03
「こ、これ」
ハメられた。私は直感する。所々で態度に疑問を抱く事があった。それをスルーしてしまっていたけど、その疑問は的を射ていた。
「まだ理解が及びませんか」
心底楽しそうにスーが微笑む。いや、黒い笑いを浮かべる。
「ふふっ、サワ様に、優王となってもらうために、ちょっとだけ僕が動いただけですよ」
まさにそれは悪役が最後の最後に種明かしをするように、スーが語り出す。
「最初出会った時、僕は驚きましたよ、人間なのに襲ってこない、しかも、自分は人間じゃないって、そのまま去っていった」
私は思い出す。最初に見かけたスライムはスーだったのか。スライムは外見に違いがない。見てもわかる訳がなかった。スーは私を見て、面白そうにクスリと笑う。騙された。
「僕は興奮しました、もし本当に、完璧な人間の姿のモンスターなら、穏健派に取り込めれば大きな助けになると」
「でも、魔王軍の可能性だって」
「無いですよ、僕の態度を見れば穏健派だと分かったはず、それで襲ってこなかったので、少なくとも魔王軍ではないと確信できました」
確かに最初見た時、怯えて後ずさっていた。魔王軍だったら、こいつ穏健派だなって分かると思う。あの時、スーを消し飛ばしておいたら、こんな事にならなかったのか。物騒な考えが頭を過る。
「それから、サワ様を尾行し、街に入って行くのを見ました」
「つけられていたのか」
「浮かれている様子だったので、簡単でしたよ」
あの時は完全に油断してた。なぜ、警戒を解いてしまったんだ。後悔先に立たずだ。
「さすがに僕はモンスターなので街には入れません、なので出てくる前に、準備を済ませました」
「準備?」
「初めて、僕と会った時のシーンですよ」
憎たらしく初めての部分を強調して言うスー。初めてじゃないって、さっき自分で言ったじゃん。私は悔しさにまみれながら、スーがイジメられていた場面を思い出す。
「あれ? よく考えたら、スライム同士だからって、攻撃があんなにノーダメージなのかな?」
「ッ!」
スーが私の声をマネて言った。私が言おうとした事を、見透かしたようだった。
「そうですよ、最弱モンスター、スライムだって、攻撃すれば、ノーダメージではありません、あれは演技です」
またもや、スーの黒い微笑を浮かべる。いや、確かにイジメらしくなかった。じゃれ合ってるように見えなくもなかった。
「イジメられてると思ってもらえるか、不安でしたが、サワ様がポンコツお人好しでよかった」
今度は爽やかな笑顔でポンコツと言った。このスライム、腹黒スライムだったのか。




