないわけだってんで、

    お前がスポーンと首を切られて、荷物まとめて国へ帰ると、

    こういう筋書(すじが)きだ。


番頭:ごめんこうむります。


若旦那:そんなこと言うなよ。

    いい絵になるよ?

    たそがれてる空の下、枯葉(かれは)が舞う中をお前がとぼとぼ帰る。

    絵になるくらいだから、浄瑠璃(じょうるり)のいい本が書けるよ。

    今晩行ってひとつ、誰かに聞かしてやろうかね。


番頭:バカなことおっしゃられては困りますよ。

   若旦那(わかだんな)、ここはどうか私の顔をたてて、

   吉原(よしわら)へ行く回数を減らしてはくれませんか?

   五日に三度とか、三日に一度とか。


若旦那:いやあ…番頭(ばんとう)さんの顔はたてにくいよ。

    顎(あご)がとんがってるから。

    鉋(かんな)で削(けず)って平(たい)らにしとかないと。


番頭:なに物騒(ぶっそう)な事おっしゃってるんですか。

   私の立場を察してくださいと、そう申し上げてるんです。


若旦那:分かったよ…じゃあ月に一度にするよ。


番頭:え、本当ですか?

   ありがとうございます。

   そんなにすぐ話が分かっていただけるんでしたら、

   ぐずぐず言わなかったんですけどもね。

   一日でいいんですか?


若旦那:ああ、いいよ。


番頭:ありがとうございます。

   けど、今まで月に四十(しじゅう)も行ってたのに大丈夫なんですか?


若旦那:?

    いや番頭(ばんとう)さん、お前さん何か勘違(かんちが)いしてるね。

    一日だけ行かないんだよ?


番頭:え…じゃああとの二十なん日は…?


若旦那:行くに決まってるじゃないか。

    まさかお前、一日しか行かないとでも思ったのかい?


番頭:ええ思ってましたよ。

   じゃあ月に一度だけ行かないと、そういうことですか。


若旦那:うん、そういう事だな。


番頭:だんだん話が通じなくなってきたよ。

   じゃあほぼ変わらないじゃないですか。


若旦那:変わらないね。変わらないならずっと行くよ。


番頭:困りましたなあ、ほんとに…。

   吉原(よしわら)ってのはそんなにいいとこなんですかね?


若旦那:…番頭(ばんとう)さん、殴るよ?


番頭:え、何かしくじりましたか?


若旦那:あぁ大(おお)いにしくじったよ馬鹿野郎。

    お前ね、その「吉原(よしわら)いいとこなんですか」て言い方はね、

    おはようございます、こんにちわ、

    って言ってるのと同じなんだよ。

    「吉原(よしわら)いいとこなんですか?」

    「そうですよ。」

    そこで会話が終わってしまうだろ。

    吉原(よしわら)に対して失礼だと思わないのかい?

    同じ言うなら、

    「吉原(よしわら)はいいとこなんでしょうねェェェ。」

    と、こういう声音(こわね)をするんだよ。

    「そうだよォ、吉原(よしわら)はいいとこだよォォ。」

    と俺が言って手を取って、共に泣くんだ。

    まったく、その年にもなって吉原(よしわら)にも行った事が無いってのは

    かわいそうだね。何のために生きてんのか分かりゃしない。

    よし、今晩(こんばん)お前を連れていこう。


番頭:ちょ、ちょっと待って下さいよ若旦那(わかだんな)。

   私は若旦那(わかだんな)に、そのような事をしてはいけませんよと、僭越(せんえつ)ながら

   お小言(こごと)をですねーー


若旦那:【↑の語尾に喰い気味に】

    じゃあ道くらいは覚えておくといい。

    知らないより知ってる方が小言(こごと)は言いやすいってもんだ。

    知らねえくせに言うなって言われるよりは、

    知っててこうこうだからいけませんって言えるだろ。

    私は行けるけどいけませんってな…面白(おもしろ)くない?


番頭:面白(おもしろ)くないですね。


若旦那:まあまあ、話を聞くんだ。

    吉原(よしわら)へ行くには二通(ふたとお)りある。

    一つは陸、一つは川だ。川のほうがいいね。

    特に夏場なんざたまらないねこいつは。

    柳橋(やなぎばし)あたりでもって神田川(かんだがわ)から入って…

    そのくらいならお前さんも分かるだろ。

    ここから猪牙舟(ちょきぶね)を仕立(した)てるんだ。

    猪牙(ちょき)ってなその昔、明暦(めいれき)のころにできた船だ。

    気が急(せ)いて、早く着きたいというこの了見(りょうけん)を託(たく)して、

    小さく細身(ほそみ)に作ってある、だから早いよ。

    早いだけに乗り方は難しいんだ。

    「猪牙(ちょき)でしょんべん 千両(せんりょう)も捨てた奴」って言ってな、

    あの猪牙(ちょき)から小便(しょんべん)などという芸当(げいとう)ができるようになると、

    これは吉原通(よしわらがよ)いの古強者(ふるつわもの)と言えるね。

    千両(せんりょう)は使ってないとこんな芸当(げいとう)はできないってとこからできたん

    だ。

    初めて乗る奴は速さに驚いてね、後ろへひっくり返ったり、

    前にのめったりする。

    「手をついて 猪牙(ちょき)へ乗ってる 恥ずかしさ」

    って番頭(ばんとう)、こいつはお前さんの役だ。


番頭:はあ、ありがとうございます。


若旦那:ありがとうございますって、礼を言う所じゃないよ。

    宿屋の女中(じょちゅう)だのおかみだのに、いってらっしゃいって言われて

    船に乗る。

    船が柳橋(やなぎばし)をくぐって北へついーっと向けるってえと、

    風がすーっと吹いてきて、気持ちも北向きにまっつぐになるって

    もんだ。たまらないね。

    そうすると左側に首尾(しゅび)の松だ。乙(おつ)な名前だね。

    で、右に見えるのが嬉野(うれしの)の森と言って大きな椎(しい)の木がある。

    肥前平戸(ひぜんひらと)のお殿様の下屋敷(しもやしき)があるとこで、椎(しい)の木屋敷(きやしき)ってんだ。

    その椎(しい)の木と首尾(しゅび)の松がまるで夫婦(めおと)のように見える。

    事(こと)の首尾(しゅび)を祝ってくれるってなもんだ。

    そこをずっと行くと左がお上(かみ)のお米蔵(こめぐら)、お蔵前(くらまえ)を後ろから通り、

    右のほうに向島(むこうじま)がかすんで見えて、更に左に金龍山下河原町(きんりゅうざんしもかわらまち)、

    五重の塔を見ながら浅草寺(せんそうじ)のところをずっと今度は左へ上がって

    いく、そうすると掘へ入って上がって船宿(ふなやど)だ。


番頭:それで吉原(よしわら)に着いたんですか?


若旦那:まだ着くわけないだろ、船宿(ふなやど)だよ。

    そこから土手八丁(どてはっちょう)行くんだ。

    土手八丁口八丁(どてはっちょうくちはっちょう)に誘われてってな。

    「沖(おき)のカモメの二鳥立(にちょうだ)ち、おや三鳥立(さんちょだ)ち。」


番頭:え、若旦那(わかだんな)、どうしたんですか?


若旦那:吉原雀(よしわらすずめ)ってーーわかんないだろうね。まあいいや。

    途中に土手(どて)の道哲庵(どうてつあん)、砂利場(じゃりば)、孔雀長屋(くじゃくながや)の手前(てまえ)をだな、

    弓手(ゆんで)に見ながら降りてくると、道はおのずから吉原(よしわら)に通じる。

    どうだい。


番頭:はぁなるほど、そこから来たんですね。


若旦那:何が?


番頭:すべての道はローマに通じる。


若旦那:…番頭(ばんとう)さん、大丈夫かい?

    異国(いこく)と吉原(よしわら)に何の関係があるんだよ。

    下(くだ)らないこと言うもんじゃない。

    五十間高札場(ごじゅっけんこうさつば)、だらだらだらと見返(みかえ)り柳(やなぎ)、

    おッ、見えてくるのが我が麗(うるわ)しの、大門(おおもん)!


番頭:え、「だいもん」では?


若旦那:「おおもん」だよ!

    で、行くまでのな、八丁八田(はっちょうはった)土手(どて)が土手八丁(どてはっちょう)とこう言うんだがな、

    この道哲(どうてつ)って場所がちょいと乙(おつ)でね。泣かせるんだ。


番頭:はぁ、どう泣くんですか?

   悔(くや)しくて?


若旦那:悔(くや)しいも何もあるもんか。いいから黙って聞いてなさい。

    これはね、西方寺(さいほうじ)って寺にいた道哲(どうてつ)って坊主(ぼうず)が作ったという

    ような説があるな。

    また三浦屋の高尾(たかお)って花魁(おいらん)に熱くなって通って、

    喋喋喃喃(ちょうちょうなんなん)ありしという説もあり。

    どちらの説も取るに足らないという説もあり。


番頭:若旦那(わかだんな)の話は難しいですな。

   ややこしくていけませんよ。もっとこう簡単にーー


若旦那:だからね、川の方の行き方はそういうわけだ。

    陸の方は歩いて行くのもいいがな、やはり駕籠(かご)だね。

    浅草見附(あさくさみつけ)からこう行くってえと二つに分かれてる。

    左の方へ行くってぇとこれもやっぱりお蔵前(くらまえ)から並木町(なみきちょう)を

    ずっと行くと雷門(かみなりもん)にぶつかるだろ。

    仁王門(におうもん)をくぐって右の方へ二天門(にてんもん)、その昔の矢大臣門(やだいじんもん)だ。

    こいつを右に見て、左へ左へとこう行くんだね。


番頭:なんか若旦那(わかだんな)、さっきから左左左左言ってますな…。

   その裏門を左左(ひだりひだり)に行けば良しと言いますな。

   馬道(うまみち)を五、六丁(ろくちょう)行って、手前に姥(うば)が池の左を通って富士の浅間(せんげん)様を左に見な

   がら、さらに馬道(うまみち)を五、六丁(ろくちょう)行って吉原田町(よしわらたまち)、

   土手(どて)へぶつかって船宿(ふなやど)の客と一緒になって左へ行って

   これを左へだらだらと下りて見返(みかえ)り柳(やなぎ)。


若旦那:【↑の語尾に喰い気味に】

    …おい、番頭(ばんとう)さん。

    お前さんさっき、吉原(よしわら)の道が分からないって言ったばかりじゃな

    いか。


番頭:ええ、言いました。


若旦那:じゃなんで今すらすら陸での行き方が出てきたんだい?


番頭:ですから、私は駕籠(かご)では行くんですが、

   船の方が分からないと、こういうわけで。


若旦那:はあ、こいつは驚いたね。

    で、どうしたいんだい。


番頭:ええ、若旦那(わかだんな)がそういう了見(りょうけん)でしたら、わかりました。

   ここまで来たからには私も腹をくくりましょう。

   若旦那(わかだんな)の悪事(あくじ)に加担(かたん)します。


若旦那:ほお、嬉しいね。加担(かたん)と来たかい。

    どうカタンとくるんだい。

    カタンカタンと、どうくるんだい?


番頭:ですから、若旦那(わかだんな)が惚(ほ)れてるであろう方(かた)をですね、

   私が大旦那(おおだんな)に内緒(ないしょ)で身請(みう)けをして、向島(むこうじま)か今戸(いまど)に囲(かこ)います。

   そこに若旦那(わかだんな)が通うんです。ただし夜はいけませんよ。

   昼間に行ってちょいちょいと会うなり、いろいろありのね、

   大旦那(おおだんな)様が六(ろく)ったらーー


若旦那:なんだいその六(ろく)ったらってのは。


番頭:まぁまぁまぁまぁ、もしそういう事になりましたら、その時は

   どうとでもなりますから、とりあえず私に万事(ばんじ)任せておくんなさい

   。


若旦那:はぁ~言うねぇ番頭(ばんとう)さん。

    お前さん、親父に内緒(ないしょ)でそういう事やってるんじゃないのかい?

    山崎屋の番頭(ばんとう)と同じことしてるんじゃないのかい?


番頭:またそういう事をおっしゃって…。

   私はですね、若旦那(わかだんな)の為を思ってーー


若旦那:またそれかい、二言目(ふたことめ)には俺の為って…。

    そりゃあ俺の為と言っときゃね、俺が後を継(つ)いだらお前さんが

    一番の功労者ってことになるからね。


番頭:そういう事じゃありませんよ。

   分かってますよ。


若旦那:番頭(ばんとう)さん、分かってるって言うけどね、

    肝心(かんじん)なところが分かってないよ。


番頭:どういう事です?


若旦那:俺はね、女が好きで吉原(よしわら)へ行くんじゃないんだよ。

    吉原(よしわら)が好きで行くんだ。

    だから女を身請(みう)けしてもらっちゃ困るね。


番頭:え…つまり…?


若旦那:だから、女を身請(みう)けするんじゃない。

    吉原(よしわら)を身請(みう)けすればいいんだよ。

    できないだろ?


番頭:できませんよ、吉原(よしわら)そのものだなんて。

   じゃ若旦那(わかだんな)、あなたは女が目当(めあ)てじゃなくて、

   吉原(よしわら)そのものが目当(めあ)てで通ってると?


若旦那:そうそう、そういう事なんだよ。


番頭:…でしたら若旦那(わかだんな)、つかぬ事をうかがいます。

   あなたは二階を一人でお使いになられてますよね?


若旦那:そうだね、広すぎて体のやり場(ば)に困ってるよ。


番頭:いいですよ、やり場(ば)に困るくらい広いんですから、

   やり場(ば)のあるようにしましょうよ。

   二階に吉原(よしわら)を作りましょう。


若旦那:…え?


番頭:ですから、二階に吉原(よしわら)をそっくり作りましょう。

   そこを冷やかしておいでなさい。

   そうすれば大旦那(おおだんな)も何も言わないでしょう。


若旦那:…番頭(ばんとう)さん、お前さんどこで取れたっけ?

    すごい事考えるね。

    二階に吉原(よしわら)、作れるのかい?


番頭:ええできますよ。

   そうして朝に晩にひやかせばいいじゃないですか。

   昼遊びもあるんですよね?


若旦那:あ、あぁ、そうだけど…。

    でもね、仮に作るとしたって俺は注文がうるさいよ?

    半端(はんぱ)な出来(でき)じゃ満足しないよ?

    というか番頭(ばんとう)さん、お前さんが作るのかい?


番頭:私が作るわけないじゃないですか。

   大工(だいく)の留公(とめこう)に作らせますよ。


若旦那:留(とめ)?あの出っ歯(ぱ)の?


番頭:ええ、腕はしっかりしてますから。


若旦那:あ、そう…、まあわかった。

    できなくて元々だと思って、期待しないで待ってるよ。


番頭:承知しました。

   ではさっそく。


   【二拍】



   ここだな。

   留公(とめこう)、いるかい?


留公:おっ、こいつァ番頭(ばんとう)さん。

   今日はどうしたんで?


番頭:実はね、うちの店の二階、あそこはいま若旦那(わかだんな)が一人で使ってるん

   だが、そこに吉原(よしわら)の町並みをそっくりそのまま作ってほしいんだ。


留公:へっ!?吉原(よしわら)の町並(まちな)みをお店の二階に!?


番頭:ああ、若旦那(わかだんな)の吉原(よしわら)通いは知ってるだろう?

   あれは実は、女目当(おんなめあ)てで通ってたんじゃなくて、吉原(よしわら)そのものが

   目当(めあ)てだったって事が分かってね。

   だったら町並(まちな)みをそっくり二階に作ってしまおうと、こう言うわけ

   なんだ。

   頼まれてくれるかい?


留公:へえ~!また珍しいご趣向(しゅこう)ですなあ!

   いや、しかし嬉(うれ)しいですな!ありがとうございます!

   生きてて良かったと思うのは、こういう仕事が来た時だね!

   やります、やりますよォ!


番頭:入費(いりひ)はいくらかかってもいいから頼むよ。

   若旦那(わかだんな)はあそこの隅(すみ)から隅(すみ)まで知ってるんだから、うるさいよ?

   もう吉原(よしわら)を再建するくらいの勢いでないといけないよ。


留公:へへ、心配ご無用でさ!

   こちとら頭の中に全部入ってんだ!

   どこそこの行灯部屋(あんどんべや)に行灯(あんどん)が何本あるか、

   知ってるんでェ!

   あっしはくわしいんだ。


番頭:そりゃ居残(いのこ)りじゃないか。

   えばったって駄目だよ。


留公:へへへ、そうだけどね。

   まあひとつ、あっしに任しておくんなせェ!


語り:そんなこんなで吉原(よしわら)再現工事が開始と相成(あいな)ったわけですが、

   これがどこでどう漏(も)れたか、その道の細工師(さいくし)だの左官屋(さかんや)だのが

   面白(おもしろ)そうだってんでぞろぞろ集まってきた。

   そして寄ってたかって吉原(よしわら)を店の二階にこしらえてしまったので

   あります。


留公:どうだい番頭(ばんとう)さん、この中にゃ実際に吉原(よしわら)通ってる奴もいるが、

   そいつの目から見ても瓜(うり)二つってことだぜ!


番頭:へえぇこいつは驚いた…!

   いや、よくこしらえたもんだね。

   日当(にっとう)はこれだよ。

   いや、ご苦労様だったね。

   それじゃ、私は若旦那(わかだんな)に知らせてくるよ。


   【二拍】


   若旦那(わかだんな)!

   できましたよ!


若旦那:?何が?

    夕餉(ゆうげ)かい?


番頭:夕餉(ゆうげ)じゃありませんよ。

   ほら、その…二階に、

   【声を落として】

   吉原(よしわら)が、できましたよ。


若旦那:えっ、できた!?

    二階に!?

    吉原(よしわら)が!?

    本当にやったのかい!?


番頭:はい。

   今ちょうど灯(ひ)が入りましたよ。

   どうです?冷やかして来ませんか?


若旦那:…~~んんんフフフフ、ぞくっとするようなこと言うね。

    冷やかしに?いいのかい?


番頭:いいですよ、家の中なんですから。


若旦那:そ、そうだね。

    じゃ、ちょっと冷やかしてこようかな。


番頭:でしたら、誰か連れをーー


若旦那:【↑の語尾に喰い気味に】

    連れなんかいらないよバカ。

    「色にはなまじ、連れは邪魔」て言葉を知らないのかい?


番頭:そうですか。

   若旦那(わかだんな)、今晩は貸し切りですよ。

   大門(おおもん)閉める事になりますね。


若旦那:お、俺が一人で?大門(おおもん)を!?

    【手を叩く】

    よォし!いいねッ!行く行く!

    じゃ、そこの戸棚(とだな)開けとくれ。


番頭:入るんですか?


若旦那:戸棚(とだな)に入る奴がいるかい。借金取りに追われてるわけじゃあるま

    いし。

    着物を出してくれってんだよ。


番頭:いや若旦那(わかだんな)、家の中なんですから別に着替える必要もないのでは?


若旦那:なに言ってるんだ。

    冷やかしに行くのにこのなりで行けると思ってるのかい?

    これに着替えなきゃいけないよ。


番頭:はあ、冷やかし用の着物ですか。


若旦那:そう、古渡唐桟(こわたりとうざん)てんだよ。


番頭:袂(たもと)がないんですね、これ。


若旦那:冷やかしている時に誰かとぶつかりゃ喧嘩(けんか)になる。

    殴られる前にこっちからポカッてやるんだ。

    そん時に袂(たもと)があっちゃ邪魔だから、平袖(ひらそで)のやつを着るんだ。

    帯(おび)を締(し)めて…よし、下駄(げた)と手ぬぐい持ってきておくれ。


番頭:下駄(げた)と手ぬぐいって…湯屋(ゆや)行くんですか?


若旦那:湯屋(ゆや)ってお前ね…夜露(よつゆ)に濡れるのは毒だから、

    手ぬぐい持ってこいって言ってるんだよ。


番頭:いや、家の中ですよ?

   夜露(よつゆ)なんてありゃしませんよ。

   むしろ眠くなったらそのまま寝ても構(かま)いませんよ。

   床は畳(たたみ)なんですから。


若旦那:余計(よけい)なこと言うんじゃない。

    じゃ、行って来るから、誰も上げちゃいけないよ。


番頭:へいっ、いってらっしゃいまし!


若旦那:いってらっしゃいまし、と来たよ、へへへ。

    吉原(よしわら)行くのにこんな送り出し方されたの初めてだね。

    トントントントントントン、トトントントントンっと。


    !!!


    へえぇぇぇ!!

    はぁぁぁこりゃ驚いたねえ!

    留公(とめこう)の奴やりやがったよ。

    誰哉(たそや)行灯(あんどん)にずーっと火が入ってる。

    見返(みかえ)り柳(やなぎ)があって、それに…大門(おおもん)!

    吉原(よしわら)を借り切ったのは紀伊国屋文左衛門(きのくにやぶんざえもん)と奈良屋茂左衛門(ならやもざえもん)だけ

    だが、俺で三人目だね。

    引手茶屋(ひきてちゃや)に…大見世(おおみせ)がひしめき合って…江戸一(えどいち)には玉屋(たまや)、松葉屋(まつばや)

    、扇屋(おうぎや)に三浦屋(みうらや)。

    聞くだけでぞくぞくっとくるね!

    江戸二(えどに)に尾張屋(おわりや)、梅屋(うめや)、丁子屋(ちょうじや)、大文字屋(だいもんじや)、大黒屋(だいこくや)だ。

    仲之町(なかのまち)を進んでくってェと…角海老桜(かどえびろう)だ、嬉しいねえ。


    だけど…うーん……無人だな。


    あっ、そうか。

    つまり今日は紋日(もんび)かなんかで客がどんどん上がっちゃってね、

    冷やかしの客も帰っちゃって大引(おおび)けも過ぎてると。

    犬の遠吠(とおぼ)えに按摩(あんま)の笛の音(ね)…よし、こういう日にしよう、うん。


    【※ここから若旦那妄想の一人芝居が始まります!】


    どうだい、忙しいかい?

    なに?暇です?何言ってやんでェ、暇な事はねえじゃねえかよ。

    上がってくれ?だめだよ。俺ァ冷やかしてんだ。

    ぐるっと廻(まわ)ってまた寄ってやるよ。


    【鼻唄】


(若衆):ちょいと、ちょいと旦那。


    なんだよ、袖(そで)を引っ張るなよ。


(若衆):ちょいちょい、いらっしゃいいらっしゃいらっしゃい。

     どうぞ、店の前へ。


    なんだよ、嫌だってんだよ。


(若衆):そんなこと言わないで、さささ、店の前へ。


    おぉいおいおい何するんだよおい、嫌だってんだよ。

    冗談じゃないよ。

    こちとら冷やかしなんだ。


(若衆):お願いしますよ。


    嫌だよ。


(若衆):あたしを助けて下さい。


    嫌だってんだろ。


(若衆):まずまず、店の前に。


    だから嫌だーーって忙しいなこりゃ。

    何から何までやらなくっちゃいけねえよ。


    【鼻唄】 


(花魁):ちょいと。…ちょいと。


    …あん?俺かい?


(花魁):そうだよ。

     さ、一服(いっぷく)、お上がんなさいな。


    なんだよ、悪いじゃないか。


(花魁):悪い事なんかないよ。

     あたしはあんたの事好きだからさ。

     さ、やっとくれ。


    …ふふふ、そうかい?悪いね。

    じゃ、もらうぜ。


    すぱ、すぱ…ふぅぅ~…。


    おう、ありがとよ。


(花魁):ねーぇ、お前さんさあ、今夜ひとつ上がってくれないかい?

     実は夕(ゆう)べも一昨日もお茶ひいてるんだ。

     きまりが悪くってさ、上がっておくれよ。


    嫌だよ、俺ァ冷やかしなんだ。

    まだ廻(まわ)るんだから。


(花魁):廻(まわ)るったってもうみんな寝てるよ。

     そんなこと言わないで、ね、後生(ごしょう)だから上がってよ。


    嫌だってんだろ。


(花魁):いいじゃないの…ってちょいとちょいと。

     お兄さん本当に上がんないの?

     止(よ)すの?

     冷やかしで行っちゃうのかい?


     ふんっ。


     どこ行ったって寝るとこなんかないよ!

     一服(いっぷく)ふかすだけふかして行っちまうんだね。

     どうせ上がれないんだろ!


    なんだと?

    上がれねェたぁなんだ、何言ってやんでェ!

    気に入んないから上がんねぇんだ!


(花魁):大きなこと言うんじゃないよ。

     気に入ったって、お足(あし)がなくて上がれないんだろ。

     銭(ぜに)無し!


    おっおっおこの女、いまなんつった?

    銭(ぜに)無しとはなんでェ!

    あるかねぇか分かるってのかい!


(花魁):見りゃわかるよ!

     女にさ、後生(ごしょう)だから上がってよって言われりゃね、

     上がらなきゃ男がすたるもんさ。

     上がらないってのは銭(ぜに)がない証拠だろ。

     あったらここに並べて見せてみなってんだよ!

     タバコだけふかして行っちまおうってんだからさ、泥棒!


    っ泥棒だとこんちくしょう!

    客をつかまえて泥棒たぁなんでェ!


(花魁):客だぁ?

     ふん、笑かしてくれるよ、何が客だい。

     上がるから客ってんだよ。

     上がれもしない奴に客も何もあるかい!

     文(もん)無し!


    おっ、今度は文(もん)無しって言いやがったな!?

    このっ…!


(花魁):な、なんだいこの手は?

     乱暴を働こうってのかい!?

     冗談じゃないよ!こっちにはお金がかかってんだ。

     ぶつんだったら身請(みう)けでも何でもしてからにしな!

     身請(みう)けする銭(ぜに)もないんだろ!


    っまた銭(ぜに)のこと言いやがったな!

    もう勘弁ならねぇ!


(若衆):おい、おいおいよせや!

     相手は女じゃねえか。


    な、何だ何だてめえは!


(若衆):なんだ、って仲裁(ちゅうさい)に決まってるじゃねえか。

     弱(よえ)ぇモンとケンカする男ァでぇっきれぇだ!

     このケンカはなぁ、俺が買ってやろうじゃねえか!


    何をォ!?

    んの野郎ォ、女の前でカッコつけやがってェ!

    てめェやるかァ!?

    ッ!


(若衆):おっ!この野郎ォ、上等だ!

     ふんッ!


    てっ! やったなてめェ!

    面白(おもしれ)ぇ、包丁(ほうちょう)でも何でも持って来い!

    こちとら三度の飯(めし)よりケンカが好きなんでェ!

    さあ、殺すんなら殺せ!

    殺せェーーーーーッッッ!!!


   【二拍】


定吉:なんだろ、なんだかやけに二階が騒がしいなあ…?


大旦那:…しょうのねぇバカだ。

    たまに家にいると思ったらこれだ。

    定(さだ)! 定吉(さだきち)! いるかい!?


定吉:!へーーいっ!


   お呼びですか大旦那(おおだんな)様。


大旦那:あのバカ…若旦那(わかだんな)に少し静かにしろと、

    二階上がってそう言ってきな。

    世間体(せけんてい)てものがある。


定吉:へい、かしこまりました。


   番頭(ばんとう)さんは二階上がっちゃいけないって言ってたけど…、

   大旦那(おおだんな)様の言いつけだからしょうがないよね…って、えええ!?

   ずいぶん綺麗(きれい)になっちゃって…え、これって吉原(よしわら)だよね?


若旦那:野郎ッ、このッ!殺せッ!

    さぁどうでもしやがれッ!こんちきしょうめ!

    こちとらな、吉原(よしわら)で死ねりゃ、本望(ほんもう)なんでェ!


定吉:あれ、むこうで騒いでるよ。

   ほっかむりしてるのがいる…泥棒かな…ってあれ、若旦那(わかだんな)だ。

   喧嘩(けんか)してるよ、相手いないけど。

   え、一人芝居(ひとりしばい)?自分の首絞(くびし)めたり胸倉(むなぐら)掴(つか)んだり、

   女になったり男になったりしてるけど。ここ、大丈夫かな?

   若旦那(わかだんな)! 若旦那(わかだんな)!


若旦那:うるせえッ!

    誰が止めたって、てめえなんざ生かしちゃおかねえぞ!


定吉:若旦那(わかだんな)! 若(わか) 旦(だん) 那(な)ッ!!


若旦那:なんだこの野郎!

    って誰だ!肩なんぞ叩きやがって!

    邪魔だてするんじゃねえや!

    てめェ、てめェなんぞなぁ!……って、えっ!?


定吉:若旦那(わかだんな)!

   あたいです、定吉(さだきち)です!


若旦那:あっ!?定吉(さだきち)か!?


定吉:へい。


若旦那:~~~悪いとこで会ったなぁ…。

    おい定(さだ)、いいかい。


    俺とここで会った事、家に帰っても親父(おやじ)には内緒(ないしょ)にしておいてく

    れ。




終劇




参考にした落語口演の噺家演者様等(敬称略)


古今亭志ん生(五代目)

立川談志(七代目)

柳家花緑



※用語解説


・六(ろく)ったら

南無阿弥陀仏で六文字、警察の隠語で仏(死人)を指す。


・ぞめき

騒き、と書きます。

遊郭(ゆうかく)や夜店などをひやかしながら歩くこと。また、ひやかし客。

大勢の客の中には張見世(はりみせ)を見て回るだけの見物客もあり、

これを「ひやかし」「ぞめき」「素見(すけん)」といった。

そうした見物客にとって花魁(おいらん)道中は目を楽しませるものであった。


・古渡唐桟(こわたりとうざん)

古渡は室町時代かそれ以前に外国から伝来した織物などで、貴重なものと

された。唐桟は細番の諸撚綿糸で平織にした縞織物。


・紀伊国屋文左衛門(きのくにやぶんざえもん)

紀文(きぶん)と略称される。

紀州湯浅(和歌山県有田郡湯浅町)の出身。

紀州みかんや塩鮭で富を築いた話が伝えられる。


・奈良屋茂左衛門(ならやもざえもん)

材木商として明暦(めいれき)の大火や日光東照宮の改築、将軍綱吉の寺社造営(じしゃぞうえい)などを

契機に御用商人となり、一代で急成長したという。

吉原の遊女を身請けするなど、紀伊國屋文左衛門に対抗して放蕩(ほうとう)の限りを

尽くしたと言われる。


・喋喋喃喃(ちょうちょうなんなん)

男女がむつまじげに語り合うさま。

また、小さい声で親しそうに語り合う様子。


・江戸一

江戸町一丁目の事。江戸二は二丁目。


・按摩(あんま)

マッサージの手技療法、またはその施術を職業とする人の事を指す。

按摩という言葉は視覚の不自由な方を表す言葉でもあったので、

放送禁止用語に指定されており、普段耳にすることはない。




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