表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/48

03

「怯えてる?」

 スライムが少しずつ後ずさっていく。若干震えているようにも見える。モンスターはすべからく、襲いかかってくるのかと思ったら、そうではないらしい。私としてもそっちの方が、逃げなくていいから面倒は無いけど。平和万歳。

「私はあなたを攻撃する気ないよ、私人間じゃないの、なんて言うんだろ、同類というか……仲間みたいなものだから……あっこの事は秘密ね」

 私は人差し指を口の前に持ってきて、ウィンクをする。スライムは若干、驚いたようにしている、と思う。伝わっただろうか。私はそんな事を思いつつ、その場を離れる。

 襲いかかってこなくてよかった。今のスライムはよかったけど、もし凶暴なタイプが居たら、襲われるかもしれないな。おとなしくやられるのは論外として、身の危険がある場合以外、戦わない様にしないと。あるいは逃げるか。とにかく、同じ過ちは犯さない。闘いの日々に戻らない為に、今度は上手くやろう。

「あぁ、街だ」

 あてもなく、ウロウロと歩いていただけなのに。

「ファンタジーって感じの街だなぁ」

 それほど大きい街ではない、と思う。壁に囲まれているのは、やっぱりモンスターが普通に認知されている証拠だろうな。日本の妖怪は基本的に姿を隠して、存在していた。なぜかわからないけど、そういう物だった。世界が違えばモンスター事情も変わってくるらしい。

「とりあえず、興味があるし、行ってみようかな」

 私はウキウキしながら街に向かう。どんな文化があるだろう。人間はいつだって驚きの進歩を見せてくれる。長く存在していると、それが良くわかるから、なにげに楽しい。というか人間がそもそも存在しているだろうか。モンスターが人間の様に、街を作って、生活している可能性も当然ある。まだ私は人間の姿を見ていない。どっちにしても楽しみだ。

 街にたどり着くと、そこには人間が溢れていた。露店が並んで賑わっている。時間帯的にお昼時だろうか。食事を楽しんでいる人たちがそこかしこにいる。

「美味しそうだ」

 私に空腹の感覚はない。そもそも、何かを食べなくても存在を維持できる。それでも、美味しいを食べたいという欲求はある。ほとんど娯楽として、私は食事をとるのだ。

「なんか縁日を思い出すなぁ」

 こうやって、お店が並んで、楽しそうだった。毎度、妖怪が現れて、人間に迷惑をかけないように、その場から離れるしかなく、しっかり楽しめた事がないが。

「あれ?」

 突然、私の中に違和感が湧いてきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ