02
「サワ、みぃつけた、はぁはぁ、いい匂いね」
「ひぃっ、何で?!」
リーヴェの声が聞こえる。私はリーヴェに抱き着かれたのか。若干強めに締め付けられて、後ろを振り向けず確認できないが、声はリーヴェだった。暗隠術を使っているのになんでだ。どうして、私を認識して、抱き着いてきている。私の頭の中は大混乱に陥った。
「こっちが聞きたいわ、目の前にいるのに、見えなくなるって言うか、よくわからなくなるっているか、でも私達、運命の赤い糸で結ばれてるじゃない? よく見たらサワって分かったわ」
満足そうなリーヴェの声が聞こえてくる。
「結ばれてないから! そういうのは男性と結ばれる物でしょ!」
「そんな事ないわ、性別なんて関係ないわよ」
というかとりあえず、そんな事どうでもいい。驚いて、暗隠術が解けてしまったから、みんながこちらを見て、ヒソヒソと囁き合っている。
「とりあえず、どうでもいいから、離してくれる? みんな見てるから」
「嫌よ、サワは恥ずかしがり屋さんだから、離したら逃げちゃうでしょ?」
恥ずかしいから逃げてるんじゃない、怖いから逃げてるんだ。そんな事を思うが、私は言わないでおく。怒ったら面倒である。
「逃げないよ、大丈夫」
私は努めて優しくリーヴェに告げる。
「本当に?」
「うん」
本当は離した瞬間に逃げようと思っていたけど、リーヴェはそれを予見していたのか、私の手を掴みながら、拘束を解く。
「念のため、手をつなぎましょ」
リーヴェの笑顔が怖い。絶対に逃がさないぞ、という思いが溢れ出ている。私の手に指を絡ませて、恋人つなぎをしたリーヴェ。そのまま、引っ張られるように移動すると、壁際にあるベンチに座る。失敗したかもしれない。家でおとなしくしていれば。そう思った時に、大量のスライムがいる映像が私の頭を過る。そうだった。あっちにも問題があったんだ。こっちも問題、あっちも問題。私はため息をつく。
「あら? 大丈夫かしら?」
「あぁ、うん」
私は少し投げやり気味にそう言った。
「私の予想通り、ギルドに来ると思ってたわ、サワって、ペコペコとしながら働くの嫌なタイプでしょ?」
なぜこんなに私の事を、理解しているのだろうか。そんなに長く一緒に居た訳じゃない。ちょっと話した程度なのに。
「お金を稼ぐ手段って、ここが一番簡単だものね」
「……そうだね」
私は思った以上に簡単で、分かりやすいという事だろうか。千年も存在していて、そんなに薄っぺらいとは。
「さぁ、私と一緒にモンスター討伐をして、強くなりながら、お金を一杯稼ぎましょう」




