第31回 攻殻機動隊と日本の未来
今回は、この有名なアニメに絡めます。
個人的に、「大人が見るアニメ」として、大好きで、もう何十回も見たアニメ、「攻殻機動隊」。
その中でもアニメシリーズとされて、26話ずつ続いた「STAND ALONE COMPLEX」と「2nd GIG」、OVAの「STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C.SSS)に焦点を当てます。
攻殻機動隊シリーズは、日本の近未来を舞台にした作品ですが、様々な社会問題を通して描かれています。
特にテレビアニメ第1弾「STAND ALONE COMPLEX」では汚職や薬害事件、第2弾「2nd GIG」では移民問題、そしてOVA「S.A.C.SSS」では少子高齢化、老人介護、幼児虐待などの問題を取り上げてます。
実は、日本は昔は、移民に厳しい国だったので、このアニメで描かれた20年以上前はそんなに現実感がなかったのです。
ところが、最近の日本政府は、入管法改正案を強引に推し進めて、外国人がどんどん流入。
特に近年、埼玉県川口市では、クルド人が大量に入ってきて、日本人の女子中学生が襲われ、治安が悪化して、日本人が逃げている有り様。
攻殻機動隊の世界では、第三次世界大戦、第四次世界大戦が勃発し、アジア各地で発生した難民を安価な労働力として招慰難民という形で政府が招き入れています。
これは難民受け入れというより、移民に近い印象で、政府が指定した移住区以外の都市にも難民が流入してテリトリーが拡大しています。
彼らは決して日本に帰化しようとせず、民族としての誇りを失ってません。
作中では、移民は戦後復興のために使い捨てにされ、不満が溜まり、日本国民は帰化すらしない移民に税金を食いつぶされることに憎悪すら抱くようになります。
この辺りの「恐ろしいほどに」そっくりな未来に恐怖感を覚えるほど、この作品はすごいのです。
ちなみに、「STAND ALONE COMPLEX」は、2030年。「2nd GIG」は、2032年。そして「S.A.C.SSS」は、2034年が舞台。
今より少し未来ですが、全然違和感がないくらいに未来を予見しているようにすら思えます。
原作者の士郎正宗が「攻殻機動隊」を初めて描いたのが、確か1989年だったと思うので、まだインターネットすら普及してない時代です。
その先見性は本当にすごいな、と思います。
あと、先日亡くなられた、草薙素子役の声優、田中敦子さんのご冥福を改めてお祈りいたします。本当に素晴らしい声優さんで、「少佐」の声はこの人しかいない、と個人的には今でも思ってます。




