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水風船
水風船が弾けた。丈夫な風船の筈なのに、何かの拍子で破れてしまった。辺りは水浸しである。バン!という大きな音にも驚いて、水をかぶった私は立ち尽くす。
「ごめん、大丈夫ー?」
公園の子供まつりで水風船売りをしていた同級生が笑う。焦る様子もなく、ゲラゲラと遠慮なく笑う。こいつは、友達が沢山いる男の子だ。会話が苦手な私のことなんか、クラスメイトだとは知らないのかも。
「ケンター!片付け手伝うよ」
「おう、ありがとう」
華やかにお洒落した女の子たちが集まってきた。派手なピアスの男の子たちもいる。私はポタポタと雫を垂らしながら、黙って立ち去る。
「何あれ、気持ちわるーい」
「すっげ濡れてるー」
華やかな人々が蔑んだり笑ったりしている。私は振り向かずに、気休め程度のハンカチを取り出して顔を拭く。
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