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エルナお嬢様は世間知らず  作者: クソラノベ量産機
1/1

1話目 招待状

 朝日がカーテンの隙間から差し眼に直撃すると眩しさと暑さのあまり睡眠を欲していた全身の血流が早くなるのを感じた。


「眩しい……もう朝……。」


 太陽の陽射しから難を逃れるかの様に布団を深く被り再び睡眠に見を投じる事にした直後、ドアを叩く音が響いてくる。


「エルナお嬢様、朝ですぞ? 今日が何の日かお忘れですかエルナお嬢様!」


「後五分……。」

(うるさいなぁ、もう少し寝かせてよ……。)


「全くエルナお嬢様には困ったものだ。」


「退いてセバスチャン、私が意地でも連れて行くから。」


 アルナの怒声が聴こえるとガチャリと鍵を掛けていた筈の扉がまるで鍵を開けられたかの様に開き私を天国へ連れて行っていた布団が剥がされると温もりを感じていたベッドには急速に冷たい風が吹き荒れ私はあまりの寒さに丸くなる。


「寒っ! 何するのさ!! 私の天国返してよ!!」


「何が私の天国よ! 今日はお城から舞踏会が届いてるでしょ!? ちゃんと身嗜みを整えて失礼の無い様にしなさいよね?」


「え〜、あの舞踏会て確か王子様の結婚相手を探すのが目的だよね? 私相応しくないから行かなくて良くない?」


「良い訳無いでしょ、招待状はエルナにも届いているのだから行かなかったら王様に恥をかかせた事になるのだからね!!」


「分かったわよ、行けば良いんでしょ行けば。」


 私は渋々重い腰をあげるとセバスチャンに食卓まで案内されると自分の分の朝ご飯が置かれていた。


「あれ、皆ご飯は食べないの?」


「もう皆様は食事を終えられてます、エルナお嬢様だけ食事されていませんので。」


「そうなの、私の好きなお魚のムニエルだったのね早く起きれば良かったわ。」


 作り置きされた魚のムニエルは死んだ魚の様に冷たく、白身からはバターの少し黄色がかった脂を含んだ液体が垂れ流れていた。


「やっぱ冷たいと味がイマイチね、そうだファイア!」


 私はムニエルを両手で囲い火属性魔法を持続させ、皿からはパチパチと脂の跳ねる音が響いてきたところで白い煙が上がると丁度良いくらいに温め身を口に運ぶとふっくらした白身にバターの風味が口いっぱいに広がる。


「うん、やっぱり料理はアツアツが一番美味しいわね! ところでセバスチャン、舞踏会は何時に始まるの?」


「今夜七時に始まりますよ。」


「七時!? まだまだ時間有るじゃないの!! まだ寝かせてくれとも良かったんじゃないの?」


「ですがエルナお嬢様、入念な準備を重んじる事くらいはされた方が……。」


「はぁ、分かったわよ……時間もたっぷりあるしお出かけするわ。」


「行ってらっしゃいませエルナお嬢様。」


 呆れるセバスチャンに見送られながら街へと出没しに行くと橋の近くでオロオロと困った様子の白いスーツを着た眼鏡の男性が彷徨いていた。


「どうかされましたか?」


「あっ、エルナ様! 実は婚約指輪を落としてしまいまして。 橋の上は探したのですが、後は川の中へ落ちたとしか……早くしないと間に合わないのについてない。」


「そうですか、貴方はここで待ってなさい。」


「エルナ様? 一体何をお待ち下さい!?」


「サーチアイ!」


 私は止める男性の言葉を無視し川へと入り、目的の物を探しだせる魔法サーチアイを使い岩を退かして婚約指輪を手に取ると男性へと手渡す。


「エルナ様、私の為に申し訳ありません。」


「礼なら後になさい! 大事な日に遅刻なんて合ってはいけませんから早く行きなさい!!」


「は、はい!」


 白いスーツの男性は感謝し何度も頭を下げながら走り去って行った。


「良いことすると気持ちが良いわね。」


 そう言いながら私は濡れた服を脱ぎ水を絞ると周囲から見られている気配を察知する。


「こんなところで何してんのよアンタ!!」


 聴き覚えのある怒声が響いてきた方へと振り向くと長い金髪にウェーブのかかった蒼眼の人物が私に近付いて来ていた。


「姉さん!?」


 アルナだ、私が良いことをしている時に限って何故か現れては厳重に注意してくるのだ。

 私がいつ悪い事をしたのかサッパリ分からない、今は風邪を引くといけないから下着姿で服を絞っているだけだというのに。


「アンタ公衆の面前でなんて端ない恰好してるのよ!? 早く服を着なさい!!」


「分かってるわよ、風邪を引くと大変だしね。」


「あのね、私が言いたいのはそう言う事じゃなくて!」


 アルナは顔を真っ赤にして私を睨み付ける、私は生乾きの服を着て周囲に目を向けるとコチラを見ていた男性達が素早く目を逸らし見てないアピールをするが私は気付いてはいた。


「ところで姉さんは何してるの?」


「何ってドレス選びに来たに決まってるじゃない! まさかアンタ単に散歩してただけじゃないでしょうね?」


「そうよ? だってドレスなんて家に何着も有るじゃないの、どれでも同じでしょ?」


「あーもう全然分かってないわね、良いからアンタも来なさいドレス選びするわよ!」


「えー、姉さん買い物長いし私は遠慮させて……。」


「駄目よ、特別な日にオメカシしないなんて間違ってるわ! 良いから来なさい!!」


「仕方ないわね……。」


 姉さんは面倒くさがる私の手を引き仕立て屋へと入るとドレスの生地を選ばせてきた。


「いらっしゃいませアルナ様、それにエルナ様。」


「なにこれ? 布?」


「何言ってるのよ、これがドレスになるのよ。」


「そうなの、それは知らなかったわ。 じゃあ私は自分の眼と同じ碧色で。」


「そんなんで良いの?」


「姉さんも同じ様にしたら? 色選びだけで夜になるわよ。」


「それもそうね、私は碧色でお願いするわ。」


「畏まりました、では採寸させていただきますね。」


 私達は自分の眼と同じ色の生地を選び仕立て屋にドレスを仕立ててもらう事にした。


「採寸は済みましたので、後は三時間程お時間をいただきますね。」


「ええ、任せたわ。」


 私達はドレスが完成するまで暇を潰す事にした。

ミ☆ノシ

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