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それから1週間後、私の手元に戻ってきた情報を整理すると以下になった。私は父母とレニーお兄様にも同席してもらって知恵を貸していただくこととした。
1.マーティー殿下と私が結婚した場合、バッドエンドとやらになり、内乱が起こって殿下は戦死、私はニコラス殿下の正妃となる。
2.内乱を起こす前にニコラス殿下を排除しようとした場合、こちらもバッドエンドとやらになり、マーティー殿下が負けて処刑される。その時も私はニコラス殿下の正妃となる
3.私を断罪せずに、ニコラス殿下に譲った場合、内乱は起こらないが、マーティー殿下はニコラス殿下と私を殺してご自身も自害するというバッドエンドとなる。
4.私を断罪した上で、マーティー殿下とマリアが結婚した場合、ハッピーエンドで終わる。
マーティー殿下が生き残る道は、私を断罪した上で、マリアと結婚するしかないそうだ。
あと、ベラが言うには、ドリー様ルートやトレル様ルートであれば違うとかなんとか呟いていたそうだが、よく聞き取れなかったらしい。とりあえず私はマーティー様オシだから?とかなんとか言っていたそうだ。非常識な人間の言うことはどこまで行っても意味不明だ。
しかも『他の誰かを一途に思っている人を振り向かせる快感はたまらない』とか『マーティー様が本命だけど、ドリーやトレル、オーウェンともすこしは遊んでいいよね?』とも言っていたらしい。なぜ彼らが彼女を聖女と呼ぶのか正直私には理解できない。
5.私は悪役令嬢なので断罪されることが前提なので、生き残る道はほぼない、と言っていたそうだが、パターン1と2の時は生き残れる様である。
(悪役令嬢とはなんだろうか?よくわからないが、聖女さまとやらが私のことをそう呼んでいたそうだ。)
6.卒業パーティーにおいては陛下と父に関しては同席しているか否かは不明。けれどマーティー殿下達の断罪を止める人間はおらず、それどころか私が悪役令嬢であるから仕方がないと聖女の味方をする人間ばかりがいるという話である。
(またもや出てきた悪役令嬢。字面だけを見ると悪い役割の人間のことだろう。けれど私は特に悪事を働いてないので、単に運の悪い人間のことを指すのかもしれない。私がそれに認定された場合、非常識な事態は常識になると言うのだろうか?ベラもナターリエも探ってくれたらしいが、よくわからないらしい。私も書物などを総ざらいしたがわからなかった。きっと恐ろしいものに違いない。)
7.ニコラス殿下は卒業パーティーの1週間後に帰国される。ニコラス殿下は私が絡んだ時点でマーティー殿下の敵になり、決して勝てない相手になる。システムキャラだそうだ。
(システムキャラとは何かもよくわからない)。
8.聖女が今までに当てたことは以下の事柄である。
・東部地方のスタンピードの発生
・西部地方のスタンピードの発生
・王都の北地区の火事
・王都南門前の事故
・王家の石とされるダイヤモンド鉱山の発見
(王家の所有になった)
・ドリー様の家の100年前に無くなった家宝の発見
・聖剣の発見
(トレル様に譲渡済み。聖剣はトレル様を持ち主と認識しているらしい。トレル様が生きている限り、聖剣は他の持ち主を認めないだろう。そもそも聖剣は教会のものとされているため、発見しただけの人間が聖剣を勝手に他者へ渡したことに対して教会側はたいそう立腹しているらしい。)
・クラース領に巣食った犯罪集団の居場所
・密輸の告発
・王宮の官吏の横領
1から7に比べて最後の8に関しては情報が少ない。後から調べたこともあり、そういったことがあったそうだ、という程度しか情報がなかったので詳細はわからない。
けれど、これだけを見ると確かに彼女が未来予知の能力を持っているとしか思えないものがある。
まず、火事や事故、スタンピードの発生に関しては予知がないと無理だろう。
鉱山や家宝そして聖剣の発見に関しては一つだけなら運が良かったで済むかもしれないが、重なるとやはり、異常である。
犯罪集団の根城、密輸や横領に関しては何か情報を得る手段があれば、告発や発見は可能だろうが、うちの優秀な影が確認した限り、彼女の裏には誰もいない。つまり、彼女が予め知っていたとしか思えないのだ。
しかも、当たっていないと思われていた予言に関しても、後日聖女とやらが言ってたのはこのことだったのか?くらいのゆるーい感じで当たっているらしい。
またドリー、トレル、オーウェンの心情に関しては本人達が当たっていると言っていたそうなので、きっと当たっているのだろう。