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元騎士、元聖女と出会う  作者: エビス
第一章 「吹雪山の怪物」

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訪問者

 翌日、ルキアと帝都内の店を回り、旅に必要な物を買い揃えていった。


 中身が凍らない水筒に日保ちする食糧。

 暖かく質の良い防寒着、等々。


 流石大国の首都といった感じで欲しい物は大体が揃える事が出来たが、話していた耐寒の魔法薬(ポーション)だけは手に入れられなかった。


 取り扱っている魔法薬店の従業員に聞くと、丁度今切らしているらしく、仕入れには一月程掛かるらしい。


「どうしましょうか?」


 ルキアが俺に尋ねてくる。

 俺は少し考えて、それから言った。


「諦めるしかないな。流石に一月は待てない」


 帝都はルキアにとって安全な場所ではない。

 どこに教団の目があるか分からない以上、長く留まるのは避けるべきだろう。


 ルキアにもそう言って了承を貰い、魔法薬店を出た。


「こんな所か。他に欲しい物はあるか?」


「いえ、十分です。あの、お金の方は私が生きてたら必ずお返しします」


「ん?いや、別に気にしなくてもいいのだが・・・」


 どうせ今の今まで使われずに、冒険者ギルドに預けっぱなしになっていた金だ。

 それが邪神を封じ、世界を救う旅に使われるのなら喜んで使わせて貰うとも。


 それを伝えるとルキアは、嬉しいような困ったような、そんな複雑な顔をした。


「で、でも・・・必ずお返しはしますから・・・!」


「そうか。では、楽しみにしておこう」


 そんな会話をしながら俺達は買った荷物を持って宿屋に戻った。


 この後の予定は、既に話し合ってある。


 まずは今日はこのまま休み、明日の朝イチで帝都から出ている乗り合い馬車に乗って北へ行く。


 限界まで馬車で進んだら、そこからは徒歩で旅をして『ヒエムス山』へと向かう。


 直接『ヒエムス山』に送ってくれないか、馬車の業者に聞いてみたが、あの山の名前を出すだけで難色を示され良い返事は貰えなかった。


 業者曰く、寒いし危ないからいくら金を積まれても割に合わないそうだ。


『ヒエムス山』への道中を短縮出来ればその分山登りに集中出来るのだが、魔法薬といい中々上手くいかないものだ。


 そんな事を考えながら宿屋に到着すると、女将が店番をしている受付に、明らかに宿屋の客という雰囲気ではない格好の三人組がいた。


 紺色を基調とした統一感のある服に、彼らの胸元で光る階級証。


 騎士団にいた頃何度か見た、ガザリ帝国軍の軍服だ。


(面倒事の匂いがする・・・)


 俺は三人組をスルーしようとルキアに目配せして、そのまま一旦宿屋を出ようとしたが、それよりも早く女将が俺達の方を指さした。


 三人組が一斉にこちらを向く。

 男二人に女一人の三人組だ。

 彼らは俺達に気づくとこっちに歩いて近づいてきた。


「グリス様・・・」


「俺の後ろに・・・」


 逃げられないと踏んだ俺は、ルキアへ後ろにいるよう言い、彼女を自分の身体で隠すようにしながら前へ出た。


「グリス・アノールか?」


 近づいてきた三人組のリーダーと思われる、顎髭を生やした中年男性が俺に尋ねてくる。


「そうだが・・・貴方達は?」


 俺が逆に尋ねると、男性は「おお、これは失礼」と言ってから答えた。


「俺はガザリ帝国軍、第4部隊長のバルドという者だ。後ろの二人はノックスにリサ、俺の部下だ」


「よろしく、グリス殿」


「『龍狩り』の英雄殿にお会いできて光栄です」


 バルドに紹介されたノックスとリサの二人がそれぞれ俺に挨拶してくる。


「龍・・・狩り?」


 ルキアが彼らの言葉に反応して俺を見てきたが、今は彼女への説明よりも目の前の三人組だ。


 帝国軍第4部隊。


 それは帝国軍の中でも超武闘派の部隊として騎士団にいた時も噂になっていた。


 そんな部隊が俺に何の用だ?

 何故俺がここにいると知っている

 本当に帝国軍人なのか?


 俺が疑念を抱いているとバルドが苦笑いをして言った。


「あー・・・考えている事は何となく分かる。だが俺達は正真正銘の帝国軍人だ。その証拠に、ほら」


 バルドは懐から一枚の手紙を取り出し俺に渡してくる。


 彼から受け取り手紙を確認してみるとそこには、皇帝の封蝋印が押されていた。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。


よければ『ブックマーク』と、広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです。


次は土曜日です。

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