10
妖怪とモンスターでも人外同士、波長が合う物らしい、起源は違うだろうけど。しかもよく考えたら、相手はモンスターだからギルドカードを持っていない。それでも言葉が通じ合ってるのは、心同士で繋がってるからなのかな。
「もしかして、高位のモンスターの方でしょうか?!」
スライムが半ば興奮した様子でそう問いかけてきた。
「あぁ……」
たぶん妖怪ですと言っても通じないだろう。私は少し、言い淀む。まぁ呼び名なんてどうでもいいか。結局は同じようなものなんだし。
「そう、モンスターだよ、高位かどうかは、分かんないけど」
一応謙遜だけしておく。私の言葉を聞いたスライムが嬉しそうに飛び跳ね始めた。
「では、噂は本当だったんですね!」
「噂?」
「はい、他のスライムが、人間じゃないと言っている人がいたと、もしかしたら高位のモンスターの方ではと、しかもその人は攻撃をしてこなかったと」
「あぁ、あの時のスライムか」
「心当たりがあるという事はまさしくあなた様が噂の人ですね」
「たぶん……ね」
「……穏健派の救世主」
スライムが呟いた。私は雲行きの怪しさを感じる。あぁ、一刻も早くこのスライムから離れるべきだ。私のスローライフを送るためのセンサーが、そう反応した。
「まぁ、とりあえず、ケガが無さそうでよかったよ」
私はそれだけ言って、その場から歩き始める。するとスライムは私の後について、移動を始めた。
「……何でついてくるのかな?」
「このまま、何のお礼もしないのは、良くないかと思いまして」
「まぁ、同じモンスターとして、助け合いだよ、気にしなくていいよ」
「いえいえ、そういうわけには」
このスライム、完全にぴったりとついてくる。
「今忙しいんだよ、爽やかな風が吹く小高い丘を探したいんだ、スローライフを送りたいからね」
私はスローライフを送りたいという言葉を強調する。察して、ねぇ、察して。
「それなら良い場所がありますよ」
私はスライムの言葉に足を止めてしまう。
「そう……なの?」
「はい、それはもう良い場所が」
そろそろ、転移術でこの場を離れようかと思っていた矢先に、こんな情報がもたらされるとは。それは聞きたい。私は葛藤する。でもその場所はつまり、このスライムの行動範囲にあるという事だ。そんな場所が落ち着けるのか。救世主とか危険なワードを呟いた、このスライムに居場所を知られるのは、よろしくないのでは。でも、良い場所というのも気になる。土地勘が無い私が、ここら辺に住んでいる者より、良い場所を見つけられるのか。私は悩んだ末の言葉を発した。
「気に入るか分からないけど、見せてもらおうか」
「はい……よろこんで」
スライムのその言葉が、ほくそ笑むのを堪えて、言っている様な気がしてならなかった。




