表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/48

06

「え? ダメかしら」

 リーヴェも一緒に入ろうとして、止められたらしい。

「私は、気にしないけど」

 私は一応リーヴェの援護射撃をする。何をするのか知らないけど、見られて困る事はないだろう。

「まぁ、当人がそういうのであれば」

 受付の人が渋々、リーヴェを通した。リーヴェは私に「サワ、ありがとね」と小声で言うと、ウィンクをする。

 部屋の中に入ると、そこには大きな水晶があった。成人男性くらいの高さ。色は無く暗い。光がすべて吸収されているような暗さだった。

「これは魔力検知機です、サワさんの魔力量を測ります」

「……魔力」

 聞きなれない言葉だった。妖力ではなく魔力。同一のものと考えていいのか。だとしたら、私には絶大な物が備わっている。自慢じゃないが、千年も妖怪をやってるのだ。

「力まず、気軽に、水晶に触ってください」

 私は促されるまま、水晶に触れてみる。私が触れた水晶は、これといって変化がなかった。あっ、いや違うな。私は目を凝らしてみてみる。仄かに光っている気がする。受付の人も、水晶に顔を近づけて確認していた。

「あっ、はい、大丈夫です」

 そう言いながら、受付の人の目が泳ぐのが見える。何その微妙な反応。気になる。

「どういう結果なの?」

「あぁ……えぇっと」

 受付の人は明らかに言い淀んでいた。どういう事なんだろう。私はリーヴェに視線を送る。

「最弱の魔力という感じかしら」

「あっ、リーヴェさん! そんなはっきりと」

「まぁ本当の事よ、しょうがないわ」

 最弱という事は、魔力と妖力は別の物という事だ。妖力はおそらく検知されていない。別の力という事なんだろうか。それに最弱といっても、私には魔力が備わっているらしい。それも興味深い。

「そっ、そんなに気を落とさないで」

 受付の人が、慌てながら、私を気遣う。はっ、と気付き、私は首を振って「気にしてないよ」と否定する。考え込んでいたのが、落ち込んでいる様に見えたらしい。

「そ、そうですか? ……それでは最初の受付の方へお願いします」

 少し疑いながら、受付の人が案内する。私は一応、気にしてない風に笑顔で「ありがとう」と伝えると、部屋を出た。

「魔力はすぐ上がるわ、日々の取り組み次第よ」

 リーヴェが微笑む。この子も私が落ち込んでいると思っているらしい。そもそも魔力なんてなくても、私には妖力がある。ここにいる人間全員が束になってかかってきても、瞬殺できる。そんな事しないが。

「終わったよ」

 私は最初に訪れた受付に声をかけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ