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私にはそもそも、満腹という物がない。食べた物はすぐさま、妖力になる。ただ、食べなくても妖力は回復するから、食事は必要ないのだけど。そもそも、空腹もない。適度な食欲があるだけだ。ある意味、いろいろな物が際限なく楽しめるというわけだ。餓鬼に堕ちるのは嫌だから、適度にするが。
「さて、次行くわよ」
いつの間にか食べ終わったリーヴェがそう言った。私は最後の一切れを食べて、リーヴェに続く。途中で、買った店の所で串を捨てながら、また露店の道を進む。
「あと、どれくらいいける?」
私がリーヴェに問うと「頑張って、三種類くらい」と返ってくる。
「じゃあ、食事系一種類と、甘い系二種類って感じかな」
「良いわね」
私の提案した方向性にリーヴェは親指を立てて、ニヤリと笑う。私もそれに倣う。そして二人は、笑い合いながら、歩いた。
※
「もうおわりね」
リーヴェは少し苦しそうにそう言った。言っていたより、少し多めに食べたから。
「じゃあ帰ろうかな」
そろそろ遅い時間になってきた。お酒を飲んでいる人たちは、帰る気配は無さそうだが、それ以外の人たちは、ちらほらと帰っていく様子が見える。
「そうね」
リーヴェの言葉が尻すぼみに小さくなる。寂しいのかな。
「また明日もね」
私の言葉にリーヴェが一瞬驚いたような顔をして、それから微笑みに変わった。
「うん」
「それじゃあ」
「あっ、待って」
私が転移術を使おうとした所、リーヴェに止められる。何だろう。
「お金、忘れてるわよ……天然ね、お金稼ぎに来たのに、お金忘れるなんて」
「あぁ、そうだった」
リーヴェがクスリと笑うと、袋から一掴みほどお金を抜き取って、残った分を渡してくる。
「え、多くない? 半分でいいよ」
「ダメよ、ゴブリン倒したのサワでしょ、これでも私の取り分が多すぎるくらいよ」
少し、強引にお金の入った袋を渡されて、私は受け取る。
「じゃあね、また明日、家に遊びに行くわ」
有無を言わさない勢いで、手を振りながら、リーヴェは走っていってしまった。
「どっちが律儀だか」
サラッと半分持って行ってもよかったのに、律儀である。私も、リーヴェも。
「さて、帰るか」
私は、暗隠術と転移術を使って、家に戻ってくる。さすがにもうスライムたちはいなくて、ちょっと安心した。
「いろいろ大変だったけど……まぁ最後は楽しかったから、よしかな」
楽しかった。気恥ずかしいが、友達と遊べたのは本当に。今までそんな事できなかった。ここに来てよかった。
「また明日……ね」
会うのが楽しみというのいいな。今までは、もう来ないでとしか思えない相手ばかりだったから。
今日は早いですが終わります!
明日から3章を8時と17時の2回投稿で進めていきます!




