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リレー小説 『双子の天使 ~不幸な運転手~』  作者: 総勢17名によるリレー小説
6/7

ポールダンス天国~セミラは笑う~ 【26】~【29】

【26】Kobito


ギャレットの翼竜と二首の銀竜も、文句を言いつつ、マスクは欲しくて行列に並んでいたのだが、足元の動物たちがわちゃわちゃといさかいを始めて、列が乱れてきて、みんなから「デカい図体でこんなとこにつっ立たれてたら邪魔だよ!」「ほんと邪魔!」と言われて、仕方なく商店が軒並み自粛休業で通行人の少ないアキマバラの街に移動した。

二首の銀竜が口を開く。

「どうやら、ハニーを連れ戻すには、お前との決着をつけなければならないようだな。」

「そのようね。ま、あっという間に片付いてしまうでしょうけど。」

ギャレット保安官も翼竜の翼をバサリとひとあおりして挑発的に首を伸ばして見せた。

「その減らず口もこれまでだ!」

二首の銀竜〝銀グギドラ〟が、あごを引いた双頭の口からいきなり稲妻のような怪光線を照射した。

その攻撃をまともに胸に受けた翼竜は、2kmも吹っ飛んで、トンキョウの新名所、トンキョウスカイポール(高さ634メートルのポールダンス用の棒)に激突したが、脚で軽やかにポールをつかんでクルクル回ったのち、翼を片方だけ開いて見事に艶やかなポーズを決めた。




【27】山之上 舞花さん


「おお~!」


パチパチパチ


感嘆する歓声と拍手が上がった。

それはマスクを受けとって帰ろうとした人たち。

その様子に何事かと視線を向けた行列に並んでいる人たちも、翼竜の決めポーズに拍手を歓声をおくる。


いい見世物が始まってくれたおかげで、行列の混乱は収まった。人々は前とトンキョウスカイポールを交互に見ながら、行儀よく進んでいく。


その歓声に気を良くした翼竜は足を組み替えて状態を反らす技を決めた。


「すてき~!」

「なんてしなやかな動きなの」

「私もポールダンスに挑戦しようかしら」


聞こえてきた声にムッとする二首の銀龍は「どきたまえ」と、翼竜をトンキョウスカイポールからどかし、自分がポールに足を絡めてくるくると回り始めた。


「おおー! 二首の銀龍もやるじゃん」

「ねえ、あれって目が回らないの?」

「大丈夫じゃねえの」


銀龍は歓声を浴びて得意げにくるくると回った。

ムカついた翼竜は銀龍を蹴倒そうと思ったが、それよりも自分のほうがすごいことを見せつけようと、ポールの銀龍より上の部分につかまり、足を絡めてポールダンスを披露する。


ギャレット保安官も一緒にポーズを決めるが……残念なことに人々からは小さくて見えていない。そんなことに気づかずにギャレット保安官は自分はスターだと思っているのだった。



その様子を拍手しながら見ていたビリーとハニー。そこに声が聞こえた。


「ナニヲシテイルノデスカ。イマコソ我ラノ見セ場デス」


プテラノドンの愛車がビリーに語りかけてきた。一つ頷くとビリーは言った。


「よし、解った。我が愛車よ。今度はロケットになってくれ!」

「ハッ?」




【28】藤乃 澄乃さん


「え?」


愛車の反応に不服なビリーは、愛車を一瞥した。


「エッ?」


プテラノドンの愛車は大いに焦る。


「まさかロケットに変身できないの?」


「マ、マサカ……」


愛車からは冷や汗が……。


「だよね~。じゃ、早いとこちゃちゃって変身しちゃって」


愛車からは冷や汗が……。


「だから、早いとこちゃちゃっと……あ、変身ポーズとかいいから」


「ロケットハ、クビカザリ用ノモノニシマスカ。ソレトモ、ウチュウマデ行ケル方ガ、ヨロシイデスカ」


「は? んなもん、決まってんだろ」


「ハ?」


「だってほら、あそこ……」


愛車は恐る恐るビリーの指さす方向に目をやった。


「ハッ!」


なんとそこには、セミラがニッコリ笑って佇んでいるではありませんか。




【29】陸 なるみさん


「「セミラ~やっ、セミラ~♪」」

調子っぱずれの歌が空に響きました。

「もう、ヨルダ、ちゃんとハモってよ!」

「ヒルダが音痴なんだろう?」

エキゾチックな黒髪美女すがたから二体の天使に戻っていた双子が、音域の合わない声でセミラの機嫌を取っています。


「セミラを召喚したのはアンタたちなのー?!」

マスク配布の手を止めて、アサダが叫びました。

「「き、来ちゃったんだよ~」」

双子天使は真っ青。

「セミラが飛翔直前に何するか、わかってんでしょうね?!」

「だ、だから今寝かしつけようと子守唄を…」


マスク欲しさに行列していた観客たちは漠然と危機を予感します。

「歌が失敗したら、セミラは体内から大量の水を放出して飛び立つのよ…」

アサダの声は力なく空に消え入りました。



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