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そのスライムは、全身が傷だらけだった。削り取られたようになっていて、とても痛々しい。
「誰かに攻撃されたのね」
リーヴェはなんとなく状況を察したように、言葉を口に出す。スライム同士だとこうはならない。お互い弱いモンスターだから、深刻なダメージを与えられない。だから攻撃したのは人間か、他のモンスターなんだろう。
「この者はルーというのですが……少し前から魔王軍のゴブリンに捕まって、痛めつけられていた様で、何とか逃げ出してきたそうなんです」
「そんな事を」
「これ以上ダメージを受けたら、体が維持できません」
私の中で猛烈に黒いドロドロとした感情が湧き出てくる。コントロールして、いつも体の奥底に隠している怒りという感情。私の妖怪としての起源。怒りが湧いてきている。久しぶりに私は怒っていた。それを自覚したところで、隣でパサリと音が聞こえる。振り向くと、リーヴェが尻もちをついて、小刻みに震えていた。少し涙目にもなっている。
「あ……あれ?」
リーヴェは何が何だか分からないといった感じで、気の抜けたそんな声をあげた。気付くと、私は怒りを多分に含んだ妖力を、体から湧き立たせている。すぐさま抑え込んで、冷静になる。
「ふー、ごめん」
よく見ると、リーヴェだけじゃなく、周りみんなも、カタカタと震えていた。私はとりあえず対面で片膝をついて、リーヴェを覗き込む。
「私、どうしちゃったのかしら?」
私が妖力を引っ込めたから幾分マシになったらしく、リーヴェの震えは止まっていた。私は支えながら、リーヴェを立たせてやる。
「私の特殊能力みたいな物が発動しちゃって、ごめんよ」
苦し紛れな言い訳だったが、リーヴェはそれどころでは、なかったようで、少しだけ膝が笑っているのを、何とかしようとしていた。気を付けないと、少なくともここにいる皆は、私の妖力には耐えられない。
「でも、捕まえて、痛めつけるなんて、そんな事までするの」
私はスーに問いかける。スーも震えが少し残っているが、何とか気力を絞って、私の言葉に反応する。
「……はい、おそらく僕たちの知らないところで、もっとそういう事が起こってるのではと思います、魔王軍から逃げられていない、穏健派もいるでしょうから」
知らないところで、そのまま殺されている事もあるのか。思った以上に、穏健派は危険な状況何だろう。私は陰湿だなと思う。日本ではなんだかんだで、誰もが正面から向かってきた。悪にもそれなりの仁義はあった。
「何とかしてもらえないでしょうか」
スーは私にそう聞く。
今日はここで終わりです!
また明日同じように朝8時から1時間ごとに投稿していきます!




