三題噺20230130
三題噺20230130
「晴れ」「犬」「最強の目的」
ジャンル:時代小説
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ある晴れた日の朝だった。彼の・・・ここではK氏としておこう。
K氏の飼い犬であるサクラは飼い主のKと共に天下の台所である大阪の城下町を
闊歩していた。
待ちゆく人々の表情は暗く、窶れ細っている者も見受けられる。
この連日続く肌が凍てつくが如きの地獄の寒波も無関係ではないだろうが、
それよりももっと大事な問題がにんげんにはあるようだ。
にんげんの事情はよく分からないが飼い主がぼやくを聞くに
徳川なる人間が率いる軍隊が僕たちの町にやって来ているようだ。
長いこと城の出入り口を封鎖されているようである。
僕自身も外に散歩がいけなくて悲しい。
第一、外に出れなければ御主人様と一緒に日ノ本を廻りご主人様はお仕事である土木の工事の技術を磨き、
日ノ本一の職人にそして僕は、御主人様の隣に居て僕の可愛さを日ノ本中に広めて日ノ本の人々を魅了して
御主人様と共に技術と可愛さで日ノ本を征服するという「最強の目的」があるのだ。
などどけしからぬ野望を抱えてニヤニヤしている間に日課である御主人様との散歩がもう終わってりまった。
とても残念だ。
散歩の後は御主人様と一緒にご飯を食べるのが日課だ。
一緒にご飯を食べていると急にしらないにんげんが駆け込んできた。
どうやらご主人様に御用があるらしい。
どうやら戦争とやらが終わったらしいがその条件として堀を埋める工事をすることになったという話らしい。
それで御主人様にも声をかけに来たという。
なかなかこのにんげん見る目があるな。
どうやら報酬も弾むようで猶更、御主人様の機嫌はよくなったように見えた。
そしてその工事が終わればやっと外にも出られるらしい。
僕はうれしさの周り御主人様の周りをグルグルと廻って機嫌よく吠えた。
「ワンワン‼」