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第50回 大和ホテル、武蔵屋旅館

 戦艦「大和やまと」と言えば、史上最大の46㎝主砲3基9門を備え、防御面でも、指揮系統の集中する重要区画に対46cm砲防御を施した当時の日本最大の技術を駆使した超弩級(どきゅう)戦艦として有名です。

 その最期は、有名な沖縄特攻での沈没。


 一方、「武蔵むさし」は大和型の2番艦で、大日本帝国海軍が建造した最後の戦艦。基本的には大和の同型艦で、細かいところは違いますが、私はそれほど戦艦マニアではないので、省略。

 その最期は、レイテ沖海戦で沈没。


 今回は、この2艦について。


 有名なゲーム「艦これ」では、大和のセリフに「ホテルじゃありません」ってのがありまして。


 これが、今回取り上げるテーマ。

 大和は「大和ホテル」、武蔵は「武蔵屋旅館」と呼ばれたそうです(当時の軍関係者。一般にはほとんど機密事項でした)。


「よくも人力でこのような軍艦が造れたものだ」

 とは、陸軍参謀の辻政信(まさのぶ)中佐が大和を見て、呟いたと言われている言葉です。


 大和は、居住空間が大変恵まれており、備蓄食料も豊富。

 艦内には冷凍庫や冷蔵庫はもちろん、納豆、こんにゃく、もやし、うどん、豆腐、おはぎ、お汁粉しるこ、ラムネ、アイスクリームまで製造できる設備があったそうです。


 さらに厨房には当時の有名料亭や一流レストランで働いていたコックを乗り込ませており、将校の食事は、朝は旅館朝食風の日本食、昼は洋食フルコース、夜は和食膳と豪華な上、司令長官の昼食時には長官が食器を手にした瞬間から軍楽隊の演奏が始まり、40分の昼食時間中、艦内に音楽が流されることもあったとか。


 こうしたことから、泊地はくち(港湾において船舶を停泊させる水域)で動かずに贅沢三昧を続けていた「大和」、「武蔵」に対し、軍関係者は「大和ホテル」、「武蔵屋旅館」と陰口を叩いたと言われています。


 そして、もう一つ、有名なのが、クーラー(冷房設備)があったこと。

 今でこそ珍しくないですが、太平洋戦争当時の約80年前において、冷房はものすごく貴重だったので、他の艦の乗組員から羨ましがられたそうです。

 当時、冷房自体、一部の百貨店や病院にしかなかったそうです。


 ただ、実はこの冷房。

 そもそも人間用に設置したものではなかったとか。


 日本海軍は当時、何度も艦船の弾薬による爆発火災事故を起こしており、大和型には大量の弾薬が収められるため、安全管理が最優先事項だったそうです。

 そこで、弾薬庫を徹底管理することになり、温度を摂氏7度から21度、湿度を80%以下に保つために、この冷房が使われたそうです。


 ちなみに、冷房設備を作ったのは、東京芝浦電気、つまり現在の「東芝」です。


 あと、ラムネ製造機もよく取り上げられますが、実はラムネ製造機は大和だけでなく、巡洋艦以上の大型艦には搭載されている物もあったとか。


 また、艦内にはエレベーターもあったそうです。大和の中甲板から13階、露天甲板からでも10階の高さがあったので、階段で昇り降りは大変だったのです。

 このエレベーターは、三菱電機製だったそうですが、今のようにボタンを押すだけの全自動運転ではなく、扉の開閉や、エレベーターと乗り場の床面を合わせるのに、加減速操作が必要な、要は「手動運転」で、かなりの高速だったようで、実は乗り心地は悪かったそうです。


 では、この「大和ホテル」と「武蔵屋旅館」。どっちが快適だったのかというと。


 答えは「武蔵」だったそうです。

 「大和」は、海軍のくれ工廠こうしょうが建造し、「武蔵」は長崎三菱造船所が建造しました。

 長崎三菱は、大型客船などの民間企業の船も手掛けた経験があったので、艦内の内装や調度品の仕上がり、使い勝手は「武蔵」の方が良かったと言われています。


 まあ、一応、「大和」もこの長崎三菱に内装の仕上げを依頼していたそうですが。ただ指令室の広さなど全体的に「武蔵」の方が旗艦機能は充実していたそうです。


 どちらももう見ることもできず、ましてやこのような大型戦艦が開発・建造されることはもうないのでしょうが、タイムスリップできるなら、一度見てみたい物です。


 「大和」などについて詳しく知りたい方は、映画「アルキメデスの大戦」が、個人的にはオススメです。

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