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「……ありません、魔王軍と穏健派は同じモンスターですからね」
スーはだいぶ考えた様だった。かなりの間があっての言葉。
「強いて言うなら、好戦的ではないので、すぐには攻撃してこないでしょう……身の危険があれば戦いますが」
「そうなのね」
リーヴェが少し難しい顔をする。
「逃げたモンスターは追わないようにするわ」
しばらく考えたリーヴェがそう結論を出した。積極的に穏健派を狩る事はない、という事だろう。
「ありがとうございます」
スーがお礼の言葉を言った。私は頃合いかなと思い、リーヴェに声をかける。
「というわけで、話は以上ね……私は冒険者にはならない、戦いとは無縁でいたい、お金を稼ぐのはモンスター討伐が絡まない依頼で、基本的に平和に暮らしたいの」
リーヴェが不満そうな表情を浮かべる。そんな顔されても、私の意思は変わらない。スローライフ。戦いとは無縁の平和な暮らし。これを実現したい。
「それじゃあ、とりあえず、薬草をギルドに納めに行こうか」
私は不満顔のリーヴェを促す。別に友達関係は続けるつもりなのだから、そんな顔しなくてもいいのに。ただこの関係だと、人とのつながりへの欲は満たせても、強くなりたいという欲は満たせないか。戦いに行かなければ、めったに失う事なんてないのに。平和に暮らせば、リーヴェの心の傷は癒されると思うけどな。
「さぁ、街へ転移するよ」
私はリーヴェを掴むと、ギルドへ移動する為、転移術を使おうとする。
「あっ、サワ様、お待ちください」
突然、スーから呼び止められた。私はスーに視線を送る。
「少し、相談があって」
「何?」
「まずは見てもらえますか? 外です」
それだけ言うと、スーが机から飛び降りて、出入口の前まで移動する。スライムではドアの開閉は出来ないので、私はドアを開けた。スーが外に出ると、私とリーヴェも続く。
「どうしたの?」
リーヴェが不思議そうに私に聞いてきた。事情を話さないと、今の状況はリーヴェには分からないんだった。
「スーが相談だって」
私が手短に説明している間に、スーが目的の場所までやってきたらしい。体をこちらに向ける。家の外のスライム達と一体のコボルドに囲まれたど真ん中。何を見ればいいんだろうか。
「この子を見てください」
スーの右隣にいるスライムに目を向ける。たぶん子の事だろう。他のスライムは微妙に距離が離れている。何だろう。普通のスライムにしか見えないが。
「あれ、この子!」
「はい……そうです、この通りの状態で」




