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第49回 織田信長の理解者?

 「?」とつけたのは、謎が多いので。


 その今回の主役。


 濃姫のうひめ(1535~?)


 濃姫、またの名を帰蝶きちょう。ただし、帰蝶の名は、江戸時代の『美濃国諸旧記』や『武功夜話』に記述されているものの、歴史学者の木下聡は帰蝶という名は戦国時代の女性の名前にそぐわないため、江戸時代の創作ではと推定しています。


 濃姫の名は「美濃の姫」を略したものだと思われます。彼女の父が、美濃国(現在の岐阜県)を治めていた斎藤道三だからでしょうけど。

 母は、小見おみの方。1535年だとすると、道三が42歳の時の子で、当時としてはかなり遅い年齢の出生になります。


 お濃の方、安土殿とも呼ばれていますが、ここでは「濃姫」で統一します。


 織田信長の正室になったことで有名で、その信長より1歳年下。

 婚姻の時に、父の道三から、「もし信長が誠のうつけなら、この短刀で刺せ」と言われ、「この短刀が父上に向くことになるかもしれません」と言ったという俗説で有名。


 ただ、濃姫。

 実に謎の人生を送っています。


 まず没年が未詳。ちなみに明智光秀の従姉妹という説もありますが、それすらも怪しいらしいです。


 信長と結婚したのは、濃姫が数え年で14歳の天文17年(1548年)と言われていますが、実はその前に濃姫は数え年12歳で、土岐(とき)頼充(よりみつ)の正室になったとも言われており、頼充が若くして亡くなったため、出戻りという説もあります。

 当時は、10代前半の結婚が珍しくなかったので。


 問題は、彼女の後半生についてで、濃姫の史料は極めて乏しく、実証が難しいために、その実像には謎が多いことです。


 ちなみに、信長と濃姫の間には子供がいなく、長男・信忠、次男・信雄のぶかつの母は、信長が寵愛した側室の生駒いこま吉乃きつのと言われています。


 それでは以下、濃姫の後半生の色々な説を挙げます。


①死亡説

 歴史学者の桑田忠親は、信長の初期の側室の生駒吉乃が弘治3年(1557年)に信長の嫡男・織田信忠を産む以前に、濃姫は20歳くらいで病死したのではないかと推測しています。これには彼女の名前が、織田家の公式史料にほとんど出てこないためだそうです。


②早世説

 ①に似てますが、濃姫が少なくとも28歳前後の永禄7年(1564年)頃には既に亡くなっていて、信長の正室にも別の人物が収まっていたと言われています。もっとも別の正室がいたのなら、その間に子がいないのは謎ですが。


③討死説

 濃姫が本能寺の変の際に薙刀を振るって信長とともに敵兵と戦って戦死する場面がしばしば描かれてきましたが、これはあくまでも創作物における描写とされています。

 本能寺の変の際に濃姫が戦死したという話は、史料で確認されたことはなく、いわゆる小説の世界での話であり、確かなものではなかったためです。


 一応、民間伝承としては、岐阜県岐阜市不動町に本能寺の変の際に信長の家臣の一人が濃姫の遺髪を携えて京から逃れて、この地に辿(たど)り着き埋葬したという濃姫遺髪塚(西野不動堂)というのがあるそうです。


④生存説

 『言継ことつぐ卿記』という戦国時代の史料の永禄12年(1569年)7月27日条に、斎藤義龍の後家をかばう信長本妻という記述があり、これが濃姫という可能性はあります。


 他にも、江戸時代の元禄年間に書かれた『明智軍記』には、尾張平定後の饗膳きょうぜんの際に、信長内室という記述があります。


 また、信長の次男である、織田信雄が天正15年(1587年)頃の家族や家臣団の構成をまとめた『織田信雄分限帳』に、あつち殿(安土殿)という女性が書かれていて、これが濃姫を指すという説もあります。


 京都の大徳寺総見院には「養華」と刻まれた五輪供養塔(卒塔婆そとば)があると報じ、NHKの大河ドラマ『信長』内で、従来説を覆し、濃姫が慶長17年7月9日(1612年8月5日)、78歳の天寿を全うしたと放送しています。


 ということで、濃姫に関しては非常に謎が多いのです。


 ただ、もしかしたら彼女こそが一番、織田信長のことを理解していた人物なのかもしれません。


 なんだかんだで、夫婦というのは、お互いのいいところも嫌なところも見えてくるので。むしろ、嫌なところの方が見える気がしますが。

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