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「いろいろ、ありすぎて混乱してるわ」
少し疲れた表情をしたリーヴェ。確かにいろいろあった。それをさらに混乱させないように話さないと、混乱に収拾がつかなくなる。私は頭の中を整理した。まずは自分の正体をズバッと言ってしまおうか。
「まず最初に、言っておくけど、私は人間じゃない」
「人間じゃない? どういう事よ」
人の姿をした私を見て、リーヴェは眉間にしわを寄せる。そこはそのまま信じてもらう以外に、方法は無い。
「えぇと、かなり遠い場所から来た、人間の姿に限りなく近いモンスターかな」
「そう……なの」
単純に何を言ってるの、という表情のリーヴェ。私を信じられないと言う訳では無いが、あまりに訳が分からない事を言っているので、どうしたらいいか、わからないといった感じだ。妖怪という、おそらく知らない単語を出しても、余計に混乱させるし、別の世界から来たというのも、訳が分からない事に聞こえるだろう。私が悩んでいると、スーが口をはさむ。
「魔王と同じタイプ、というと分かりやすいかもしれません」
「そうなの?」
私がそうスーに返すと、リーヴェが反応する。リーヴェにはスーの声が聞こえていないから、私の独り言に見えるだろう。
「魔王と同じタイプ……らしい」
私は自信なくそう言った。魔王を知らないから、しょうがない。
「何でそんなに自信なさげ……あぁ、スライムが教えてくれたのね」
何かに気付いたようにリーヴェが納得して、言葉を続けた。
「実際見た事ないけど、魔王は人型、人間にしか見えないと聞いてるわ、同じモンスターがいても、おかしくないわね」
「そうそう!」
私は頷きながらそう声をあげた。何とか理解してくれたのか。
「モンスターと会話してる様に見れる場面を、今を含めて、見たわ、それに人間技じゃない物も……まだ、証拠が少ないけど、友達が言ってる事だから大目に見て、信じる事にするわ」
呆れたように見えなくもない笑顔を浮かべたリーヴェ。一応信じてくれたらしい。
「でも隠しておいたら、モンスターってバレなかったのに、どうして、話す気になったのかしら?」
「まぁ、友達だし、自分の事は話しておこうかと……リーヴェの過去も聞いたし」
「律儀なのね」
リーヴェがクスクスと笑う。律儀というのは確かにそうなのかもしれない。それにお人好しでもあるかも。何だかんだで、そこをスーに付け込まれている気がする。私はスーに視線を移した。ピシャリと拒絶出来たらどれだけ楽か。
「それで……このスライムは穏健派っていう派閥のモンスターね、名前はスー」
次に話すべき話題を持ち上げる。お人好しを否定できないな。こうして穏健派のために労力を割いているのだから。




