第36回 日本野球史
私は、個人的に「野球」自体が好きで、小さい頃から見たり、実際にやったりしてましたが。
では、今回は日本の野球史について少し振り返りたいと思います。
そもそも、まず「野球」、というかベースボールの歴史からになりますが。
1845年、アメリカのアレキサンダー・カートライトが今日の野球に直接つながる規則を作ったと言われています。そして、この規則による最初の試合が1846年、ニュージャージー州ホボケンで行われたとされています。
野球=ベースボールの起源とされているのは、イギリスで始まった、クリケットと言われていますが、クリケットが11人制に対して、野球は9人制。もちろん細かいルールの違いもあります。
そして、このベースボールが、日本に伝わったのが、明治5年(1872年)。第一大学区第一番中学のアメリカ人教師だった、ホーレス・ウィルソンが生徒にベースボールを伝えたと言われています。
翌年、開成学校と校名が変わり新校舎とともに立派な運動場が整備されると試合ができるまでになります。
ちなみに、日本国外で、日本人が初めて野球をした時期としては、アメリカ巡業中だった軽業師一行(ロイヤル江戸劇団)が1872年6月7日、ワシントン・オリンピックスと対戦し、敗れたものの17-18と健闘した、と『ナショナル・リパブリカン』というアメリカの記事に書かれています。
その後、明治11年(1878年)、平岡凞が日本初の本格的野球チーム「新橋アスレチック倶楽部」を設立。さらにその後、三田へリクレス・クラブ、東京大学、駒場農学校、慶應義塾、波羅大学(現在の明治学院)、一高など、野球チームが次々と誕生します。
明治15年(1882年)に新橋アスレチック倶楽部は駒場農学校と日本初の対抗戦を行ったとされています。
なお記録上で日本で初めて国際試合を行ったのは青井鉞男が投手時代の旧制一高ベースボール部で、明治29年(1896年)5月23日、横浜外人居留地運動場で横浜外人クラブと対戦し、29対4で大勝してます。
また、記録上で日本で初めて米国人チームと試合を行った(日米野球)のも同部で、同年6月5日、雪辱戦として横浜外人クラブから試合を申し込まれ、横浜外国人居留地運動場で当時の米国東洋艦隊の選りすぐりによるオール米国人チームと対戦し、32対9で連勝してます。
ちなみに、「ベースボール」を、初めて「野球」と日本語に訳したのは、第一高等中学校(1894年、第一高等学校に改称。第二次世界大戦後の学制改革の際に東京大学に併合され、新制東京大学教養学部になる)の野球部員であった中馬庚であるとされています。
よく、同時期の俳人・正岡子規が名付け親と勘違いされますが、正岡は野球好きで、数多くの野球用語を英語から日本語に訳しているので、その影響があると思います。
明治から大正にかけて、野球は日本に普及しますが、この時期は、主に「大学野球」が盛んな時期でした。
明治36年(1903年)、早稲田大学と慶応義塾大学の対抗戦、いわゆる「早慶戦」が行われ、これが後の東京六大学の起源とされています。
さらに、この盛り上がりが高校(旧制中学校)にも広がり、大正4年(1915年)8月に大阪の豊中球場で第1回全国中等学校優勝野球大会(現在の全国高等学校野球選手権大会)が開催され、京都二中が優勝してます。翌年からは、現在と同じ甲子園球場で開催されます。
昭和2年(1927年)には企業チームによる都市対抗野球大会が明治神宮野球場で開催されます。
プロ野球に関しては、実はその前の大正9年(1920年)に、早稲田大学野球部OBらによって日本初のプロ野球チーム日本運動協会(芝浦協会)が、翌年の大正10年(1921年)には天勝野球団が創設されますが、後に両球団とも解散されています。
本格的な誕生は、昭和に入ってからで、昭和9年(1934年)、読売新聞社の正力松太郎によって大日本東京野球倶楽部(現在の読売ジャイアンツ)が創設され、昭和11年(1936年)には日本初のプロ野球リーグ「日本職業野球連盟」が設立されます。
この黎明期に活躍したのが、有名な沢村栄治で、145キロを超すストレートと、ドロップと呼ばれる、ものすごく曲がるカーブを得意として、大活躍。ライバルの大阪タイガース(現在の阪神タイガース)の景浦將と名勝負を演じるなど、野球は日本において、国民的スポーツとしての地位を確立しますが。
ご存じのように、太平洋戦争により、一時、衰退。沢村も景浦も戦死という悲劇に見舞われ、野球用語もまた、「敵性用語」とされてしまいます。
戦後、ご存じのように、現在につながる野球ブームが起こり、今や日本では大変ポピュラーな人気スポーツとなっていますが。
実は、野球の競技人口自体は、減っています。
2022年のデータで、日本の野球人口は、約268万人。2010年から2022年にかけて約60万人も減少しており、特に男性の減少が目立っています。
ちなみに、世界の野球の競技人口は、約3500万人。
世界のサッカー競技人口は、約2億6500万人。同じくバスケットボールは、なんと約4億5000万人もいるそうです。
なので、野球自体がポピュラーなのは、アメリカ、キューバ、日本、台湾、韓国、オーストラリアあたりが大体中心で、逆にヨーロッパは、ほとんどがサッカー人気なのです。
それでも日本国内では、女性の野球競技人口が増えてきたり、明るい兆しはあると思いますので、これからも野球は発展してほしいと、個人的な野球ファンとしては思っています。




