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お化け屋敷のファウスタ  作者: 柚屋志宇
第2章 霊能メイド現る

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87話 怪奇現象を推理する

「では怪奇現象が起こった場所は、これらの霊感商品が置かれていた場所と一致していたということで相違ないかね?」


 ロスマリネ家の従僕たちは、霊感商品の数々を古物商フラメールの荷馬車に積み込む作業を開始した。


 その間、霊感商品の回収作業の中心となり指揮を執った家政婦長アボット夫人に聞き取り調査が行われた。

 家政婦長は屋敷の維持管理を任されているためメイドたちから数々の報告を受けており、屋敷内の怪奇現象の噂についても明るかった。


「はい、大体一致しております。現象が起こっていたのは霊感商品が置かれていた一階と二階、特に報告が多かったのは居間(パーラー)でございました」

「それはおそらく、この屋敷の守護霊デュランが霊感商品の危険性を知らせようとしていたのだ。物が動いたり音が鳴ったりする現象それ自体は恐れるようなものではない。守護霊が危険だと判断した品を撤去してしまえば、それらの騒霊現象(ポルタ―ガイスト)は静まるであろう」


 心霊探偵に変装しているマークウッド辺境伯は、探偵らしく推理を述べた。

 最初にその推理を述べていたオクタヴィアとシリルは、マークウッド辺境伯の言葉に完全に同意して頷いていた。


「しかし……」


 アボット夫人は思案気な顔で少し首を傾げた。


「霊感商品が置かれていない部屋でも怪奇現象は起こっておりました」

「ふむ……?」


 推測外の状況報告に、一同は再び思案気な顔になった。


(それってデュランさんが呪いと戦っていたんじゃないかしら)


 ロスマリネ侯爵夫人に取り憑いていた何匹もの大蛇のような黒いモヤモヤに、剣を振るっていたデュランの姿をファウスタは思い出した。


「あの、すみません!」


 ファウスタが声を上げると、思案気な顔をしていた一同が一斉に振り向いた。


「おお、ファウスタ、気付いた事があるなら何でも言ってくれたまえ。君も心霊探偵なのだ。君の推理を聞かせてくれたまえ」


(私、探偵じゃなくて助手だったはずでは……)


 マークウッド辺境伯の言葉に内心で首を傾げながらも、ファウスタは発言した。


「それは呪いのお人形が置かれていたお部屋の近くではないでしょうか。デュランさんは呪いの黒いモヤモヤと戦っていました。呪いは、呪われた相手に向かって進むので、お人形と呪われた相手との間にも黒いモヤモヤは飛んでいたと思います。呪いは壁や天井や床をすり抜けて、呪った相手に向かって真っ直ぐ進むので、近くのお部屋や、別の階にも呪いは飛んでいたと思います」

「なるほど! 黒いモヤか! たしかに我が家でも黒いモヤは壁をすり抜けていたのだよ!」


 マークウッド辺境伯が声を上げ、再びアボット夫人に問いかけた。


「霊感商品は置かれていなくとも、あの天使人形が保管されていた部屋の近くだったのではないかね?!」

「申し訳ございません、私は人形の保管場所を存じ上げませんので……」


 アボット夫人は家令クラークを振り向いた。


 アボット夫人とクラークとの間で、従僕ディーンが人形を保管した部屋と、メイドたちから怪奇現象の報告があった場所とのすり合わせが行われた。


 家令クラークがマークウッド辺境伯の問いに答えた。


「階は違いますが、人形が保管されておりました部屋の近くにございます」

「やはり!」


「すみません、それは奥様のお部屋の近くだったのでしょうか」


 ファウスタは家令クラークに質問した。


 ロスマリネ侯爵夫人は呪いをたっぷり纏っていた。

 呪いの天使人形を持って来たのが夫人だったようなので、その時にすでに呪いが憑いてしまったのかもしれない。

 だが他の家族にはまだ呪いが憑いていないので、夫人が呪いを一手に引き受けていたような気がした。


「はい、奥様のお部屋に近い部屋でございます」

「呪いが手遅れになると病気になってしまうと聞きました」


 ファウスタのその言葉に、ロスマリネ侯爵は顔を曇らせた。


「シンシアが体調を崩していたのは、呪われていた事が原因であったと?」

「その可能性が高いのだよ」


 マークウッド辺境伯は深刻な顔で答えた。

 古物商フラメールがそれに頷き、補足した。


「呪いは毒でございます。最初は体調不良の症状が出る事が多いのです。やがて精神にも毒が回り、気鬱の病に似た症状が現れます」

「気鬱の病……」


 思い当たることがあるらしい表情で、ロスマリネ侯爵は考え込んだ。


「侍女が体調を崩したのも、呪いに触れたことが原因だったのかもしれないね」


 シリルが考え込むような顔で言った。

 家政婦長アボット夫人は押し黙っていたが、何か思い当たる事があるような表情をしていた。


「呪いを解く方法はあるのかね」


 ロスマリネ侯爵の問いかけに、古物商フラメールが答えた。


「呪いの発生源があるならば、まずはそれを取り除くことです。おそらくこれは達成されています」

「うむ。ファウスタが発見したのだよ」


 マークウッド辺境伯が得意気にファウスタを自慢した。


「あとは呪いの残滓の処理です。方法はいくつかありますが……水晶による浄化は最も簡易で有効な手段の一つです。呪いの威力に応じて、必要な水晶の数は変わりますが……」


 フラメールはファウスタに視線を向けた。


「呪いを目視で確認できるのであれば、必要な水晶の数も知れましょう」

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